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第321話 【破滅へ・1】


 翌日、俺は一日休んで何とか体調が元に戻った。

 今回、晩餐会って事で少し無理をして飲んでたけど、付き合い程度に飲むレベルの時点で俺は酔っていた。


「別に酒が弱いって訳じゃなかったけど、飲まない期間があると弱くなるな……」


 この世界だと、酒の年齢は決められていない。

 というのも祝い事の席だと子供でも飲む為、貴族の場合だと子供でも酒に詳しい人が居るとか聞いた事がある。


「ジン君って、やっぱりお酒苦手だよね」


 朝食を食べに食堂に行くと、俺はそんな風にクロエから言われた。


「いや、そこまで苦手じゃないと思うぞ? ただ飲まない期間があったから、体が慣れてなかったんだと思う」


「ジン君、弱いお酒でも直ぐに酔っちゃうくらいにはお酒苦手だよ。自分で気づいてないの?」


「……えっ、そうだっけ? 俺のは記憶だと、前は普通に飲めてた気がするけど」


 レイの言葉に俺はそう返すと、クロエが「ジン君、前からお酒苦手だよ」と言ってきた。

 えっ、そんな筈はないぞ? 前に何回か飲んだ事があるけど、あの時は普通に飲めていた気がする。


「ジン君と初めて飲んだ時に、ちょっと強いお酒飲んだらジン君すぐに潰れちゃったんだよ。それから、ジン君と飲む時は弱いお酒だけにしてたんだけど、それでもジン君って直ぐに酔っちゃって皆でジン君はお酒が苦手なんだって認識してるんだよ」


「本当にな、どんなに弱い酒でも数分後にはジンは顔が赤くなってるから、これでも駄目なんだって毎回思ってた。それにジンって、飲んだらその時の記憶が半分くらい無くなってるから、自分が弱い事を認識してないんだよ」


「悪い酔い方はしないから、まだ良い方だけどね。ジン君って酔うと、眠くなるみたいで今回も姫様が近くに居たから、別室に連れて行って晩餐会が終わった後に王城で馬車で宿まで送ってもらったんだよね」


 クロエ達の話を聞き、俺は「マジで俺、酒に弱いの?」と聞き返した。

 すると、クロエ達は動きを合わせて頷き、俺はその事実に少しだけショックを受けた。

 これまで普通に飲めていたと思ってたけど、お酒に弱かったのか……。


「まあ、でも別に落ち込まなくても良いと思うぞ? 酒に関しては、人それぞれだからな。体質的に合わない人とかも居るから、ジンはそっち側だったって事だろ」


「そうだよ。それにジン君は、お酒が全く飲めない訳では無いからね」


「うんうん、だから落ち込まなくても大丈夫だよ」


 落ち込む俺に対して、クロエ達はそう元気づけようとしてくれた。

 俺は皆の言葉を聞いて、少しだけ気を持ち直して「ありがとう」とお礼を言った。

 その後、朝食を食べ終えた俺達は再びいつもの様に二手に分かれて、王都の見回りへと出掛けた。


「そう言えば、クロエ達は昨日なにしてたんだ?」


「普通に私とレイちゃんは拠点で訓練したり、午後は買い物に出掛けてたよ。ジン君は一日寝てたんだよね?」


「ああ、酔いつぶれて一日無駄にしたよ……」


 歩きながら俺達は、休みの日は何をしていたかという話題で話していると、遠くの方から争ってる様な声がした。

 俺達はその声がする方に速足で向かうと、そこにはそこでは知り合い同士がトラブっていた。


「……アンジュさん、ユーリさん。こんな所で何してるんですか」


「えっ、ジン!?」


「じ、ジン君……」


 そこではいつもの冒険者風の服装ではなく、着飾った服装のアンジュとユリウスが居た。

 二人共、お洒落をしていてもしかしてデート中だったのか?

 俺はそう思ったが、紛らわしい事をしたのは二人だから「騒ぎ声が聞こえて、来たんです」と正直に伝えた。


「あっ、ごめんね。ちょっと、言い合いになっちゃって」


「なっちゃってって、あんたが約束の時間に来なかったんでしょ? 私は来たくないって言ったのに、約束を取り付けたあんたが遅れて来たんでしょう」


 アンジュはそうユリウスに対して怒ると、フンッとそっぽを向いた。

 そんなアンジュに対して、ユリウスは「ごめん」と謝罪をしていた。


「……クロエ。行こうか」


 俺はそう言って、その場からクロエを連れて離れた。


「なんだかんだ二人共、仲良くしてるみたいだね」


「そうみたいだね。アンジュさん怒ってたけど、本気では怒ってなかったもんね」


「ああ、本気だったら帰ってただろうからな……」


 それにしても、知り合いのデートを目撃するとはな……なんだか申し訳ない事をしたような気持ちになった。

 その後、俺達は見回りへと戻り自分達の持ち場の見回りを終え、宿屋に戻ってくるとレイ達もデートしているアンジュ達を見かけたと言った。


「私達が見た時は喧嘩してる風じゃなかったよ?」


「そっか、それならあの後、ちゃんと仲直りしたんだな」


 レイのその言葉に、無事にユリウスはアンジュに許されたと分かった。

 それから俺達は互いに情報交換を行い、今日は騒動が起きてない事が分かった。


「今日は一件も騒動が起きてないんだ。不思議だね。今まで、毎日小さないざこざは起きてたのに」


「逆に気味が悪いな……」


 一件も騒動が起きてないという事実に、俺達は不安に感じた。

 そして、いつもならここで解散をするが、今日は再度見回りに出掛けようという事になり、俺達はもう一度王都の見回りをする事にした。

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