第492話 【元英雄の強さ・2】
ハンゾウの店に着いた俺は、奥に行きハンゾウに何か新しい情報が無いか聞いた。
「新しい情報か……流石にまだ無いな」
「今日帰国していったから、情報が入るまでは暫く掛かりそうか?」
「そうだな。獣人国が帰国するまでの日数にもよるが、向こうに帰って新しい情報が入ったらお前に連絡をするよ」
そう言われた後、宿に帰ろうとするとハンゾウから「ちょっと待った」と止められた。
「どうした?」
「お前に頼みたい事があるんだ」
「ハンゾウが俺にか? 珍しいな」
ハンゾウが俺に頼みなんて、これまで特になかった。
だから俺は、ハンゾウから頼みがあると言われて少しだけ驚いた。
「獣人国の英雄クロムの今の実力を今度試すんだろ? その時、俺にも見せてくれないか? 向こうの話を聞いてて、こっちの大陸とどれくらい違いがあるのか確認しておきたいんだ」
「観戦か……俺だけの判断では決められないから、クロムさん達に聞いて許可が下りたらでも良いか?」
「ああ、それで構わない。可能であれば見ておきたいと思ったんだ」
「わかった。それじゃ、許可が下りたら宿の部下に伝えておくよ」
そう言って今度こそ、俺はハンゾウの店を出て行った。
それから俺は、許可取りが必要なら早い方が良いだろうと思い、クロムさん達の家に向かった。
「んっ、ジンじゃないか? どうしたんだ」
「実はちょっと、今度のクロムさんの訓練についてちょっとお話があってきたんです」
そう俺は話を切り出して、ハンゾウから頼まれた事をクロムさんに伝えた。
「成程、その情報屋がジン達に獣人国の情報を渡してくれていたのか……別に俺は構わないぞ、今回の件でかなり俺も助けてもらったからな」
「良いんですか、あいつは情報屋ですよ?」
「その相手がジンが信用してる相手なら別に構わないよ」
クロムさんは断る気は無さそうで、俺は「分かりました。一応クロエ達にも聞いておきますね」と言って宿に戻って来た。
そして夕食になり、食堂に集まった際に俺はクロエ達にハンゾウが見学に来る件について話をした。
「情報屋さんって私達もしっかりと見た事無いよね」
「普段は外に出てこないからな、出て来たとしても姿を隠してるからな」
「そっか、ならその人を確認もしたいし観戦してもらってもいいんじゃない? 私は別に構わないよ~」
レイはハンゾウ見たさにそう言うと、クロエ達も「良いよ」と言って皆から許可が下りた。
それから、許可が下りた俺は夕食を食べ終わった後にハンゾウの部下の所に行き、許可が下りた事を伝えた。
「さてと、ハンゾウの情報が来るまでは暫くはクロムさんの訓練に付き合うのと、他にする事も決めておかないとな……」
その日は話し合いやらで頭を使っていた俺は、ベッドに横になると直ぐに眠りについた。
そして翌日、久しぶりに宿の朝食を食べた俺達は、今日の予定について話をした。
「クロムさんの訓練に付き合うのは明後日からだから、それまでする事なんだけど……皆は何がしたい? 一旦、迷宮に戻ってもいいだろうし、久しぶりに冒険者として依頼を受けても良いと思うけど」
「ん~、私は依頼が良いかな~。迷宮も楽しいんだけど、今は何か外を探検したい気分」
「私もレイちゃんと同じかな」
俺の言葉にレイとクロエがそう言うと、レンとイリスも二人の意見に乗って、俺達は久しぶりに冒険者ギルドへと顔を出した。
「久しぶりです。フィーネさん」
久しぶりに冒険者ギルドへと来た俺達は、受付に居たフィーネさんにそう声を掛け、俺達は部屋に通された。
「その大丈夫でしたか? 獣人国が来て、ジンさん達が大変だとお聞きしましたが」
「はい。ご心配おかけしました。ちょっと、隠れる事になってましたが特に怪我とかはしていません」
心配してくれたフィーネさんに俺はそう言って、俺達向けの手頃な依頼は無いか尋ねると。
フィーネさんは直ぐに、依頼書の束をを取り出し。
いくつか俺達向けの候補を出してくれた。
その依頼書を俺達は見比べていると、採取系よりも討伐系に行きたいとレイとクロエが言ったので、俺達は討伐依頼を受ける事にした。
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