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第407話 【イリス・3】


 その後、30分程店内で待っていると採寸作業を終えたリーザと一緒にイリスが戻って来た。


「お兄さま、お姉さま。お待たせしてすみません!」


 イリスは戻ってくると、俺達に対してバッと頭を下げて謝罪をした。


「大丈夫だよ。それより、ちゃんと測れたか?」


「ええ、バッチリよ。後は、どんな素材にするかの話し合いだけど、どうする?」


「そうだな……力に見合ってない装備を与えたら、折角順調に成長しているイリスの成長を止めてしまう可能性がある。ある程度の性能の装備に留めておこうと俺は思うけど、皆はどう思う?」


 リーザの言葉に俺はそう言い、皆にも意見を貰う事にした。


「私もジン君と同じ考えだよ。イリスちゃんは今凄くいい感じに成長してるから、それを装備の性能で止めてしまうのは勿体ないと思う」


「私も同じ~」


「俺もだ」


 クロエ達も俺と同意見という感じで、俺は最後に装備を着る本人であるイリスに聞いた。


「イリスはどっちがいい? 性能の凄く良い装備か、ある程度の性能の装備。まあ、リーザの作る装備だからどっちも良い物には変わらないけど」


「道具に頼り過ぎたら駄目なのは分かります。なので、最高の装備は今は私には必要ないです」


 イリスは真剣な目でそう言うと、俺はリーザに「という事で、ある程度の素材で作ってくれ」と頼んだ。


「分かったわ。防具に関してはそれでいいけど、武器はどうするの? イリスは、何か得意な武器とかあるかしら?」


「得意な武器……」


 リーザの言葉にイリスは悩み始めると、裏庭に一通りの武器が揃ってるからそこで決めて来なさいとリーザに言われ、俺達は裏庭へと移動した。

 そしてイリスは、普通の剣から手に取り、短剣、大剣、斧や弓といった一通り武器を試していた。

 中には全く使えない武器もあり、イリスは失敗して恥ずかしそうにしていたが、直ぐに気持ちを切り替えて他の武器を試していた。

 そして最後に試したのは、俺が好んで使ってる〝刀〟だった。


「ッ!」


 イリスは刀を持つと何か感じたのか、何度か試していくと笑顔で「私、これが良いです!」とリーザに言った。


「へ~、弟子は師匠に似るものね。よかったじゃない、ジン」


「えっ!? ジンお兄さまもこの武器なんですか?」


 イリスが驚いたよう顔で聞いて来たので、俺は自分の刀をイリスに見せた。

 俺の刀を見たイリスは「ジンお兄さまと御揃いですね」と、満面の笑みでそう言った。


「ジン。良かったな、これで料理以外にも教えられるじゃないか」


 イリスとのやり取りを終わった後、イリスはリーザと共に再び店の奥に行くと、そうレンが声を掛けて来た。


「まさか、イリスが刀に興味を示すとは思わなかったよ」


「ジン君、嬉しそうだね。やっぱり、自分以外にも刀を使う人が増えたから?」


「それもあるけど、やっぱり自分が得意な事を教えられるってのが嬉しいんだよ。料理も得意な事の一つではあるけど、やっぱり俺の中じゃまだレンには勝ててないって思ってるからな、刀だったらそういう思いは無いから存分にイリスに教えられるよ」


 レイの質問にそう俺が答えると、レンは「ジンは頑固だな」と笑みを浮かべながらそう言った。

 それからイリスの装備の作成は直ぐに取り掛かるから、二日後に取りに来るようにとリーザに言われて、俺達は店を出た。


「そう言えば、お兄さま達は今迷宮に挑んでるんですよね? 私の為に、時間を使っても大丈夫なんですか?」


「大丈夫だよ。俺達が今挑んでる所は、かなり難しい所で他の冒険者も簡単には来れない所だからね」


「それにイリスちゃんとの時間の方が大切だからね~」


 普段、戦いにしか興味が無いレイはイリスに抱き着きながらそう言い、イリスは「レイお姉さま危ないですよ~」と楽しそうにしていた。

 そうして俺達はそのまま宿には帰らず、イリスに拠点へと案内した。


「ここがジンお兄さま達の拠点ですか?」


 イリスは拠点の建物を見ると、その大きさに凄く驚いており、そのまま中を案内すると更に驚いていた。

 特にイリスが驚いたのは、やはりこの拠点内で一番金を掛けてるレンの研究所だった。


「これ全部、レンお兄さまが使ってるんですか?」


「うん。イリスも興味があるのか?」


「はい! 昔、自分でも簡単な薬は作れた方が良いとレンお兄さまに教えて貰ってから、少しずつですが薬の勉強をしていたんです」


 そうイリスは言うと、今まで自分がどういう風に勉強していたのかまとめていたノートをレンに見せた。

 レンはそのノートを見ると、イリスいくつか質問をした。

 その質問にイリスは即座に答えると、レンは嬉しそうな笑みを浮かべ「よく勉強してるな」と言った。


「イリス。イリスさえ良かったら、俺の研究の助手にもなるか?」


「「えっ!?」」


「レンお兄さまの助手に私がですか!?」


 その言葉に俺達は勿論、言われた本人のイリスも驚いた。

 言った本人であるレンは真面目な顔でイリスを見つめていて、冗談ではなさそうだなとその顔をみて俺はそう感じた。

 その後、イリスは自分がちゃんと助手としてやれるか心配だけど、精一杯頑張ると言ってレンの助手となる事が決まった。

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