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第272話 【戦女達・3】


「いや~強かった。全く手も足も出なかったわ」


 試合が終わると、アスカはそう笑いながらそう言った。

 かなり色々と溜めこんでいたみたいだし、俺と戦えて少し発散できたんだろうな。

 そう思いながら俺は観客席の方を見て、途中から気になっていた人物へと視線を向けた。


「あら、フローラじゃない。貴女もこっちに来てたのね」


「はい、アスカさんがソーと何処かに行ってるのが見えて目で追っていたらジン君達の所に行ってたから、私もあそこにいるよりこっちに来た方がいいと思ってきたんです」


 アスカの言葉にフローラはそう答えると、俺の顔を見て「久しぶり、仁君」と笑みを浮かべながら言ってきた。

 そんなフローラに「ああ、久しぶり」と言葉を返して、まだ姫様の方は終わってないのか聞いた。


「私が出てくる前はまだ言い争ってたよ。今回は、約束を破って喧嘩してたから、ものすごく怒ってて収まる様子は無かったかな」


 フローラは自分が出てくる前の姫様達の様子について、そう答えた。


「姫様が怒ってるのって約束が破られたからってより、この集まりから一人だけ行かされたのが大きいと思うけどね。なんだかんだ一番、楽しみにしてたの姫様だったしね」


「フィーちゃんって、自分の楽しみを奪われる事が何よりも苛立つ性格だと思うから、私もそう思う」


 俺の言葉にミリアーナがそうウンウンと頷きながらそういうと、ティアナとクロエ達も同じ意見だった。

 その後、フローラも交えて俺たちは少しだけ模擬戦闘についての話をしていた。


「ねぇ、ジン君。フローラさんって、魔法使いなの? それとも剣士なの?」


 会話の途中、小声でそうクロエが聞いてくると、クロエの隣にいるレイも「私も気になってた」といった。

 そうか、フローラってあまりニュースでも活躍した話が出てこなくて、どういう戦闘スタイルなのか知らないのか。


「フローラは父親のノヴェルさんと同じ〝魔法剣士〟だよ。それもノヴェルさん仕込みの戦い方な上、戦女としての能力が合わさってかなり威力の高い魔法を使いつつ、接近してきた相手には剣で戦い。接近戦・遠距離戦共に実力は高いよ」


「魔法剣士……かっこいい!」


 レイは話を聞くと、〝魔法剣士〟という点が気に入ったのかそう目をキラキラと輝かせながらそう言った。


「そ、そんなかっこいいなんて……は、恥ずかしいです」


 レイからキラキラとした眼差しで見られたフローラは、そう顔を赤くしていうとサッとアスカの後ろに隠れた。

 フローラは戦女の中で唯一、恥ずかしがり屋という性格でニュースに取り上げられるのも嫌という性格をしている。

 それはゲームでも同じく、恥ずかしいと感じると勇者に助けを求めていた。

 この世界だと勇者とは一定の距離感らしく、助けを求める相手はアスカらしい。


「フローラさんの事、あまり知らなかったのだけどこんなかわいい子だったんですね」


 ティアナがそういうと、ミリアーナも「うんうん、もっとドンッて構えてる子かと思ってたけどそうじゃないんだね」と意外だったと言った。


「お父様達からはもう少し胸を張ってもいいって言われてるんです……でも、そのあまり人前に出るのは好きじゃないんです。戦女に選ばれてしまった時も、どうにかして出ないようにできないかジン君に相談に乗ってもらったこともあるんです」


「……あの時は流石に困ったな。泣きながら相談されて、フローラが泣いてるのを見たノヴェルさんからは娘を泣かしたのか? と怖い顔して見られたり、いろいろと大変だった」


 当時の事を思い出しながら、俺はそういうとフローラは恥ずかしそうに「ご、ごめんね」と謝ってきた。

 三年前、ノヴェルさんからフローラとの仲を取り持ってもらい〝友達〟となっていた俺は、フローラから度々相談を受けていた。

 その相談の一番最初に、そんな問題が起きてしまった。

 ノヴェルさんに事情を説明するまで部屋の温度が極寒に近い程、寒くなって震えながら説明をしたのを今でも覚えている。

 その後、フローラと昔の事を思い出しながらお互いに色々と成長したという話をしていると、疲れた顔をした姫様が戻ってきた。


「お疲れ様、姫様」


 そう俺がいうと、皆も続いて姫様を労いつつ迎えた。


「……こっちは楽しそうだったみたいね。アスカとフローラは、途中から姿が見えなかったけどやっぱりこっちに来てたのね」


「あそこにいても空気が重いだけだったしね」


「わ、私も同じくです。そのあの場は人の視線もあったので……」


 姫様の言葉にアスカとフローラがそういうと、姫様は「私も嫌だったわよ」と言いながらベンチに座った。

 あの後、姫様は今の今まで件の戦女達の説教をして、曖昧な言葉で二人の肩を持つ勇者にも同じように注意をしてきたと言った。

 勇者君、とんだとばっちりを受けたみたいだな……まあ、姫様も自分の楽しみを奪われてイライラが収まらなかったんだろう。


「それでどうなったんですか? 何か罰とか与えたんですか?」


「ないわよ。どうせ、与えたところで意味ないもの。とりあえず、長々と説教して魔王討伐に専念しなさいって言ってきたわ。魔王さえいなくなれば、好きにしてもいいってね」


 姫様はまだ機嫌が悪いのか、少し言葉遣いが荒い感じでそういった。

 それから流石に自分の状態が悪いと感じていた姫様は、今日は解散しましょうと言って、解散する事になった。

 フローラとアスカは久しぶりに俺達と話しができたのがうれしかったのか、また話がしたいと言って去っていった。



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― 新着の感想 ―
[一言] ジン(転生)とフローラって恥ずかしがり屋と周りに言われてるあたりお似合いなんだけどね
[良い点] サクサク読めるところ [気になる点] 誤植、誤変換が多い。 勢いのある文章ですが、随所にミスが多いので、 校正チェックを掛けると良いかと。
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