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第359話 【まだ続くよ迷宮攻略・3】


「あれ、ジン君? 戻って来てたんだ」


「帰ってたんだね。おかえり~」


「うん。ただいま、それと訓練お疲れ」


 迷宮の家に帰宅してから二時間程たった頃、リビングで資料に目を通していると、クロエ達がリビングにやって来て俺が居る事に気付いた。


「それ、新しい資料?」


「そう言えば、ジン君ってギルドとハンゾウさんの所で情報を集めてきてるんだよね? 何で二つも行ってるの?」


「迷宮の事はハンゾウ達よりもギルド側のがまだ色々と知ってるからそっちで聞いて、外の事をハンゾウに聞いてるんだよ」


 レイの質問に俺は、そう答えながら見ていた資料をテーブルに置いた。


「二人はもう訓練やらないの?」


「ううん。ちょっと、飲み物を取りに来ただけだよ。もしかして、ジン君も一緒に訓練するの?」


「ずっと座ってて体を動かしたくなったから、ちょっとだけ参加させてほしいと思ってね。良いかな?」


「「勿論」」


 クロエ達から許可された俺は、それから準備をしてから裏庭に移動した。

 この家の裏庭は拠点の所よりも広く作られていて、またどんなに暴れても壊れない仕様となっている。

 流石、迷宮内に作られた家なだけある。


「ジン君、どっちで戦うの? 魔法? それとも、武器を使った戦い?」


「う~ん、そうだな……【体術】はどうだ? 最近、あんまり使わないからなまってそうだから」


「【体術】か~、私も最近はやってなかったし良いかも」


「私も賛成~。先に誰がやる?」


 それから順番をくじで決め、俺達は久しぶりに【体術】を使った戦いを行った。

 以前に比べて、俺も含めクロエとレイも身体能力が強化されていて、一瞬でも気を抜くと視線から外れてしまう。

 特に獣人族のクロエは元々そっちの才能が高いのと、【体術】の基礎がしっかりしていて歩法が俺達とは違っている。


「やっぱり、【体術】だけだとクロエちゃんが一番強いね~」


「身体能力では俺の方が高いが、技とかクロエはシッカリと覚えているからな」


「最近はあんまり【体術】の訓練してないけど、小さい頃から両親に体の使い方を習ってたから体に染みついてるんだと思う。ジン君達も今からでも習ったら、凄く上達すると思うよ?」


 クロエからのその提案に対して、俺とレイは顔を見合わせ「やめとく」と誘いを断った。


「正直、ちゃんと何かしらの技とか習ったら色々と役立つんだろうけどさ……正直、今で十分だしな」


「うん。それに私は戦斧で破壊する方が気持ちいいから、使わない【体術】よりも今よりもっと戦斧の扱い方が上手くなりたいかな?」


「そっか~、まあやりたくないなら仕方ないね~。それに私も、こんな風に【体術】とか使えるけど結局は魔法で戦う方が好きだしね」


 そうクロエは言いながら、手に魔法を発動させてお手玉をした。


「本当にクロエちゃんって、魔法が上手いよね。獣人族の人って、基本的に魔法系が苦手なんだよね?」


「種族的に苦手だから、クロエみたいに扱える獣人は多分ほぼいないだろうな、ちょっと使う程度なら出来る人も居るだろうけどな」


 火をつける程度だったり、風をちょっと起こす程度だったら獣人族の中でも探せばいるだろう。

 だけど、基本的に獣人族は高い身体能力の代わり、絶望的に魔法の才能が無いのがこの世界の設定だ。

 クロエがここまで魔法が使えるのは、本人の努力そうだが、加護の力も少しばかりはあるだろう。


「加護って、獣神様だよね? それが魔法と何か関係があるの?」


「獣神様がっていうより、加護自体に少なからず本人の成長をサポートする力があるから、クロエは加護の力と魔法を使いたいと言う思いがあったからこそ、今の様に魔法が上手くなれたんだと俺は思っている。まあ、結局凄いのはクロエの努力なのは変わりないが」


 加護があった所で魔法が苦手なのは変わりないから、そこを乗り越えたクロエの努力は本当に凄いと俺は今でも思っている。

 そう俺がクロエの事を褒めていると、クロエは顔を赤くして「も、もうやめてよ……」と恥ずかしそうにしていた。


「ジン君って偶にこういう所あるよね~、今はまだ仲間内でしか発揮されないけど、いつか女誑しとか噂されるよ?」


「えっ、何でだ? ただクロエが凄いって褒めただけだぞ? それに女誑しって、俺は今まで女性関係で悪い噂は一度も出た事が無いぞ?」


 そう俺が言うと、レイは何故か溜息を吐き「レン君と張り合えると思うよ」と言われた。

 その後、訓練は終わりにして解散となり、その日の夜に俺はレイに言われた事を戻って来たレンに聞いてみた。


「分からん。そもそも、俺も女性関係は全くだからな」


「女誑しって、俺そんな風に見えるか?」


「……さあ? 俺は男だしな」


「……だよな」


 結局、男同士では何の解決にもならず、少しモヤモヤとしながら俺はその日は休む事にした。

 翌日、昨日はあれだけモヤモヤしていた俺だが、攻略に集中する為に気持ちを切り替えた。

 そして、リビングに集まったクロエ達に声かけを行った。


「体調に問題がある人はいないね?」


 皆の体調を確認した俺は、誰も問題が無い事を確認して家を出て51層へと移動した。

 ここからは難易度調整が入り、かなり変わっていると聞いた。


「よし、それじゃ最下層に向かって攻略を再開だ!」


「「お~」」


「……」


 俺の言葉にクロエとレイはのり拳を挙げ、レンは無言で拳を挙げ、俺達は攻略を再開した。


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