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第329話 【その後・1】


 デュルド王国の英雄、今度は世界を救う!?

 悪魔を召喚して世界の陥れようとしていた神聖国をドラゴン族と共闘して倒し、世界の危機を英雄は救った。

 勇者セインに続き、世界を救った彼の名はデュルド王国の英雄ジン!


「……人が休養してる間になんて物が発行されてるんだよ」


 神聖国での粛清から五日間、俺は宿の部屋で安静に過ごしていた。

 その間、基本的に人間関係は全てシャットアウトして、クロエ達とも会っていなかった。

 食事すらもリカルドに部屋に持ってきてもらっていて、風呂だけは皆が寝静まった後に汗を流すだけ流して再び部屋で過ごしていた。

 そして久しぶりに外の情報でも得ようと思い、俺はハンゾウの所に来ると変な新聞を見せられ、その内容に一気に気が落ち込んだ。


「まあ、仕方ないんじゃないか? あそこまで徹底的にやったら、隠す事も出来ないだろうから、それなら逆に大々的に発表した方が良いって国も思ったんだろうよ」


「……確かに、俺の名は使っていいとは言ったけどまさかここまで大々的に使われるとは思ってなかった」


「そりゃ使うだろ? ドラゴン族に、世間にはバレてないけど魔女まで一緒だったんだろ? 隠せるはずないなら、大々的に使うしかないだろ」


 その言葉に俺は納得する部分もあり、それ以上は反論できなかった。

 新聞には神聖国の上層部の奴等の処遇も書かれていて、何か隠していないか今も尋問していると書かれていた。


「この尋問中ってのは本当なのか?」


「ああ、悪魔を使っていたから、隠し事が無いか徹底的に尋問しているらしいぞ」


「そうなのか……まあ、神聖国内に居た悪魔は全部こっちで封印してるから大丈夫だとは思うが、他国に隠れ潜んでいたら分からないからな。念の為、師匠には悪魔が居ないか探っては貰ってるけど下位の悪魔は力が弱くて見逃すかも知れないって言ってた」


 俺がそう言うと、ハンゾウは「魔女が捜査に協力してるのは力強いな」と笑いながらそう言った。


「そういや、あいつがジンに会いたがっていたがどうする?」


「どうせ、俺と再戦したいだけだろ? ちゃんとした成果を上げたら、考えると伝えてくれ」


「……女の噂は全く聞かないが、剣聖に続いて元聖騎士団団長からも熱い視線を貰うとは、お前ってもしかしてそっちの気があるのか?」


「あるわけないだろ!」


 ハンゾウが今言ったように、あの時俺と戦った神聖国の聖騎士団元団長は世間は俺と戦い死んだ事になっている。

 しかし、実際はハンゾウの部下として今も生きている。

 剣術だけで言えばユリウスやアンジュ以上で、更にそこに精神力も高いと来た。

 正直、あの場で殺すかどうか迷っていたせいか、心臓を突き刺したと思っていた俺の刀はズレていて仮死状態で生きていた。

 あと少し発見が遅れていたら、そのまま死んでいたかもしれない。

 そして発見後、俺はレンお手製の薬を飲ませハンゾウの所へと送った。


「それでどうなんだ? お前の部下としては使えそうか?」


「十分使える人材だ。これまでは情報収集に長けたやつらばかり集めていたが、悪魔とやらを見てからは戦力の方もあった方が良いと思ってた所だったから戦力強化の一人目としては、十分な実力の持ち主だよ」


「それは良かったよ。押し付けた形だったから、迷惑だったらどうしようか悩んでたからな」


「俺としては有難かったよ。それにあいつ自身も、これまで世界に対して見て見ぬ振りをしてきた罪を償えるとやる気に満ちてたからな、まあそのやる気がありすぎて他の奴等が付いていけてないが、まあその内周りも慣れるだろ」


 それから情報が書かれてる資料を受け取り、俺は拠点へと移動した。

 神聖国への粛清後、拠点に住む悪魔はあれから更に増えた。

 というのも、封印した悪魔をどう処理するのか迷っていた。

 力を奪って悪魔界に戻した所で、またこっちに迷惑を掛けてくる可能性もある。

 ならこっちで監視して奥のが良いだろうという事になり、レドラスにその役目を任せる事にした。

 レドラスとしてもより効率よく掃除をする為、下位悪魔を受け入れ今はその指導にもあたっている。


「様子見に来たけど、結構いい感じに指導出来てるみたいだな」


「悪魔としての力はなくなっても、悪魔としての生き方が染みついてる奴等だからな力が弱くなってるとはいえ俺は仮にも上位悪魔だから、俺の指示にはちゃんと従ってる。勿論、ジンに対しても同じだけど、俺とは違ってジンは恐怖の対象として見られてるがな」


 そうレドラスが言うと、俺が来てからサーと逃げて行った悪魔達がこっそりと俺達の事を見ていた。


「まあ、見下されるよりはいいか。それで、この数日間なんか困った事とかあったか? 一応、お前に色々と負担してもらってるから足りないものがあれば渡そうと思ってきたんだが」


「そうだな、強いて言うならこっちに回す金を少し上げて欲しいって事位だな。悪魔も別に食事を必ずとらなきゃ死ぬって訳じゃないが、あいつらの楽しみが食事位でそれくらいはちゃんとやってやろうと思ってな」


「金か、分かった。取り合えず、一旦この袋分渡しておくよ。残りはクロエ達と話し合って決めるから、それまでにまた足りなくなったら言いに来い」


 そう言って俺はレドラスにお金が入った袋を渡すと、こっそり見ていた悪魔達が少しだけはしゃいでいた。

 悪魔が喜ぶ位って、最近の食事は何を食べていたんだ?

 そう俺は思いレドラスに聞くと、レドラスとカルムは肉とか普通に食べていたが金銭的事情から他の奴等は野菜炒め生活だったらしい。

 俺はそれを聞いて、少しだけ悪魔達に同情した。

 それから特に問題も無いみたいなので、俺は拠点から宿の部屋に転移で戻り、ハンゾウから受け取った資料の中身を確認する事にした。

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