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第453話 【武闘会・3】


 その後、勇者は一先ず自分を狙っていた相手を倒し終えると、自信の気配を薄め、存在感を消すような動きをとった。

 あの力は【気配遮断】というスキルだな、ゲーム時代で俺もよくお世話になっていたスキルの一つだ。


「あんな技も身に着けて来たのか……」


「ジンもあの技、後で教えて貰ったらどうだ?」


「まあ、便利な力ではあるけど今の俺に習得は難しいだろうな……」


 成長する前だったら、【気配遮断】も習得は出来たかも知れないが今の状態となって習得はかなり難しい。

 正直、自分がここまで有名な存在になると考えても無かったから、このスキルを取らない選択をしたのを後悔してる。


「ジンでも難しいのか?」


「存在を消す力だから、自分自身の力が強すぎると習得に時間が掛るんだよ。勇者は多分、かなり初期段階であのスキルを持っていたんだと思う」


「ジン君の存在力を消すのって、自分でも難しそうだよね」


「平凡な見た目ならまだ良かっただろうけど、ジン君って顔も整ってて強さだけじゃない所でも人から視線を集めてるもんね」


 そうクロエから言われた俺は、顔が熱くなるのを感じてこの話は終わりにして、観戦に視線を戻した。

 試合では勇者が自身の存在を隠し、それ以外の選手が激闘を繰り広げている。

 この試合では魔法も使っていいというルールな為、魔法使いから先に倒されている感じだった。

 しかし、その中に一人だけ魔法を使いながらも、敵を蹂躙してる人物がいた。


「あの魔法使いって、フィオロちゃんじゃない?」


「装備が変わってて、一瞬分からなかったがフィオロだな、まさか勇者と同じ組だったとはな……ってか、フィオロの近くで一緒に戦ってるのルル姉だな」


 フィオロだと分かった選手の横には、ルル姉がおり二人は共に戦っている。

 別に試合のルールとしては、共闘は禁止とは言われてない為、他にもパーティーで一緒の組になった者達は共闘していた。


「フィオロとルル姉か、あの二人の組み合わせはあのパーティーの中でもかなり良い組み合わせだし、勝ち上がりそうだな」


「そうだね。フィオロちゃんの魔法に、ルルさんの剣術は相性が良いもんね」


「ルルさんって、元々は普通のメイドさんだったのに凄い動きだよね」


 姉さんの味方になった後から、自己流で戦い方を覚えたと言っていたルル姉だが、今ではその剣術もかなりの腕前となっている。

 そしてそんな剣術で前衛を任されたルル姉の後ろには、姉さん達の為に強くなったフィオロが居り、あの二人は完璧な陣形を使っていた。


「フィオロちゃんってあれで、まだ能力の一部を封印されてるんだよね?」


「そうだよ。ただまあ、フィオロの場合は封印してから大分経つし、姉さん達の為にって訓練を頑張って封印された力の半分は新たに身に着けてるから、もし封印を解除したら凄い強さになるだろうな」


 フィオロは人一倍努力して、姉さん達を守る為に力を身に着けていた。

 その努力は俺は見ており、悪魔であるフィオロがあれ程、姉さん達を思ってる事に〝絆〟って凄い力だなと、改めてその光景を見た時に感じた。

 その後、試合展開は大きく変わる事は無く、勇者は終盤まで身を隠し、フィオロとルル姉が第一試合の選手達の殆どを蹴散らしてしまった。

 そうして人が少なくなった頃に、勇者は再び動き出してフィオロ達とは別の場所の選手達を倒し、三人は無事に予選を突破した。


「最初から勇者の動きを見ていた俺達からしたら、ちょっと卑怯だなって感じたな」


「まあ、あれも作戦だから仕方ないだろうな、それに勇者でバレたら囲まれていただろうからな」


「そうだね~。一度は戦ってみたいって思う人が沢山集まったら、大変な事になってただろうしね」


 俺の言葉にレイとレンがそう言うと、第一試合を突破した者達が会場を出て行き、第二試合を始める為の準備が行われた。

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