表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
302/583

第302話 【勇者の旅へ向けて・2】


 帝国に問題があるなら、その周辺に旅に行くのは問題事が起こる可能性があるからと、そっち方面の旅は止めておくべきとなった。

 それなら何処が良いかとなり、悩んでいたので俺は「竜人国なんてどうですか?」と提案した。


「あそこなら多少強くても、バレる事はなさそうですので騒ぎにはならないと思いますよ。それに竜人国とは、魔王討伐でも世話になったので国王と話をすれば協力してくれると思いますよ」


「竜人国……確かに、あそこなら力を出してもバレる可能性は低いね。それにあの国なら、旅で行った事が無いから僕の事を知る人も少ないし、いい場所かも」


「それに竜人国なら丁度、俺も転移で行けるので当初の転移で移動させてほしいと言う頼みも聞けます」


 勇者は俺の提案に対して、そう乗り気で答えると姫様が「なら竜人国で決まりね」と言って第一の旅先を竜人国に決まった。

 行き先が決まれば後は大分簡単に決まり、竜人国には先に勇者が隠れた旅に行くからそっとしておいてほしいという連絡も送る事にした。

 そんな感じで話し合いで色々と決まると、従者の一人がノラを呼びに行った。

 そして、それから数分後、ノラは従者と共に部屋にやってきた。


「……貴方がジンさん?」


 ノラは部屋に居る人を見渡すと、俺の方を見てそう聞いてきた。

 そんなノラの質問に対して、アスカが「そうよ。この人がジンよ」と言うと、ノラはペコリと頭を下げた。


「裏で色々としてくれたって聞いた。ありがとう」


 そうノラは簡潔にお礼を言うと、トテトテと歩いて行き勇者の隣の席に座った。


「……マイペースな人ですね」


「うん。元々は人里で暮らしてなかったせいもあって、他人とのコミュニケーションが苦手なのよ。旅の最初の頃なんて、意思の疎通が出来なくて本当に困ってたわ」


 俺の言葉にアスカがそう答えると、勇者はノラに話し合いで決まった事を伝えた。

 するとノラは自分の分の変装道具を受け取ると、従者と共に部屋を移動して着替えに向かった。

 そして数分後、変装したノラが出てきた。

 ノラの見た目は、勇者の妹に見える様にと元々の幼い感じを出しつつ、髪色と目の色を黒にされていた。


「これならバレなさそうですね」


「ええ、どこからどう見ても普通の兄妹ね」


 どちらも落ち着いた雰囲気のある感じに仕上げられていて、これなら兄妹ですと言えば騙せそうだ。

 その位、何処からどう見ても瓜二つだった。


「勇者様と同じ髪色ですね」


「うん、そういう風にしてもらったんだよ。ノラは気に入った?」


「……気に入ったと思う」


 ノラは少し微笑みながらそう言うと、勇者も笑顔を浮かべ「それは良かったよ」と言った。

 その後、後は旅の準備をして俺の転移で送るだけだが、旅の準備は慎重にしないと馬鹿達に見つかってしまう。

 その為、姫様は自分の分だけを使い勇者達の旅の道具を準備させるから、数日待って欲しいと勇者達は言われて、話し合いは終わった。

 話し合い終了後、俺は宿に戻り待機していたクロエ達に話し合いの結果を伝えた。


「という事は、今回は特に俺達がする事は無いって事か?」


「うん。やるのは俺の転移だけだから、皆は勇者が旅に行くまでは自由に過ごしててもらおうかなと思うんだけど、どうかな?」


 勇者の旅を送るまで実質王都から出れない俺はクロエ達にそう言うと、クロエ達は「それでいいよ」と言葉を返してくれた。


「丁度、お父さん達から久しぶりに帰ってこないか? って言われてたから、私は暫く実家の方に顔を出しに行ってくるね。何かあったら、家の方に来てくれたら王都からは出ない様にしておくから」


「了解。レイ達はどうする? レイ達も両親に顔を見せに行かなくてもいいか?」


「魔王討伐も終わったし、一度くらいは顔を見せに帰った方がいいかもな……どうする。レイ?」


「う~ん、クロエちゃんも実家に帰るなら私達も帰ろうか。それに王都の外と言っても、近くだし直ぐに帰って来れるしね」


 レイ達はそう言うと、俺以外の三人はそれぞれ実家に一度顔を見せに行く事が決まった。

 取り合えずレイ達の故郷の街と家の場所を聞き、何かあった場合は直ぐに呼びに行く事が出来る様にして、話し合いは終わった。

 その後、明日にはクロエ達は実家に帰るからとリカルドにそういって、部屋はそのまま借りたままの状態にしておくと伝えた。

 その日の夜は、実家に帰るクロエ達のちょっとした見送り会をする事にして、クロエ達とその日はいつもより遅くまで一緒に過ごした。

【作者からのお願い】

 作品を読んで面白い・続きが気になると思われましたら

 下記の評価・ブックマークをお願いします。

 作者の励みとなり、作品作りへのモチベーションに繋がります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] こういう家族の話の度にジンにも姉が2人も生き延びててくれて良かったと思う。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ