第48話 【報告会・1】
護衛任務を受けて数日が経ち、護衛の仕事も大分慣れた。
最初の方は学園と言うゲームの舞台に、少し緊張していた。
だが物語開始の3年前という事も有り、俺が知ってるキャラも少なく物語に関係なさそうだったので安心して護衛に集中する事が出来ていた。
「ジュン君って、魔法と剣どっちも出来るってフィーちゃんが言ってたけど本当なの?」
「はい。ただどちらも自分で考えたやり方なので、学園で教えているようなやり方ではないんです」
「あ~、そっかジュン君はまだ学園に入学できる歳じゃないもんね。でも家庭教師とかついてなかったの?」
「最初の頃は習いましたけど、ここ数年は一人でやってます。その力を姫様にも認めて貰って、今は護衛として付くことになったんです」
「へえ~、って事はある程度は戦える力があるんだ。いつか、見てみたいな~」
そんくな会話をミリアーナとしていると、黙々とノートを書いていた姫様が顔を上げ「おわった~」と背伸びをした。
昨日、宿題を出されていたが姫様はその宿題の事を忘れていたみたいで、ミリアーナに頼みノートを借りて写させてもらっていた。
世界が変わっても一緒な部分はあるんだな……。
「フィーちゃん、貸し1だからね」
「……いつもはミリアのが忘れてるでしょ、そんな事を言うなら今度から貸さないわよ?」
「ごめんなさい、フィーちゃん! だから今後も貸して!」
姫様の言葉にすぐさまミリアーナは、頭を下げて謝罪をした。
数日間こうして護衛について交友関係を見て来たが、姫様の特に仲がいいのはミリアーナとティアナだと言う事が分かった。
その他の生徒とはある程度の会話はするが、一緒に食事をしたりは殆ど無い。
「ミリアーナさんと姫様って本当に仲がいいですよね」
「まあ、従妹だしね。小さい頃は殆ど一緒に暮らしてて、友達というより家族に近い感じかしら」
「そうなんですか?」
「ええ、ミリアーナのおばあ様が私のおじい様の妹なのよ。だから小さい頃から、ミリアーナとはよく遊んでいたのよ」
そんなキャラがゲームに隠されていたのか……いやでもこのゲームならありえるな。
一人一人のキャラ設定が濃いせいか、「えっ、このキャラは出ないの?」という現象が起きていた。
設定資料にしか出てない名前だったり、ゲーム本編で名前しか出ないキャラも居た。
「そうなんですね。って事は、姫様が起こした事件も近くで見ていたりしてたんですか?」
「見てたと言うより、ミリアは一緒にやってた側よ」
「あはは、流石にお城の壁を壊した時はやっちゃったな~って反省したよね」
いやその事件にミリアーナも関係してたんかい!
そう俺は心の中でツッコミを入れた。
その後、授業の先生がやってきた為、話は終わりミリアーナさんは自分の席へと戻った。
そうして一日の授業が終わり、俺達は城へと帰宅した。
「それじゃあ、姫様。明日は学園がお休みなので、護衛は無くても大丈夫なんでよね?」
「ええ、そうね。明日と明後日はお休みだから、その間はジンさん達も仕事はお休みよ。何か予定でもいれてるの?」
「一応、一週間経過したのでギルドに今の状況を聞いて来ようかなと思います。後は、仕事の雰囲気なんかも報告してくださいと言われてるので」
城で暮らすことになる前、俺はフィーネさんから一週間たったら報告に来て欲しいとお願いされていた。
「クロエもその報告について行くので、明日は殆ど城に居ないと思いますので」
「そうなのね。分かったわ、馬車を用意させましようか?」
「あ~、いや大丈夫です。俺もクロエもそこそこ隠密は得意なので、隠れながらギルドに行きますよ。王城の馬車何て使ったら騒ぎになりそうなので」
姫様からの提案にそうやんわりと断り、城に着いたので馬車から降りて本日の仕事は終わった。
明日、ギルドに行く為、今日の訓練は少し短時間で終わらせた俺は早めにシャワーを浴びて夕食まで自室で時間を潰す事にした。
自室で瞑想をしていると、部屋の扉をノックする音とクロエの「ジン君、居る?」という声が聞こえた。
「ああ、居るよ。入ってもいいよ」
そう言うと、部屋の扉があいてクロエが部屋に入って来た。
「ごめんね。折角の自由な時間に」
「大丈夫。それで何か用?」
「うん、明日のギルドに行った帰りで良いんだけど、シンシアさんのお店に寄っても良いかな?」
「別に良いけど、何か必要な物でもあるのか? もしかしたら、俺の収納スキルの中に入ってるかも知れないぞ?」
「あっ、いやその訓練用の道具を買いたいの、前にお店に行った時に良さそうな物があったなって思いだして」
そういったクロエに俺も丁度訓練で必要な物があると言って、シンシアの店に行く事が決まった。
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