第373話 【深層地帯で魔物狩り・1】
あれから三日が経ち、俺達は90層を突破して目標だった91層へと来ていた。
攻略メインで動いていた俺達は採取場所もスルーして出てくる魔物と戦闘しては先へ進み、ここまでやって来た。
「それにしても、一気に降りて来たね。アンジュさんや、他の冒険者の人達とかなり差が開いたんじゃない」
「私もそう思う。特に70層からは攻略速度落ちると思うから、結構離したんじゃないかな?」
「まあ、他の冒険者は知らないけど、ユリウスさん達は何気近い所はいるよ。既に一昨日にユリウスさんから手紙が来てたんだけど、75層に到着したって報告されたから」
そう俺が言うと、クロエは「やっぱり、アンジュさん達は凄いね」と言った。
「あそこはな、アンジュさんとユリウスさんが居る時点でも連携力があって凄いのに、そこに更にアンセルさんも居るからな……正直、アンセルさんは謎すぎるから分からないけど、あの二人の幼馴染なら相当強いだろうね」
「冒険者として最高ランクだし、実力は相当高いだろうな。それに一度しか見れなかったけど、あの人相当魔力も高かったよな」
「隠してはいたけどかなりの魔力を持ってたな、魔法使いなら相当な魔法の腕の持ち主だろうな」
未だ多くの事を知らないアンセルについて、俺とレンはそう言うと、クロエも「あの人の魔力は凄かったもんね~」と頷きながら言った。
そんな話をしながらも、俺達は91層の探索を続けていた。
俺達は91層から99層までが、本物の魔法玉を持った魔物が出る階層だと聞いたから、ここから先は探索メインで動く事にした。
「流石に91層ともなると、出てくる魔物もかなり強くなってきてるね。装備もなんだかいい物使ってるし」
「序盤はただの石のオノとかだったのに、今はシッカリと作りこまれた装備を着てるもんな……そこも多分、神様が調整したんだろうな。明らかに50層以降から様変わりしたから」
91層で既に何度か戦闘をしたが、その全てで魔物達は装備を持っていた。
基本的に武器だけだが、偶に防具も着込んでいる奴もいたり、盾を持ってる奴もいた。
ちなみにそれらの装備も戦利品として拾えたので、既に俺の【異空間ボックス】の中には沢山の武具が入ってる。
中には珍しい鉱物を使ってる武具とかありそうだから、後でギルドかリーザの所にでも渡そうと思って念の為、集めている。
「ん~、91層降りて半日経つけど、流石にこんな早くには出会わないか……」
「10分の1って言ってたしな、相当頑張らないとまず出会えないだろうな」
「偽物でもあれだけ時間掛かってたから、本物ってなると時間かけても運が無いと見つからなさそうだよね」
そう俺達は話ながら、91層の探索を続けた。
91層の素材はこれまでの迷宮の素材と比べて、更に高品質な物ばかりでレンは一つ一つ丁寧に採取していた。
「これだけあれば、色んな研究に使えるな……もしかしたら、神秘薬を超える薬を量産できるかもしれない」
そんなレンの言葉を聞いた俺は、やっぱりレンも凄い奴だなと思いながら一緒に採取を続けた。
そして91層探索一日目は、特に成果もあげる事無く俺達は迷宮の家に帰宅した。
「流石に一日目じゃ、出なかったね」
「沢山、魔物と遭遇したけど持ってた魔物は居なかったね~」
「まあ、遭遇率も低いし分かってはいたけど、本当に見つからないってなるとやる気が少し落ちるな……」
お風呂を済ませ、汗と汚れを落とした俺達は夕食を食べながら今日の振り替えりを行っていた。
「探索の効率、もう少し上げるか? 二手に分かれるとか」
「う~ん、流石にこの階層で二人ずつに別れるのはな……それに折角なら、皆の一緒に見つけたいと思ってる」
「ふむ……その考えも分かるけど、今のままだと見つけるのに相当時間が掛るんじゃないか?」
「それもそうなんだよな……」
レンの言葉に俺は、二手に分かれた方が良いのか悩んでいると、クロエから「リウス君を呼んだらどう?」と提案された。
「リウスか……確かにリウスなら感知能力も高いし、暫く外で戦闘をしてないから戦闘欲が高まってるだろうな、それにこの深層地帯ならリウスの攻撃でも素材が全部駄目になるって事も少ないだろうし」
「それに今なら、冒険者の人も近くには居ないからリウス君を呼んでも問題にならないと思うよ」
そうクロエの言葉を聞いた俺はその提案を受け入れ、明日からの迷宮探索にリウスも参加させる事を決めた。
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