第380話 【迷宮完全攻略・1】
クロエの名案によって、本物の魔法玉を手に入れた俺達はその勢いのままその日は99層に降りる所まで攻略を続けた。
その結果、俺達は本物の魔法玉を4つも手に入れる事が出来た俺達は、気分良く今日の探索を終わる事が出来た。
「諦めかけてたのに、まさか4つも手に入れられるなんてな……」
「クロエちゃんのおかげだよね~、魔物から奪うって発想無かったもん」
「わ、私も考えついただけで成功するとは思って無かったよ。まさか、あんなに上手く行くなんて思わなかった」
迷宮の家に帰宅してきた俺達は風呂に入り夕食を食べた後、今日の成果について話をしていた。
手に入れた魔法玉の内訳は師匠に一つ、レンに二つ、そして予備として俺が一つ保管する事に決まった。
予備まで用意できたのは、本当に良かった。
「さてと、必要な物は揃った訳だが、明日からどうする? 97層からは素材集めをせずに狩りを続けてたから、一旦上に戻って素材を回収してから、99層・100層に挑むか?」
「皆が良いなら、素材を回収したい気持ちはあるけど、それで他の冒険者に抜かれるんなら諦めても良い」
レンは最初にそう言うと、クロエ達はそんなレンを見て自分達の意見を言った。
「私はどっちでもいいよ? レン君の研究に必要な物があるなら取りに行っても良いと思う」
「こういう時、レン君は積極的に言わないけど、多分欲しいと思うから一旦戻って素材の回収で良いと思うよ~。十分、戦いは楽しめたから~」
「俺は欲しかった魔法玉を手に入れる事が出来たから、素材集めに一旦戻っても良いよ。ボスさえ取られなけばいいから、そこを気を付けて素材集めをしようか」
話し合いの結果、明日からは一旦97層に戻り素材集めをする事が決まった。
その後、俺達はそれぞれの部屋に行きゆっくりと休む事にした。
翌日、予定通り俺達は97層に戻って来て素材集めをする事にした。
「って、昨日までの感覚でリウスを出したけど、今日からは別にリウスは居なくても良かったな……」
「キュッ!?」
今日も戦いが出来ると嬉しそうにしていたリウスは、俺の言葉を聞くと驚いた反応をした。
「いや、ほら今日からは素材集めだろ?」
「きゅ、きゅ~!」
俺の言葉に対して、リウスは〝魔法玉見つける〟という仕草で訴えかけて来た。
「見つけた場合、俺達が取りに行かないといけないだろ? そうなると、素材集めを中断しないといけなくなるだろ?」
「きゅ、きゅ~……」
「ジン、玉はもう必要数は手に入れたから、もし手に入れるのが失敗しても別にいいんじゃないか?」
リウスの助け舟としてレンがそう言うと、リウスはレンの事を見ながら頷いた。
「失敗した時、魔物がどれだけ強化されるか俺達は見てないから、大丈夫と言い切れないだろ?」
「……確かに、そこまで考えてなかった。すまん、ジン」
その後、リウスは戻して俺達は97層の探索を始めた。
魔法玉の回収という目的を達成した事で、焦り等も無くなった俺はレンの隣で集中して採取作業を行った。
「思ったけど、日に日にジンは素材採取の腕が上がってるよな……元から上手かったけど、この迷宮で更に磨きがかかったよな」
「そうかな? まあ、研究で使う物だから普段よりも神経を使って採取してるからだな」
この迷宮の素材は他で取れる物よりも、魔力を多く浴びて育っている為、俺の目からでも貴重な物だと理解している。
その為、普段よりも俺は集中して綺麗に取るように意識をしていた。
「元からジンは集中できるタイプだったからな、レイにも昔は採取をさせようとしていたんだけど、2回目の採取依頼で諦めたよ。レイは戦いでは物凄い集中力を発揮するけど、単純作業はどうしても5分と持たないからな」
「レイはそうだろうな、あの性格で大人しく採取作業出来る方がおかしいしな」
そう俺達が採取をしながら、レイの事を言っていると離れた所で見張りをしていたレイがこちらを見てる事に気付いた。
俺はその視線に気付いて直ぐにレンに視線をやり、それからは黙って作業を続けた。
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