第242話 【戦力強化・2】
翌日、クロエ達を部屋に呼び、昨日の話し合いで決まった事を伝えた。
「えっ、私達も教える側なの?」
「そうみたいだ。クロエの魔法は国でもかなり凄い方らしく、魔法を教えられる人が少ないからクロエも教える側に行って欲しいって姫様が言ってた」
「私なんて人に教えた事なんて一回も無いよ?」
「レイに関しては技術を教えるというより、戦いを耐える訓練をしたいらしい。レイみたいに純粋に力が強い人って中々いないらしいからな」
昨日の話し合いで伝えられたクロエ達の事伝えると、二人は驚いた様子だった。
二人とは違い名前が挙がってないレンだが、本当だったら一番最初に名前が上がる予定だったらしい。
だけどレンの技術はレンの物だから、国だからと安易に教えて貰うのは失礼だと姫様が言ったらしく、レンは特にこれといって指名される事は無かった。
「嬉しいような、複雑な気持ちだな。皆が頑張ってる中、一人だけ何の手持ちの仕事が無いのは、ちょっと寂しいな」
「まあ、手持ちの仕事がないだけレンには皆の手伝いをしてもらおうとは思ってるよ。そこは安心しな」
一人だけ仕事が無い事に対して、口では寂しいと言いつつも笑顔だったレンに対して、俺はそう笑顔を浮かべて声を掛けた。
「……まあ、分かってたよ。というか、よくジンはその内容を承諾したよな。正直、ジンの性格なら断ってくると思ったよ」
「それ私も思った。珍しいよねこういうのをジン君が受けるのって」
「まあ、国には色々と世話になってるというのは勿論だけど、頼まれた内容も正規の軍として動くって訳ではなくて軍隊の戦力を上げて欲しいという内容だったから、最終的に受ける事にしたんだ。断り続けでも俺達の評判が悪くなるだけだし、軍隊の強化程度ならやれると思ったからな」
レン達の疑問に対してそう俺は答え、話を続きをして朝食の時間になったので下に降りて朝食を食べてギルドへと向かった。
ギルドに到着した俺はリコラさんに対し、昨日の話し合いで決まった予定を伝える事にした。
国の軍の強化をする為、これまでの様に冒険者活動の時間を取れないので活動の日が少なると伝えた。
「ジンさん達も遂に国と一緒に動く事にしたんですね」
「まあ、そうなってしまいましたね。ちょっと活躍しすぎたみたいです」
「ええ、そうですね。四天王の討伐は、いくら竜人族の方達が活躍してるからといっても衝撃的なニュースで多くの人達が改めて、ジンさん達の事を凄いと認識してましたからね」
その後、リコラさんに用意してもらっていた討伐系の依頼を受けた俺達は、その依頼を受けて目的地へと転移で移動した。
今回の討伐依頼はクロエとレンに任せると昨日の話し合いで決まっているので、俺とレイは二人のサポートをする事になった。
「俺は今まで何度もサポートをしてたから大丈夫だけど、レイはあんまりサポートをした事無いよな? 二人より暴れちゃ駄目だからな?」
「大丈夫だよ。初めてじゃないだから、それに今日はクロエちゃんとレン君の装備を試すのも兼ねてるんだから我慢出来るよ」
俺の言葉にそう反論したレイだったが、それから少ししてクロエ達が戦っていると横でウズウズと戦いたそうにしているのがまる分かりだった。
ただ今回はクロエ達の装備の確認が最優先の為、レイが我慢してるならそれ以上は声を掛けないでおこうと思いそのまま放置して、依頼を続行した。
その後、依頼は無事に終わり、何とか我慢出来たレイに俺は「よく我慢出来たな」と褒めた。
「……ねえ、依頼終わったならもう良いよね?」
「ん?」
依頼の対象の魔物を狩り終えて、帰ろうかという雰囲気をしているとレイがそう言って急に走り出した。
我慢の限界は来ていたのか、辺りにいる魔物と戦いを始めた。
「後ろから物凄い視線を感じてたけど、レイちゃん相当我慢してたみたいだね」
「横目で確認してたけど、30分前位から無言だったからこうなる事は予想できたな。クロエ、レン。武器の調子はどうだった?」
「最高だったよ。凄く戦いやすかった」
「同じく、剣としての性能も高く、杖代わりとしても機能していて使い勝手が良かった」
元々の目的である二人の武器の感じを聞くと、二人共新しい武器をちゃんと使えてその性能に喜んでいた。
その後、レイの気分が晴れるまで俺達は近くで休む事にして、それから一時間程してレイはスッキリした様子で戻って来た。
「クロエ達も了承してくれたのね。良かったわ」
依頼を終えた後、宿に戻った俺はそのまま姫様の所に向かい、クロエ達から許可が下りた事を伝えた。
「取り敢えず、昨日話した内容で皆に伝えました。姫様の方も確認とれましたか?」
「ええ、大丈夫よ。ジンからの要望通り、ちゃんと人数を絞って貰う事にしてもらったわ」
昨日の話し合いで一つ、俺は姫様に頼んでいた事がある。
それは、俺達の訓練に参加する軍の人数制限。
流石にこっちは教える経験が少ない為、そんな大勢は見れないと話して人数の制限をして欲しいと頼んだ。
叶うか叶わないか半々だったけど、無事に叶ったようで良かったな、流石に数千人規模で見るなんて地獄だからな……。
いくら手伝いがあったとしても、そんな人数を見る事は不可能だ。
「それで選考についてだけど、ジンが見るって言ってたけどいつそれをするのか決めた?」
「はい、出来るだけ早い方がいいと思い。明日その選考をしようと思います。大丈夫ですか?」
昨日の話し合いで選考する日が出来る日を聞いていた俺は、その出来る日の中で一番近い日である明日にしようと姫様に提案した。
「ええ、準備は既にしてあるから大丈夫よ。ユリウス達にも手伝うように言ってあるわ」
「ありがとうございます。それでは明日、早朝に来るので今日はこの辺で話し合いは終わりましょうか」
「ええ、分かったわ。明日、待ってるわね」
そう姫様から言われた俺は宿に戻り、明日の準備を行った。
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