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第293話 【魔王討伐に向けて・3】


 ハンゾウの店を出た後、宿に戻ると王城からの使いの方が居たので、その人と一緒に王城へと転移して向かった。

 今朝、姫様から連絡を貰った後、直ぐに王城の方に国王との面会を申請して、その申請が受理されたと使いの人から聞いた。


「それで、ジン達も魔王討伐に向かうのか」


「はい、姫様の我慢がそろそろ限界に近いようなので」


「……フィアリスは我慢は出来るけど、限界が来た時は凄い事になるからね。ジン君、あの子の事を頼むよ」


 国王はブルッと昔、姫様が暴れた時の事を思い出しながらそう真剣な顔をして言ってきた。

 俺はそんな国王の顔を見つめ、世界樹の事を話すべきか悩んでいた。

 そんな俺に国王は、笑みを浮かべて「何か話したいことでもあるのかい?」と聞いてきた。


「あっ、えっと……そうですね。貰った相手なので、話しておくのが筋だと思うので王様にだけは伝えておきます」


「貰った相手? もしかして、世界樹の事か?」


「はい、これをみたら王様なら察していただけると思いますが……」


 俺はそう言って、世界樹の枝と葉を【異空間ボックス】から取り出して国王に見せた。

 国王はそれらを見て、驚いた顔をして世界樹の枝と葉を見た。


「……まさか、渡してからこんな直ぐに世界樹の素材を目にするとは思いもしなかった。これだけ見せるという事は、世界樹を植えた場所は教えられない場所にあるという事かな?」


「はい。すみません、世界樹を育てる環境を師匠と話した際に人間が近寄れない場所でしか育たないと言われまして……見せる事も出来ないので、一応こうして世界樹から採れた物を渡そうと思い持って来たんです」


「ふむ……まあ、気にしてないと言えば嘘になってしまうが。あれはジンに渡した物だから、ジンが好きに使う分には儂や国からは何も言わん。それにこうして、世界樹の素材も持って着てれたしな、儂としてはこれだけでも十分すぎるよ」


 国王はそう言うと、世界樹の事はもう気にしなくても良いぞと言ってくれた。


「……良いんですか? 俺が言うのもあれですけど、世界樹がどこにあるとか気にならないんですか?」


「言えないという事は、それ相応の事情があるんだろ? それを無理に聞く訳にも行かないし、何よりジン君はこの国の英雄だ。そんな人相手に無理に聞くなんて、愚かなことは出来ないよ」


 国王は笑みを浮かべながらそう言って、この国の王様がこの人で良かったと俺はそう感じた。

 その後、国王から世界樹の素材についてこの場から移動させてほしいとお願いされて、俺は国王と共に国の宝物庫へと移動した。

 そして宝物庫の中でもかなり厳重に保管されている所に、世界樹の素材を置いて俺は城を出た。


「取り合えず、前線に行く前に伝える場所に伝えたな……後は、リーザに頼んだ装備の整備が終わるのを待つだけか」


 宿に帰宅した俺は、一先ずやる事は終わったと思い部屋のベッドに横になった。

 すると少しして、部屋の扉をノックされ、扉を開けると外にはフィオロとレドラスが立っていた。


「どうしたお前達?」


「どうしたって、俺の力騒動が終わったらまた封印されたから文句を言いに来たんだよ! 約束しただろ、お前の仲間を守ったら力を少し開放させてくれた状態にしてやるって」


「私も、マリアンナに話してやるって言ったのに、何も変わってないわよ!」


 フィオロ達は俺が言った事を覚えていた様で、そう怒った顔で俺に詰め寄ってきた。


「覚えてたのか……」


「忘れるわけないだろ! お前に認めて貰うために、力が僅かしかないのにこの街を守る為に魔物から守ったんだぞ!」


「私もレドラスと一緒に街を守ったんだから、ちゃんと評価してよ!」


 二人はそう自分達の功績を言うと、俺に目で〝力の開放〟を訴えて来た。

 まあ、でもこいつらが頑張ってたのは本当らしいし、師匠に話はしておくべきか……。


「という訳で師匠。こいつらの力、少しだけ開放させてやって欲しいです」


「弟子ちゃんが良いなら良いけど、あまり悪魔の事を信用しちゃ駄目よ? 何をされるか、分からないんだから」


「師匠の言う通り、最近は感覚がバグってきてますね。まあ、でもこいつらに関しては対価を渡す働きはしたんでお願いします」


「わかったわ。……言っておくけど、弟子ちゃんがやってほしいっていうから一部、力の開放をするだけよ? もしも、弟子ちゃんを裏切ったら、分かるわよね?」


 師匠がそう悪魔達を脅すと、フィオロは涙を浮かべながら「わ、分かってるわよ」と反論気味にそう言葉を返した。

 その後、フィオロとレドラスは少しだけ力を戻り、嬉しそうに二人で喜んでいた。

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