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第271話 【戦女達・2】


 それから俺達は、こっちに来たアスカに何があったのか詳しく聞いた。

 アスカから聞いた喧嘩の内容は物凄くどうでもよく、些細な事が原因で元々仲が悪い二人が事を大きくしたといった感じだった。

 ゲームの時も酷い時はあったけど、最後の方はなんとなくだがまとまっていたのにな……。

 そう俺はアスカの話を聞いて、内心そう感じていた。


「そんな状態で魔王討伐なんて行けるのかしら? 連携力が心配ですね」


「そこは毎回、私達がサポートしてるという感じね。……正直、それが無かったら苦戦しない相手にも苦戦する事無く楽に勝てるんだけどね」


 アスカはポロッと本音を漏らすと、それに対して「アスカ達も大変なんだな」と同情した。

 ちなみにゲームではこの頃には既に勇者と恋人に近い距離関係になっていたが、この世界では面倒見の良い姉というポジションに落ち着いているみたいだ。

 他の戦女達の関係性も調べてみたが、フローラとアスカ、それとノラは勇者とは一定の距離間で接しているらしい。

 双子とアンナとナナリーは、勇者の取り合いをよくしているらしく、今日も勇者が原因で喧嘩が起きている。


「最近は問題児達の面倒ばかりで、魔王軍とも真面に戦って無いわ。本当に竜人国やジン達には申し訳ないと思う日々よ……」


「私達も最近は自由に過ごしてますから、そんな風に思わなくても大丈夫ですよ。それにアスカさん達は今まで沢山頑張ってましたし」


「まあ、それは一応は神様から選ばれて国からも色々と援助してもらってるから、私達はやるべき事をやってるだけよ」


 アスカはそう言うと、俺の事をジッと見つめて来て「少し時間あるかしら?」と聞いて来た。


「姫様があの様子だと、暫くはこっちに戻ってこれそうにないだろうから、それまでだったら時間はあるけど」


「そう。ならちょっとだけ私に時間くれないかしら? 最近、あの子達の面倒ばかり見てて強い相手と戦えてないのよ」


 アスカの言葉に対して、俺は「俺と戦いたいのか?」と聞いた。


「ちょっとだけ模擬戦闘の相手になってほしいのよ。頼めるかしら? 本当は、後で勇者と戦う予定だったんだけどあの子達のあの様子だと多分無理そうなのよ」


「まあ、俺は良いけど……ティアナさん達はどうしますか?」


「戦女の一人とジン君の戦いか、姫様の様子を見守る……うん。ジン君の方が楽しそうだから、そっちに行く」


「私も~、ジン君とアスカさんの戦いの方が面白そう」


 ティアナとミリアーナは姫様と俺を交互に見ると、俺の方に来る事を決めた。

 勿論、クロエ達もこっちに来ると言ったので取り敢えず近くに居た従者の人に終わったら知らせて欲しいと言って、さっきの所に戻って来た。


「武器だけ? それとも魔法もあり?」


「魔法は無しでお願いできるかしら、折角抜け出してきたのにバレたくないもの」


「了解。んじゃ、一応周りに消音の魔道具でも設置しておくか」


 そう言って俺は【異空間ボックス】から消音用の魔道具を取り出し、クロエ達に設置をしてもらった。


「ジンの事、昔から知ってたけどこうして戦うのははじめてね。ちょっとワクワクしてきたわ」


 アスカはそう言うと、準備体操をして定位置についた。

 そして俺とアスカに準備が出来たかクロエが確認すると、試合開始の合図をクロエが出した。


「ハァッ!」


 アスカは気合の入った声と共に接近して、剣を振り下ろしてきたが俺は刀でその攻撃を受け流して少し距離をとった。

 流石、ギルドマスターというだけあって一振りで剣術の技術が高い事が分かった。

 攻撃をかわされたアスカは驚く事はなく、平然とした様子で更に攻撃を仕掛けて来た。

 一定のリズムでの攻撃ではなく、時々リズムも崩して攻撃をしてくるアスカの剣術はこれまで戦って来た剣士とは全く違っていた。

 設定資料にはアスカの使う剣術は独学で学び、そこに元踊り子だった母から習った踊りを付け足し、彼女だけが使えるオリジナルの剣術だと紹介されていた。


「凄いわね。私の剣術、初見の相手はリズムが崩れるのにジンは全くそんな事は無いみたいね」


「まあ、色んな敵と戦って来たからな……それじゃ、次はこっちから行くぞ?」


 そう俺は宣言して、一気にアスカへと詰めた。

 そして刀を振り、アスカに攻撃を仕掛けるとアスカは俺の攻撃に対して踊る様に華麗に避け、カウンター技を放ってきた。

 流石にあそこからカウンター技に持ってくるとは思わず、少し驚いた俺だがアスカの攻撃に寸前の所で後ろに下がり避ける事が出来た。


「今のも躱す何てジンは本当に面白いわね」


 アスカはニコッと笑みを浮かべると、更に速度を増した剣術で攻撃を仕掛けて来て、俺はそのアスカの剣術に対して少し押される形で試合は続いた。

 それから数分後、これまで戦ってきたことないタイプの剣士で少し攻撃を仕掛けるのが難しかったが少しずつ慣れて来た。

 もしも俺が普通の剣士だったらアスカの剣術に負けていたかも知れないが、俺が使うのは〝刀術〟でアスカの剣術には少し相性が良かった。


「ジンの使う技、私の技と少し相性が悪いわね……」


「そうみたいですね。最初は動きに少し慣れないといけませんでしたが、慣れたらこっちが有利になりましたね」


「序盤で決めきれなかった私が悪いわね……まあ、それでもまだ勝敗は決まってないから全力で最後までやるわ」


 そうアスカは言い、それからも激しい攻防は続いた。

 俺の刀術の方が有利だと分かっていても臆す事無く、攻めて来るアスカの攻撃に俺は敬意を払い一切手加減せずに相手をした。

 結果は俺の勝利となったが、アスカは全力で戦えた事が嬉しかったのか「楽しかったわ」と嬉しそうにそう言った。

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