第353話 【遊戯神の迷宮攻略・3】
それから俺達はボス部屋から、報酬部屋へと移動した。
すると前回同様、部屋の中央が光るとそこからメイが現れた。
「「メイちゃん!」」
「あわわ、クロエさんにレイさん、いきなりは驚きますよ~」
メイに抱き着くクロエ達に対して、メイは笑いながらそう言って楽しそうに三人はわちゃわちゃしていた。
それから暫くしてから、20層攻略の報酬の話となった。
「今回の報酬ですが、5層の時とは違って特別な報酬などはありません」
「そうなのか、まあ毎回特別な報酬が用意されてたら凄い事になりそうだし、5層の時点で凄い報酬だったからな……あのレベルなら、分けても良かったんじゃないのか?」
「それは遊戯神様が決めておりますので」
私にもわかりません、とメイは言うと20層攻略の報酬を出してくれた。
今回の報酬は、この迷宮内で使える図鑑ともう一枚メイに会える券だった。
図鑑は一度発見した物がどこで獲れるのか、またどの階層がよくあるのかというのが全て記される図鑑らしい。
5層での報酬が凄すぎて、何となくイマイチな感じに思えるが、十分凄い物だ。
「これがあれば、レンが欲しいものが採れるな」
「ああ、無駄に採取する時間もなくせるし便利なアイテムだな……」
「喜んでもらえて良かったです」
メイはそう笑みを浮かべると、次の報酬部屋の階層を教えてくれ、俺達は報酬部屋を出た。
「次は50層か、かなり長い期間会えないな」
「うん。でもいざとなれば、券で呼べるからね。悲しくないよ……」
「いつでも会えるって思ったら、そこまで悲しくないよ……」
そういうクロエ達だが、かなり心にダメージを負っていた。
また報酬部屋のついでに、この迷宮がどこまであるのかも聞いた。
「迷宮の階層ですか? 現在は100層が最後となっています。そこを攻略しますと、遊戯神様と会う流れですね」
現在は、と意味深な言い方をしていてちょっと気になっているが攻略する階層も無事に知れた。
本当は前回聞いておくべきだったのだが、聞くのを忘れていた。
それから俺達は報酬部屋を出た後、安全地帯へとやって来て、これからの事について話し合いを始めた。
「それにしても100層が最後って事は、今のペースでいっても数日はかかるな」
「そうだね。それに今は序盤だから良いけど、これから先はどんどん敵も強くなるだろうから、今のペースを維持するのは難しいよね」
「ボスは楽だけどね~、探索エリアは普通の迷宮よりも範囲が広くて時間が掛っちゃうよね」
「俺としては色んな物が手に入るから、探索エリアが広いのは嬉しいけどな」
そう皆は現状の意見を言うと、どうするか意見を出し合う事した。
「正直、ここまで割と俺達でも楽しめる迷宮は無いと思うから、じっくりと攻略したいという思いは俺はあるかな」
「ジン程強くなっては無いけど普通の場所だと、こんなに戦闘でも採取でも楽しさは感じられないからな」
「そうだよね~、他の所では味わえない緊張感も感じられたもんね」
「今の所、ボスは弱いけど、その他はかなり満足出来るもんね」
まあ、レイの言葉通り10層と20層のボスはかなり弱いように見えてしまった。
「でもじっくり進めてたら、他の人に先を越される可能性もあるんじゃないかな? だってほら、アンジュさん達も挑んでるでしょ」
「確かにな、最初に完全踏破したいという気持ちもある」
クロエの言葉に俺は頷きながらそう言うと、レイも「折角なら、一番が良いよね~」と言った。
「俺の予想だと、メイの言葉が正しければ20層到達は俺達が初らしいから、次に攻略しているのはギルドの調査員達でその次位にアンジュさん達だろうね」
「私もそうだと思うよ。ほら、ここに入る時に集まってた人達居たけど、その中だと他の人達は有名な人とかは居なかったもん」
「ああ、俺も一応全体を見てみたがあの場には居なかったな、もしかしたら後から来たという可能性もあるかもだけどね」
「それでも初日からってアドバンテージはあるから、私達の次に攻略しそうなのはアンジュさん達だよね」
そう俺達は予想を立て、アンジュさん達ならどう動くだろうか予想をした。
アンジュさんとユリウスの二人だけならば、姫様の都合にも合わせて時折報告をする為に戻るだろう。
だけどそこに、アンセルも合わせるとなると……。
「正直、あのアンセルさんがユリウスさん達に合わせて予定を合わせるのか分からないな……迷宮攻略の間だけって言ってたし、早々に終わらしたいって気持ちがあるかもだからな」
「だよね。少しでも気を抜いたら、抜かれそうだよね」
そうして話し合いの結果、一番をとるならこのまま頑張るしかないだろうとなった。
元々、レン以外は一番を取りたいと言う気持ちがあった為、最終的にレンに決めて貰う流れになった。
すると、レンも一番最初の攻略者というのは気になっていたみたいで、俺達に合わせてくれると言った。
「よし、それじゃ今後の予定も決まった事だし、今日は行ける所まで行ってみるか。どうせ次の報酬部屋は50層だし、採取の時間も多めに取りながら行くか」
そう言って俺達は安全地帯を出て、次の階層へと降りて行った。
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