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第361話 【深層へ・1】


 50層攻略から五日が経ち、俺達は現在60層を攻略した段階に居る。

 難易度調整が入ったおかげで、道中の敵は更に戦い甲斐のある魔物が増え、ボスもかなり能力が修正されていた。

 流石に全体を見て決めた能力値な為、俺達からしたらまだまだだけど、それでもこれまでよりも楽しめる迷宮へと変わっていた。


「ってか、ジン達で数日で10階層しか進めてないって事は、お前の言葉以上に能力が変わってるんじゃないのか?」


「そうでもないぞ? 俺達の場合、今は攻略と言うより探索をメインに動きながら進めているからな、今まではレンに攻略に付き合って貰っていたから、今は探索に俺達が付き合ってるんだよ」


 現在、俺は迷宮攻略を休みにしてハンゾウの元に50層以降の迷宮の情報を伝えに来ていた。


「成程な、それでここまで攻略速度が変わってるのか……まあ、一応部下も迷宮に入れてるし、そいつらの情報と合わせてより正確な情報となったら、迷宮の情報を欲してる奴に売るとするか……」


「お前の部下は今どの階層あたりに居るんだ?」


「そこまで弱い奴では構成してないから、30層は超えたとは言ってたな」


 ハンゾウの部下でも30層を超えているのか、だとするとアンジュさん達もそろそろ50層に到着するか、攻略段階に入ってそうだな。


「さてと、そろそろ情報の共有は終わったし、姫様の所にでも行ってくるよ」


「珍しいな、迷宮攻略を初めて姫様の所にはあんまり寄ってなかったのにどうしたんだ?」


「ユリウス達の方の情報を聞く序に、姫様には昔から色んな冒険話をしてるからな、気分転換にしてこようと思ってな」


 そう俺は言ってハンゾウの店から出て、俺は王城へと転移で移動した。

 事前に手紙で来る事を知らせていた為、姫様は「久しぶりね」と驚くことなくそう挨拶をしてきた。


「お久しぶりです。どうですか、最近は? 何か変わった事はありましたか」


「そうね。前まではよく来てくれてた冒険者の人達が、迷宮に夢中で全く寄ってくれなくて寂しい思いはしているわね」


「……」


「ふふっ、嘘よ。ジン達が神様の迷宮に夢中なのは分かっているわよ。前に行こうとしてた迷宮の事も忘れて、夢中になっているものね」


 姫様にそう言われた俺は、行こうとしていた迷宮という言葉に首を傾げた。

 えっ、俺ってどこかの迷宮に行こうとしていたっけ?


「……その様子、完全に忘れてたみたいね。ほらっ、前にトコルタ王国の迷宮に行くって言ってたじゃない」


「そう言えば、そんな事を言った記憶が……その日、パーティーで酒を飲んで二日酔いで完全にその事を忘れてますね。レイ達も多分、楽しい気分になって忘れてて俺達神の迷宮が出るまでは何処に行くか暇だって話してたんですよね」


 成程、ここ最近ずっと何か忘れてるなと思っていたけど、トコルタ王国の迷宮の事だったか、なんだかスッキリしたな。


「取り合えず、その迷宮には今は行かないと思います。今の迷宮が楽しいですし、まだまだ楽しめそうなので」


「へ~、今のジンがそこまで言うって事はそれなりに強い敵が出てくるのね? どんな敵が出てくるのかしら?」


 その後、俺は姫様にこれまでのボスとの戦いや、迷宮で出会った面白い魔物との戦いの事を話した。

 その中にはユリウスが話した魔物も居たらしく、それにはユリウス達も苦戦していたという話を聞いたりした。


「やっぱり、ジンの話は良いわね。依頼が終わっても、偶に来てねってお願いして良かったわ」


「まあ、俺自身人にこうして話すのは楽しいですし、一国の王女様と繋がりを持ててるのは大きいですからね」


「あら? 私の事を王女様って扱いしないくせによく言うわね?」


 姫様は俺の言葉に対して、笑みを浮かべながら挑発的にそう俺に言ってきた。


「一応、してますよ。ほらっ、今も敬語ですし」


「敬語って言っても、偶に崩れてるじゃない? まあ、私としてはジンからしっかりとした敬語で話されるより今のが良いけどね。こんな風に私と話してくれるのは、本当に数人だけだもの」


「ミリアーナさん達ですね。最近はどうですか、会ってるんですか?」


「偶にね。でも、あの子達もそろそろ結婚とかの話が出てきて忙しいみたいね」


 そう姫様は言うと、お茶を一口飲み「私もそろそろ決めないとね」と言った。


「えっ、姫様って結婚とかそういうの考えてたんですか?」


「考えてるわよ。これでも第一王女よ? ただ魔王が現れるまで閉じ込められた生活をしてて、それの反動でそういうのが嫌になって全くしてこなかっただけよ。最近は、周りもちゃんと見るようになって、少しは良いなとはおもうようになったのよ」


「成長したんですね」


「……やっぱり、私の事を王女と思ってないでしょ?」


 睨みながら姫様はそう言うと、溜息を吐いて「ジンはどうなの?」と俺に聞いて来た。


「何がですか?」


「結婚よ。貴方も私と歳が近いんなら、そういうの考えるんじゃないの?」


「ん~、そう言われても俺も女性関係は全くですからね……女性の知り合いは沢山いますけど」


「確かにジンって女性と仲が良いってイメージはあるけど、誰かと特別な仲とはイメージ付きにくいわよね……」


 姫様は俺の事をよく見ているみたいで、俺の言葉に納得しながらそう言った。

 それから、俺はこの話題はお互いにきついと分かり、話題を変える事にした。


「最近の王都はどうですか? 一応、情報では色々と聞いてますけど、流石に貴族関係とか国関係は知らないですから」


「そうね。落ち着いてはいるわよ。神聖国と帝国っていう面倒な国が同時に潰れた事で、今は世界が始まって一番落ち着いてる時期かもしれないってお父様が言っていたわ」


「それは良かったです。色々と問題が起こってたので、知らない所で起きてないか少し不安ではあったんですよね」


「魔王討伐から、色々とあったものね……私も魔王を倒せば平和になると思ってたけど、その後の方が何なら忙しかったまであるものね」


 姫様は今もまだ国の事などで動いているらしく、早く全部落ち着いて俺達みたいに旅行に行きたいと嘆いて話し合いは終わった。

 話し合いが終わった後、俺は姫様に「また来ます」と言って、迷宮の家に戻って来た。

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[一言] ひょっとしてジンと姫の結婚フラグ?
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