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第363話 【深層へ・3】


「——皆、気をつけろ。モンスターウェーブがくるぞ」


 攻略再開から一時間程が経ち、68層も中盤辺りに差し掛かった頃、迷宮の異変を察知した俺はそう皆に注意した。

 モンスターウェーブ、その名の通り魔物が波の様に押し寄せてくる現象の事で50層以降から偶に起きる現象の事だ。

 出てくる魔物は基本的にその階層に出てくる魔物で構成されていて、最低でも20体は一度に魔物が現れる。


「やっぱり、下に行くにつれて頻度が増えてるね」


「そうだな、敵の強さも上がって来てるし、普通のパーティーだと苦戦しそうだな」


 1体1体かなりレベルの高い魔物な為、普通のパーティーだとそれを20体も対応しないといけないとなるとかなり厳しいだろう。

 それこそ、高レベルの冒険者が居るなら話は別だが銀級冒険者位だと厳しいと思う。


「さてと、話は終わりにするか。来たぞ」


「ドドドド——」


 武器を構えていた俺達の所に、統制がとれてない魔物達は現れた。

 互いに傷つけ合いながらも、一直線に俺達に向かって走ってくる魔物達に対して俺達は陣形を取り迎えた。

 クロエとレンの魔法で足を止め、俺とレイが左右から魔物達を倒して行く。

 シンプルだが、一番効率の良いやり方で倒し、5分もしない内に魔物達は全て倒し終えた。


「あっ、見てみてジン君! この魔物、綺麗な玉持ってるよ!」


「んっ? あっ、それは——」


 戦闘を終えてレイから呼ばれた俺は、近くによってレイが持ってる玉を見ると、それは師匠から頼まれた物に酷似していた。


「これって、マリアンナ様が言ってたアイテムなの?」


「いや、でも似てはいるけど師匠が持っていた程、魔力は感じないな……レン。図鑑で確認してもらっても良いか」


「ああ、良いよ」


 採取はレンに任していて、その為図鑑もレンに持たせていた。

 俺はレンに頼んでそのアイテムを確認してもらうと、そのアイテムの名前は〝疑似・魔法玉〟という名前だった。


「ふむ……という事は、師匠の持ってる物の偽物って事になるなこのアイテムは」


「そうだな、でもこの説明に書いてある通り、殆ど同じで魔力が半分しかたまらないだけで殆どは同じらしいぞ」


「なら、一応これも師匠に渡してみるか、皆も良いかな?」


 俺の頼みに対して、皆は許可をしてくれてこの偽物も師匠に渡す事が決まった。


「それにしても、これの本物ってなると相当凄い物だろうね。この偽物でも、かなりの魔力を感じるよ?」


「ああ、俺も最初師匠から見せて貰った時は驚いたよ。両手で持てるサイズの玉なのに、その中からは得体のしれない程の魔力を感じ取れたからな……あれを真似て作ったのが悪魔の封印玉らしいけど、本物をより調べられたらより良い物が出来ると師匠は言ってたな」


「今でも悪魔を封印できる程の物なのに、より良い物ってどんな物を作ろうとしてるんだろうね……」


 現状でも悪魔を封印できる封印玉を作れる師匠なら、それ以上のものとなると……。


「もしかしたら、神の力も封印出来るかも知れないな」


「……それも可能だとは思うけど、師匠が神の力を封印する為に研究してるとは考え難いな」


「ん~……だとすると、もしかしてマリアンナ様って自分の力を封印する為に封印玉を作ってるのかも? だってほら、魔女さん達って強すぎて楽しくなさそうだし」


「自分の力を封印か……まあ、そっちの方が可能性としては高いと思うけど、師匠って戦いに興味は殆どないように見えるしな」


 レイの言葉に俺はそう返し、取り合えず師匠の目的は分からないまま、俺達は攻略を再開した。

 攻略再開後、モンスターウェーブも起こる事無く70層まで突破した。


「70層のボスは、ドラゴンか」


 ボス部屋の前から扉を少し開けて中を確認すると、70層のボスはドラゴンという事が分かった。


「これは戦い甲斐のある相手だね!」


「ドラゴンか、なんだかスカイさん達を思い出すね」


「ドラゴンの素材を採れるのか、やる気が出て来たな」


 一人だけ相手を素材としか見てないが、70層のボスがドラゴンという事に全員がやる気となっていた。

 そして俺達はボス部屋の中へと入り、戦闘を始めた。


「ガァァァ!」


 本物のドラゴンよりも小さいが迫力はあり、ドラゴンの放つ咆哮は凄まじい威力だった。

 しかし、本物を知っている俺達は怯む事無く作戦通りに動いた。

 クロエ達の魔法で気を引いて、俺とレイによる物理攻撃でドラゴンの両翼を潰した。

 そして飛べなくなったドラゴンは、ブレスを放ってきたがクロエ達の魔法で相殺して、最後は俺とレイでドラゴンにとどめを刺した。


「ん~、やっぱりドラゴンなだけあって戦い甲斐があったね!」


「そうだな、咆哮とか本物に比べたらちょっと残念だったけど、それでもドラゴンらしい戦い方をしてて楽しかったな」


「ブレスもかなり強かったし、久しぶりにあそこまでの魔法を使ったよ」


「俺は素材だけしか興味無かったが、まあそれなりの相手だったな」


 そう俺達はボスを評価した後、ドラゴンの死体を回収して先へと進んだ。

 そして俺達はボス部屋を出て、目標だった深層地域へと向かった。

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