第379話 【目的の物・3】
翌日、採取の時間を削り魔物狩りへと変更をした俺達は、攻略開始から既に数百体の魔物を狩っていた。
だが、その中には玉持ちの魔物は一匹も居なかった。
「根本的に玉持ちの魔物の出現率が低すぎるな……」
「そうだよね。魔物狩りに変えてから、魔物と遭遇する数は増えたけど玉もは未だに見てないよね」
「最低でも2個必要だけど、このままだとマリアンナ様から頼まれた分の1個すら怪しいな」
既に三時間狩りを続けているが、このままだと最低目標の三つすら難しそうだ。
どうする? このままここで狩りを続けるか、もしかしたら遭遇率が下の方が高い事を信じて、99層まで降りてそこで狩りをするか……。
そう悩んでいると、クロエが立ち止まり「いた」と呟き、その声に俺は視線をクロエが見つめてる先を見た。
そこには師匠が持っていた玉と同じ玉を持つ、魔法使いタイプの魔物が居た。
「玉持ちの魔物は、腕を切り落としても執念で玉を狙ってくる。前回、あそこまで執念深いとは思って無くて油断してたけど、今回は絶対に採りに行くぞ」
そう俺は皆に言って、玉持ちの魔物達へ奇襲を仕掛けた。
今回、後衛はレン一人に任せ、前衛に俺も入る事にした。
「クロエは様子を見つつ、玉持ちに奇襲を仕掛けてくれ、レイは俺と一緒に周囲の魔物を倒すぞ」
「了解!」
「ジン君と久しぶりに前衛だね! 頑張ろう!」
俺の言葉を聞いたクロエ達は、俺の指示通りに動いた。
俺とレイで魔物達の注意を引いていると、後方にいる玉持ちの魔物は俺達に向かって魔法を放ってきた。
その魔法の威力は凄まじいが、俺はその魔法と同程度の魔法を放ち相殺した。
魔物は自分の魔法が相殺された事に驚いており、その瞬間、クロエが魔物に奇襲を仕掛けて玉の回収をした。
玉を奪われた魔物は、激昂し、クロエに襲い掛かろうとした。
「お前にはもう用はないッ!」
クロエを追いかけていた魔物の前に移動してきた俺は、そう言いながら刀で魔物の首を切り落として倒した。
そして残りの魔物達も倒し終えた俺達は、念願の玉をゲットする事が出来た。
「……ってか今更だけど、魔物の道具を先に奪う事が出来るんだな」
「思い付きで前回からやってみたけど、成功しちゃったね……」
クロエもまさか成功するとは思って無かったみたいで、持ってる玉を見つめながら驚いていた。
「ジン君、やったね! これでマリアンナ様の依頼分は確保出来たね!」
「ああ、後はレンの研究用だな。クロエのおかげで、奪う事が可能な事も分かったから後は見つけるだけだな」
「その見つけるのがかなり難しいけどな」
レンの言葉に俺は頷き玉をゲット出来た喜びもあるが、玉持ちの捜索のが大事だから俺達は再び玉持ちの魔物を探し始めた。
それから、昼まで玉持ちの魔物を探し続けたが見つける事が出来ず、一旦迷宮の家に戻って来て昼食をとる事にした。
「飯を食べた後だけど、魔物が見つからなくなって来たから一旦下に降りようと思うんだけど、どうかな?」
「確かに、魔物を見つけるのが遅くなって来たし下に降りても良いと思うよ」
「私も賛成だよ」
「俺も別に良いぞ、下に降りた方が玉持ちを見つける確率が上がりそうだからな」
俺の提案に皆は乗ってくれて、昼食の後は一つしたの階に降りる事が決まった。
そうして食後、一つ下の階に降りて魔物狩りを続けた。
すると、一時間もしない内に一体目の玉持ちと遭遇した俺達は、昼食前と同じやり方で魔物と戦闘を行った。
「……二つ目もゲットしてしまったな」
「こんな簡単に手に入るとは思わなかったな……もしかして、戦い方さえ変えていたら偽物の玉ももっと手に入れられてたかもしれないな」
「それは言わないでくれ、俺も思って少し後悔してる」
たったの数時間で二つも本物の魔法玉を手に入れた俺は、やり方を変えていたらもっと手に入れられていた。
その考えに辿り着いてしまい、かなり落ち込んでいた。
「ま、まあやり方は分かったんだし、良かったと思うよ」
落ち込む俺に対して、クロエはそう慰めてくれた。
「そうだよな……でも、本当にクロエのおかげだよ。まさか、敵から奪う事が出来るなんて思いもしなかったから」
「私も出来るかな? で試しただけだから、本当に手に入れる事が出来て驚てるよ」
俺の言葉にクロエは、照れた様子で笑みを浮かべながらそう言った。
そうして二つの魔法玉を手に入れ、少し余裕が出来た俺達は再び魔物狩りを再開した。
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