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第469話 【強者達の戦い・1】


 待機室から出て会場に向かってきた俺は、同じく反対側から出て来たヨルドと軽く握手をした。


「ふふっ、ようやく貴方と戦えるわ。ずっと、楽しみにしてたのよ?」


「それはどうも……それにしても、よくもここまで全力を出さずに来れたな」


「あら? その感じ、私の事かなり調べてきてるみたいね」


 ヨルドは俺の言葉に笑みを浮かべながらそう言うと、ヨルドは見に付けてる腕輪に魔力を注いだ。

 これまでほぼ武具を付けてない見た目だったヨルドは、ガチガチの装備に身を包んだ姿となった。


「ふふっ、どうかしら? 英雄様の目にも、私は強者に映るかしら?」


「その装備を着る前から、ちゃんと強者だと思ってたよ」


 装備に身を包んだヨルドは、切る前と明らかにオーラが違っている。

 それもその筈、ヨルドの身に着けていた腕輪は【神の武具】の一つだ。


「まさか、この大会に神の武具持ちか二人も現れるとはな……」


 俺はヨルドを見ながらそう言うと、審判がそろそろ始めても良いか聞いて来たので、俺とヨルドは距離を取り試合前の準備をした。

 そして、俺とヨルドの準備が終わったのを確認した審判は、試合開始の合図を鳴らした。


「ふふっ、流石英雄様ね。私の渾身の一撃を軽く止めるなんて凄いわ!」


「軽く止めてるように見えてるんなら、冒険者も引退した方が良いぞッ!」


 試合開始早々、ヨルドはその体格には合わない超スピードで俺に接近すると、怪物の様な拳で攻撃を仕掛けて来た。

 俺は試合開始と同時に仕掛けてくるだろうと予想していたおかげで、何とかその攻撃を受け止める事が出来た。

 こんな重たい攻撃、竜王と戦った時以来だ……。


「フゥ~……」


 最初の攻撃から激しい攻防が始まり、10分程戦った所でようやく一息つく事が出来た。

 ヨルドの戦闘スタイルは、エリスさん戦で見せた魔法をサポート用として使う超前衛型の戦い方。

 レイに似ていてある程度は対応できているが、一発一発の重さは竜王に近く、10分しか戦ってないのに汗が止まらない。


「本当に凄いわ。私の全力の攻撃をここまで耐える相手と会ったのは、本当に久しぶりだわ」


「俺もこんな苦しい戦いをするのは久しぶりだ……だが、そろそろお前の動きも読めて来た。今度は、俺から行くぞッ!」


 ここまでヨルドのペースに飲まれていた俺はそう叫び、今度は俺から攻撃を仕掛ける。

 クロエ、エリスさんとの戦いを見てこいつには生半可な魔法は効かない事は理解している。

 それに魔法を撃ったところで、今のあいつには俺の魔法ではそう簡単には効かないだろう。


「本当に厄介だな、その〝神の武具〟は!」


「ふふっ、そうでしょ? かなり気に入ってるのよ!」


 ヨルドの持つ〝神の武具〟の効果は、魔法に対する耐性。

 その耐性能力は本人の技量次第らしいが、そこに関してもヨルドは完璧につかいこなしている。

 その為、変に魔法を撃てばあいつを強化スキルの餌になるだけだ。


「ッ!」


 俺はどうヨルドを倒すか、考えながら戦っていると急にヨルドから強い圧力を感じた。

 俺が考え事をしてると気付いて、【威圧】を飛ばしてきたのか!?


「どこまでも戦闘スキルが高い奴だな」


「うふっ、褒めてくれてありがとう。私と戦ってる時に、そう簡単に考え事は出来ないわよ。こう見えて、勘は鋭いのよ」


 そう笑みを浮かべるヨルドに、俺は決勝用として残しておこうと思っていたある技を使おうとヨルドとの距離を取った。

 イリスに教えながらも、俺はこの一ヵ月で自分の戦い方を更に磨いていた。

 その中で、一番力を入れたのは【刀術】の戦い方だ。

 リュドラさんから竜刀流を教わり、これまで教わった型の練習を取り組んできた。


「フゥ~……【開放】」


「——ッ!」


 【開放】とは型の練習中に偶然会得したスキルで、一瞬で溜めた魔力を全身に通わせ一時的に能力を底上げするスキルだ。

 そのスキルを使った瞬間、ヨルドは顔が引き攣った表情となった。


「さあ、ヨルド。第二ラウンドだ」


 そう俺は笑みを浮かべながら言うと、ヨルドは笑みを浮かべ「本当にあなた最高よ!」と叫び、再び激しい攻防が始まった。

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