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第33話 【姫様からの依頼・2】

 そして翌日、フィーネさんからの言われた通り朝食を食べ少し待っていると、王城が寄越した馬車がやって来たのでそれに乗り王城に向かった。

 進路的に先に乗っていたクロエは「おはよ~、ジン君」と、若干眠そうな顔で挨拶をしてくれた。


「おはようクロエ、また眠れなかったのか?」


「うん、やっぱりお城に行くって緊張しちゃって……ジン君普通そうだね」


「まあ、色々とあって考えるのが面倒になった結果、グッスリと寝てたな」


 そう俺が言うと、クロエは「ジン君こそ大丈夫なの?」と逆に心配された。

 その後、クロエと俺は馬車に揺られ、王城の前に連れてこられた。

 門番の人は既に伝達されていたみたいで、俺とクロエはすんなりと敷地内へと入った。


「ジン様、クロエ様。お待ちしておりました」


 敷地内に入ると執事の人が現れそう挨拶をされ、俺達はその人に姫様の所まで案内された。

 今回連れてこられたのは前回の姫様の部屋ではなく、王城の敷地内にある庭の様な場所で姫様はそんな場所で優雅にお茶を飲んでいた。

 姫様と軽く挨拶をすると、執事の人は離れていきこの場には姫様と俺達の三人だけとなった。


「この度は俺を匿う為に動いて頂き、ありがとうございます」


 話を始める前に、俺はそう姫様に感謝の言葉を口にした。


「ふふっ、私が勝手に動いただけよ。それにジンさん達を他の人に取られたくないもの」


「ヒッ!」


 獲物を見るような目つきで俺とクロエを見ると、クロエは姫様の視線に悲鳴を上げた。

 そんなクロエの悲鳴に姫様はニコリと笑みを浮かべると、クロエに近寄り顔を寄せた。


「あら、クロエさん? まだ私に慣れてくれてないのかしら? あの時は色々とお話したのに」


「あっ、そのっ……じ、ジン君……」


 姫様に詰められてるクロエは、涙を目に浮かべて俺に助けを求めて来た。


「姫様、その位にしてあげてください。クロエ、まだ慣れてなくて今日も少し寝不足気味なので」


「そうだったの? それは、ごめんなさい」


「あ、あう……」


 俺の言葉に姫様はサッとクロエから離れると、クロエは力が抜けて机にもたれかかった。


「それにしても姫様は、俺とクロエの事を思っていた以上に気にかけてくれていたんですね。一般人の俺達をここまで王族の方が気にかけるのなんて、普通だったらありえないですよ」


「面白いから気にかけてるのよ。片方は生後間もないころから家から出されていなかった方で……もう片方は他国の英雄の子ですからね」


「ッ!」


 英雄の子、その言葉にクロエはビクッと体を反応させた。

 姫様の口ぶりからクロエの秘密を知っていそうだったけど、そこまで知っていたんだな。

 クロエのキャラ設定の一つに英雄の子という設定がある。

 ゲームでは詳しく出てこなかった為、俺も詳しい事は知らない。


「何で、父の事を知ってるんですか……父が英雄だと、この国では誰も知らない筈です……」


「私の部下は腕利きなのよ。大丈夫よこの事を知ってるのは私とその部下だけ、お父様達にも言って無いから」


 国王達に知られてないと聞いたクロエは、ホッと胸を撫でおろすとハッとした顔で俺の方を見て来た。


「ジン君、黙っててごめんね」


「別にクロエの父親が英雄だろうと、俺には関係無いしクロエが自分の事をあまり喋ろうとしてなかったから気にしてないぞ」


 申し訳なさそうな顔をしてるクロエに俺はそう言った。


「クロエさん一つだけ聞いてもいいかしら? 何で英雄だった人がこの国の平民として生活してるの」


「……多分、もう色々と知ってると思いますけど私達は元々獣王国の出身です。獣王国の危機を救った英雄として、獣王国では扱われていたんですが父はそんな扱いをされるのが苦手だったんです。だから誰も知らない国に、私と母を連れて〝英雄の自分〟を捨てて生活してます」


 ゲームでもそこについて知らなかった俺は、初めて明かされたクロエの父の秘密を聞いて内心驚いていた。


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