第422話 【イリスへの教え・2】
準備運動を終えた後、俺とイリスは一時間程模擬戦闘を行った。
「大分、上達したな」
「ジンお兄さまの教え方が丁寧で分かりやすいおかげです。それに刀が私に合ってたのもあると思います」
そうイリスは言いながら、刀を手に取り「剣より断然使いやすいです」と続けて言った。
「その気持ちはよく分かる。俺も剣から刀に変えた時、そう感じたからな……それでどうだ。竜刀流の方はイリスとしてしっくり来てるか?」
「はい! まだ力不足でジンお兄さまと比べたらまだまだですけど、刀の扱い方としては私にピッタリです」
「そうか、それは良かったよ。俺の刀の師匠も喜ぶと思う。今は向こうも忙しいから会う時間が無いけど、落ち着いたらイリスを連れて会いに行くか」
「是非、会わせてほしいです」
そうして俺達は休憩を終えて、もう一度模擬戦闘を始めた。
「あ~、運動の後の風呂は気持ちいいな~」
あの後、昼近くまで訓練を続けた俺はイリスの体力も大分尽きていたので訓練を終えて、拠点に移動して風呂に入っていた。
それにしても、イリスの成長速度は本当に早いな……たった数日で既に竜刀流の一部をマスターしていた。
「能力値が低いせいで威力はそこそこだけど、刀の才能はあるよな……もしかしたら、俺以上に」
武神の加護持ちであるから、そっちの才能がある事は理解できるが俺だって同じ神様の加護を持ってるんだけどな……。
「まあ、でも神様の加護だからってその才能があるか分からないもんな、現に俺は剣の腕はそこそこで止まったし」
剣の神様からの加護を持ってるが、俺は剣を好きにはなれなかった。
加護があるからといって、才能が絶対にあるとかは決まりは無いみたいだな。
そう考えながら一時間程、風呂で疲れを取った俺は風呂から上がり、リビングへと移動して、悪魔に用意してもらった飲み物を飲んだ。
「あれ、イリスはまだ上がって来てないのか?」
「イリスちゃんでしたら、レン様の所に行くと言ってましたよ」
「半日訓練続けてたのに体力があるな……」
かなり疲れていたけど、イリスの回復速度は異常だな。
まあ、でも回復してなくても勉強がしたいからって想いで行ってそうだけどな……。
「そうだ。ジンさん、これから予定とかありますか? 無かったらで良いから来て欲しいと、レドラスさんが言ってたんですが」
「レドラスが呼んでるのか? 珍しいな」
悪魔の一人からそう言われた俺は、飲み物を飲みほしてレドラスいる部屋に向かった。
「レドラス。俺に来て欲しいって伝言を聞いて来たけど、どうしたんだ?」
そう言いながら部屋に入ると、レドラスとカルムが部屋に居た。
「あっ、ジンさん! 良かった。来てくれて~、レドラスが来てくれたら来て欲しいって変な頼み方してたから、来ないかと心配してました」
「うん。まあ、予定も無かったからな。それでどうしたんだ? 俺を呼ぶって事は、大事な要件なんだろ?」
俺の言葉にレドラスは頷き、俺を呼びだした理由を説明した。
「……成程な、仕事が無いから暇すぎると」
「ああ、部下達が出来た所はまだ出来ない事も多くて、暇が出る者は居なかったが。最近は、掃除のやり方もマスターしてきてやることが無い奴等が出て来たんだ」
「まあ、確かにあの人数でこの拠点は逆に人手がありすぎるからな……」
レドラス達の言いたい事も納得できるが、だからといって悪魔達に頼める仕事なんて無いからな……。
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