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第436話 【イリスと迷宮・3】


 翌日、俺達は初日よりも早いペースで迷宮を進んでいた。

 レイ達との連携力が更に上がったイリスは、昨日よりも速いペースで戦っている。


「レベル差があるけど【運命のサイコロ】でカバーしてて、そこまで遅れをとってる様には見えないな」


「レイ達が力を多少抑えてるとはいえ、あの動きについていける冒険者はそうは居ないだろうからな、イリスの努力あってこそだと思うが、それ以上に二人との相性が良いんだろう」


「そうだろうな……となると、俺達の役目が殆どないな」


「まあ、実際今はする事が無いからな……」


 俺達はそう話ながら、前方で楽しそうに戦っているイリス達を見た。

 初日はまだ俺の魔法のカバー等もあったが、今はイリス達だけで戦いが完結している。

 下手に手を出すよりも、元々の予定通りイリスの連携力を上げる為に俺とレンは見張り役と称したただついて来る人間と化していた。


「やっぱり、同性ってのもあるけどクロエ達からしたら妹的存在だからそこで息が合ったるんだろうな」


「それはあると思うぞ、レイは兄妹の末っ子で妹が欲しいってよく愚図っていたからな」


「そう言えば、レン達って兄姉が多いんだっけ?」


「兄が三人と姉が二人居る。家を出てから、あまり会って無いけどな」


 レイ達はあまり家族の話をしないが、兄姉が多いという事は聞いた事があった。

 話さないから家族が嫌いかと聞けば、別にそう言う訳では無さそうで、いつか予定が合ったら家族に会うという約束はしている。

 そうこう話していると、迷宮の下層へとやってきた俺達は目的の採取場所に到着した。


「イリス。どうだ下層での戦闘は?」


「はい。上層では【運命のサイコロ】を使えば、何とか押し通せていましたけど、それもきつくなってきました」


「能力値だけって問題じゃないだろうな、イリスは経験が足りないから沢山戦えば時期に慣れてくると思う」


「はい! お兄さま達の役に立てる様に頑張ります!」


 イリスは元気よくそう返事をすると、俺達はレンが満足するまで採取を続けた。


「……イリス。試したい事があるって言ってたけど、それか」


「はい! 少し前から、もう片方の手が手持無沙汰だなと感じていて魔法とか試してたんですけど、これがなんだかシックリ来たんです」


 二日目の探索を終え、休憩部屋に戻ってきた俺はイリスから試したい事があると言われて、小部屋の外に出て訓練に付き合う事になった。

 そしてイリスは両手に訓練用の刀を持ち、二刀流スタイルとなっていた。


「いやまあ、俺も試した事があるけど……かなり難しいぞ?」


 実際に俺もまだ刀を使い始めた頃、ゲームやアニメの影響もあって〝二刀流〟に憧れ、一時期練習をしていた。

 だが俺には二刀流の才能が無いのか、上手く扱う事が出来なかった。


「はい。でも自分の可能性を信じて、ちょっとやってみたいんです。お兄さま、相手役お願いできますか?」


「……わかった。早い内に向き不向きが分かっていた方が良いからな」


 そう言って俺も訓練用の刀を取り出して、俺とイリスはそこから模擬戦闘を始めた。

 幸いな事にここの階層の休憩部屋は俺達以外おらず、念の為にクロエ達には見張り役を頼んでいる。

 なので俺達は、いつも訓練をしている時の力加減で模擬戦闘を行った。


「……意外と戦える?」


 模擬戦闘を初めて10分程経った頃、俺はそれまで普通に戦えているイリスを見て驚きつつそう言った。


「なんだか思った感じに動けてます!」


「いやまさか、イリスにこんな才能があったときな……」


「自分でも驚いてます。感覚としては、そこまで違いは無いですけど二刀流の方が手数も増えてなんだか楽しいです!」


「ふむ……その状態で竜刀流の技は出せそうか?」


 楽しそうに刀を振っていたイリスに対し、俺はそう聞くとイリスは普通に二刀流の状態で竜刀流の技を披露した。


「威力は流石に多少落ちては居るけど、その分手数が増えたって感じだな……取り合えず、明日少し魔物相手に試してみるか」


「はい! わかりました」


 イリスの新たな才能を知った俺はそう言って、訓練は終えて小部屋へと戻りこの日は休む事にした。

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