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第472話 【強者達の戦い・4】


 その後も戦いは続き、終わりが見えないなと考えていると、勇者の動きに異変を感じた。


「勇者、何かしようしてるな」


「えっ、そうなの?」


 勇者から異変を感じて数秒後、勇者の持つ槍が変化をし始めた。

 勇者の槍は大きさが1.5倍程になり、更には勇者の魔力を取り込んだからなのかオーラを纏っている。

 その槍を持つ勇者は、先ほどよりも更に早い攻撃でレイを追い詰めている。


「変化したのは大きさだけじゃないみたいだな、軽量化もしたのか?」


「そうみたいだね。さっきよりも動きが早くなってるし、魔力で槍の重さとかを変えられるんだろうね。でも、それを今までしてこなかったって事は余力を残してたって事だよね」


「あの状態を維持するのに、大量に魔力を使うのであれば勇者も無理をしてるって事になるが……」


 そう思いながら戦いを見守っていると、レイは何とか勇者の攻撃を持ちこたえている。


「レイちゃん頑張ってるけど、かなり厳しそうだね」


「——ッ!」


 クロエがそう言うと、遂に勇者の攻撃を持ちこたえていたレイは勇者の攻撃が直撃してしまった。

 幸い致命傷レベルの攻撃では無かったが、脇腹に直撃してレイは辛そうな表情を浮かべている。


「今のは痛いな、更に状況が悪くなった」


「勇者さんの攻撃についていってたけど、槍の攻撃に集中しすぎてて魔法攻撃に対する防御が疎かになってたね」


 普段であれば勇者の魔法といえど、レイなら回避する事も出来ただろう。

 しかし、今は新しい戦い方を模索中で思考能力がそちらに傾いており、魔法攻撃に対する防衛手段を疎かにしていた。

 このままだと状況が最悪のままだなと、そう思っているとレイの雰囲気がまた変わった。


「あっ、レイお姉さま思考放棄しましたよ!」


「そうみたいだな、だけどこの状況から思考放棄をしても、状況がよくなるとは思えないが……」


 勇者に攻撃を許してしまったレイは、ここまでずっと考えながら戦っていたのを捨て、いつものレイの戦いに戻った。

 苦し気な表情だったレイは、笑みを浮かべ身体能力を強化するスキルを全開放した。


「レイの奴、自爆覚悟で突っ込むつもりか?」


「いや、違うみたいだよ? レイちゃん魔法使うみたいだよ」


 クロエがそう言うと、レイは魔法を詠唱すると会場中に土の柱がいくつも出現した。

 一つ一つの大きさはバラバラで、レイはその一つの土の塔の上すら勇者を見降ろし、全身に力を入れたレイは動き始めた。


「あの動き、よく迷宮でやってる奴ですよ!」


 レイは自分で作りだした土の塔を足場として使い、空中を自由自在に移動している。

 あれはレイが迷宮でよく、壁や今みたいに土の塔を作り魔物を翻弄する為に使う動きだ。

 その動きは俺でも目で追うのはかなり難しく、レイの速さは徐々に増して行くというのも特徴的だ。


「勇者さん、何処からレイお姉さまが来るのか気づきますかね?」


「どうだろうな……勇者の勘が鋭かったり、目が良ければレイのあの攻撃は意味がなくなるだろうが。以前の勇者からは、勘が鋭かったり目が良いなんて印象は感じなかったな」


 イリスの言葉にそう返すと、レイはトップスピードを維持したまま勇者に突撃した。

 その攻撃を勇者は、槍で受け止めようと構えた。

 そして勇者の構えた槍にレイの戦斧は直撃すると、会場中に大きな振動とレイと勇者を中心とした爆風が巻き起こった。

 そして土埃が起き、勇者とレイの姿が数秒間隠れてしまった。


「あっ、レイちゃん……」


 数秒後、土埃が風で流され勇者とレイの姿が出てきた。

 力尽きて地面に倒れているレイ、そしてにその横には槍を杖代わり立っている勇者の姿がそこにあった。

 勇者対レイの勝負は、勇者の勝利と決まった。

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