第351話 【遊戯神の迷宮攻略・1】
そしてギルドへと情報を聞きにやってきた俺は、受付でフィーネさんを呼んでもらい部屋に通してもらった。
「ジンさん達が攻略が早いのか分かっていましたが、まさか半日で目的の10層まで攻略して戻ってくるなんて予想してませんでした」
「久しぶりに手応えのある場所で、皆のやる気が高かったおかげですね。いつにも増してレンも楽しそうだったので、それで少し早く攻略して来たんです」
「そうだったんですね。ジンさん達が満足するという事は、神様が作った迷宮というだけあるんですね」
フィーネさんはそう言うと、俺が頼んでいた迷宮の情報をまとめた資料を見せてくれた。
そこにはギルドが調査して分かった事が書き記されていて、これとハンゾウの所で貰った資料を照らし合わせればより正確な情報となるだろう。
「そう言えば、俺達以外に戻ってきた人達って今の所いるんですか?」
「いえ、今はいませんね。ただ私の予想だと、ジンさん達位だと思いますよ10層まで攻略しているのは、ギルドの調査でも5層まで攻略するのだけでも数日かかりましたから」
「確か、平均レベルでしたよね? もしかして、高レベルの方が調査したんですか?」
「はい。アスカが久しぶりに体を動かしたいと言って、戦女として活動してた時に知り合った方達を連れて調査をしたのですが、皆さんレベルが高くそれで苦戦を強いられてしまって、一層攻略するのだけでも数時間かかったとアスカが言ってました」
この世界だとアスカがどこまで成長したか分からないが、それでも魔王討伐に成功してるという事は最低でも50以上はあるだろう。
という事は、それと同レベル帯の人達と言っても平均レベル50位のゴブリン達相手だろうから、そりゃあ苦戦もするだろうな。
「他の冒険者達も変にレベルが高い人が居たら、苦戦しそうですね……」
「そうですね。それで言いますと、アンジュさん達は大丈夫ですかね? 3人共かなり高レベルですからね」
「あ~……あそこは多分、大丈夫だと思いますよ。アンジュさんもそうですけど、他の二人も相当できる人だと思いますから」
フィーネさんのアンジュ達を心配に思う言葉に対して、俺はそう返しながらあの時見たアンセルの事を思い出した。
あの人の強さは相当な物だろう。
それこそ、ユリウスと互角かそれ以上の強さを持っていそうだと、あの時感じた。
「まあ、俺達の次に10層攻略が出来そうなのはアンジュさん達でしょうね……その間に更に先に進もうと思いますけど」
「また直ぐに迷宮に戻るんですね」
その後、ギルドを出た俺は宿へと戻り、リカルドに一日だけ止まったら明日からまた迷宮探索に出掛けると伝えた。
「そうか、まあジン達なら大丈夫だと思うが気をつけろよ。強いからって油断するなよ」
「大丈夫だよ。そこに関しては一番気を付けてるからな、神の迷宮だから下に行けば行く程、珍しい物が出そうだから何かよさげな物があったらお土産として持って帰ってくるよ」
そうリカルドに言った後、先にシャワーを浴びた俺は丁度良く夕食の時間に出てきて、食事にする事にした。
「あれ? ジン君達、戻って来てたの?」
夕食を食べていると、出かけていた姉さん達が戻って来た。
「うん。一旦ね。また明日から、迷宮探索に戻るよ。その感じだと、姉さん達は迷宮に入れなかったみたいだね」
「まあね~、ただ第二探索者の枠組みには何とか入れたよ。だからその間は、皆で準備して万全の状態で挑む事にしたのよ」
「そう言う事で、私達は今は準備期間に入ってるの」
そう姉さん達が言ったので、俺は姉さん達に応援の言葉を掛けて、一緒に夕食を食べて部屋に、横になって資料に目を通した。
そして次の日、朝食を食べた俺達はその場で〝迷宮の腕輪〟を使って、10層を突破した後の安全地帯へと転移で移動した。
「本当に一瞬でこれたね~、凄い腕輪だね。この〝迷宮の腕輪〟ってアイテム」
「この迷宮でしか使えないのが唯一のデメリットだけど、暫くはこの迷宮にお世話になるからいいアイテムを貰ったな……よし、早速探索をはじめようか」
本当に一瞬で迷宮へとやって来れた俺達は、興奮もつかの間直ぐに探索を始めた。
10層後、11層から19層までは再び探索エリアだと聞いた。
そして20層にはボスが配置されていて、そこを突破すれば二度目の報酬部屋だ。
「メイちゃんともう一度会う為に」
「会う為に」
「「頑張るぞ~」」
クロエとレイは余程、メイの事が気に入ったのかそう意気込み、レンはレンで採取に夢中になっていた。
これは、また早く攻略しそうだな……そう俺は思いながら、皆に指示を出しながら先へと進んだ。
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