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第273話 【進軍・1】


 それから特に問題は起こる事なく時間は進み、勇者達の調整・軍隊の最終調整が終わったと報告をされた。

 危険視していた魔王軍に手を貸している国々は、動く前にこちらが気づいたおかげで竜人国の手助けもあり帝国以外の小国は鎮圧に成功した。

 そして一番の元凶である帝国に関しても、これ以上人類の邪魔をするのであれば魔王軍討伐の前に先に潰すぞ? と脅した。

 その効果は大きく、これまで調子に乗っていた帝国はすんなり大人しくなった。


「ありがとね。ジンがいたから、帝国も黙るしか無かったみたいね」


「いえ、俺も帝国の動きには少し思うところもありましたからね。ちょっと、師匠の手を借りただけです」


 魔王を討つ為に集まった国の中には、竜人国もいるのだが帝国はそれでも黙らなかった。

 連合国は数回、話し合いの場を設けたのにも関わらが帝国は態度を改めず、そんな帝国に対し姫様から手を貸してほしいとお願いされた。

 帝国がいつまでも邪魔していると、魔王討伐に勇者達や軍を動かせない為、俺は姫様を頼みを聞いて帝国に話し合い(脅し)をしに行った。

 その際、俺は帝国を一発で黙らせる為に師匠に手を貸してもらった。

 本当だったらこんな事に師匠を巻き込みたくなかったのだが、師匠の方から手を差し伸べてくれた。


「弟子ちゃんが困ってるのに、見てるだけの師匠なんて嫌だもの」


 そう師匠は言って、帝国を脅しに行く際についてきてくれた。

 ついでといわんばかりに、その時に空島で暇をしていたスカイも一緒に来て、更に帝国を怖がらせることになった。


「それにしても驚いたわね。ジンの師匠が魔女って事は知ってたけど、まさかドラゴン族の王子も一緒に連れてくるなんて……本当にジンの人脈は異常ね」


「否定はできないですね。怖がらせるなら親父もつれてこようか? ってスカイに言われた時は、流石にやりすぎだろうって止めましたけどね」


「それは流石に、帝国が可哀そうだものね」


 姫様は少しだけ帝国に同情して、そう言った。

 その後、話は今後の魔王軍との戦いについてへと変わった。

 現在進行形で魔王軍の進軍に対して、連合国の一つである竜人国が対処してくれている。

 一人で数百数千を相手とれる竜人のおかげで、魔王軍の進軍初期とは変わって人間側の被害は殆どない。


「それでいつ頃、軍隊と勇者達は国を出る予定なんですか?」


「今のままうまく準備が進んだら、三日後には王都を発つ予定よ」


「そうですか、わかりました。でしたら、俺達は軍が魔王軍と衝突しそうなところに後から行きますね。一応、王都に攻めてくる可能性もありますから最後まで残っておきます」


「ええ、お願いするわ。ジン達がこっちに居るなら、私達も安心して進軍ができるわ」


 姫様はそう言うと、今回の帝国との話し合いの報酬を出して、俺はそれを受けとり【異空間ボックス】の中に入れた。


「そういえば、結局移動は転移は無しで行くんですか?」


「ええ、結局話は進まなくて転移はせずに行く事になったわ。まあ、転移が使える人が少なくてその人達にだけ負担をかけさせるのも悪いし、進軍する事でやる気も上がるみたいな話が出て結局移動は自分達でやるみたいね。正直、私は転移でさっさと向かった方がいいと思うんだけどね」


 今回の魔王軍との戦いで、大事な移動はどうするのかという話し合いが数日前行われた。

 姫様や数名の人達は俺やティアナ、レーヴィンの転移魔法で移動したらどうかという話が出た。

 しかし、その意見に反対する者もいて進軍する事で、相手への威圧効果や軍隊の指揮が高まるという意見を言うものがいたらしい。


「反対の意見出した人達は進軍しない癖に、意見なんて出す意味ないでしょ……絶対、見栄の為よ」


「まあまあ、落ち着いてください」


 姫様は話し合いの事を思い出したのか、徐々に怒りのオーラを出して拳を強く握った。

 こんな時でも見栄を張る人間がいるとは、俺もバカだなと思う。

 見栄をはったとして、それでもしもの失敗したら意味がないのにな。


「こんな姿、見せてごめんね」


「俺も同じ立場ならそうするかもしれないので、謝らないでください。それに今日は俺だけですから、愚痴も聞きますよ」


「そう? なら、少しだけ付き合ってくれるかしら」


 その後、姫様から愚痴を聞かされた俺は、姫様も色々と溜めこんでいるんだなと感じた。

 そうして愚痴を聞いてもらった姫様は、少しだけ楽になったみたいで「愚痴を聞いてくれて、ありがとう」とお礼を言ってきた。


「いいですよ。姫様には色々と任せてますからね。……勇者達のお守り頑張ってください」


「……ええ、魔王討伐が終わるまでは頑張るわ」


 愚痴の中でも一番多かったのは、この間も問題を起こしていた勇者達への愚痴だった。

 なので俺がお守り頑張ってくださいと、言うと姫様は覚悟を決めたような顔をしてそう言った。

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