第237話 【師匠と一緒に・1】
食堂からリーザに店へと移動してきた俺達は、店の中に入るとリズがカウンターの所に立っていて出迎えてくれた。
「あら、ジン君達じゃない。受け渡しまでまだ日にちあるけど、どうしたのかしら?」
「はい。進捗を聞きに来たのと、装備のメンテナンスを頼もうと思いまして、今って装備のメンテナンスは大丈夫ですか?」
「リーザちゃんに聞いてくるわ」
リズはそう言うと、奥の作業場へと入って行った。
それから直ぐに奥から作業服のリーザが出て来て、装備のメンテナンスをしてくれると言った。
「忙しいのに悪いな」
「いいよ。最近は、アレを作るのに集中しすぎて気分転換も必要だからな……爺ちゃんなんて、あんな鉱石は初めて見たって、ずっと興奮してるよ」
リーザは疲れた表情をしながら装備を受け取ると、奥へと行きそれから30分程して全員分の装備のメンテナンスを終えて戻って来た。
「大事に使ってくれてるようね。特に損傷も無かったよ」
「そっか、かなり戦いが続いてたから心配だったんだよな、ありがとな」
そう言って俺はクロエ達の分の装備も受け取り、【異空間ボックス】の中に入れた。
「それでリーザ。あれは出来そうか?」
「……あんな鉱石扱った事無いから完成出来るか不安ね。ただこれを乗り越える事が出来たら鍛冶師としての腕も上がると思うから、なんとか完成させるつもりよ」
「そうか、リーザがそこまでいうなら完成を楽しみに待ってるよ」
そう言った後、装備のメンテナンスと進行状況の確認を終えたので俺達は店を出た。
その後、これ以上特に用事もない俺達は宿に帰宅する事にした。
「珍しいですね。師匠が昼間、宿に居るなんて」
「ええ、空島の家を改築する事にしてナシャリーちゃんが今改築作業をしてるから邪魔にならない様にこっちに居るのよ。ほらっ、弟子ちゃん達と過ごす様になってヘレナーザちゃん達も空島で暮らす事が多くなったから、どうせなら一緒に暮らそうかって話になったのよ」
「へ~、そうなんですね。あれ? でもヘレナーザさんって狭間に住んでなくていいんですか? 前に、あまり外に出てると色々と問題が起きるみたいな事言ってませんでした?」
「そこはナシャリーちゃんが色々とやるみたいよ。改築が終わるまでは私もこっちで暮らす予定だから、弟子ちゃん達と過ごす時間が少し増えると思うわ」
師匠からそう言われた俺は、それなら一緒に依頼とかに行ったりしますか? と聞いた。
「一緒に依頼ね~。良いわね! 弟子ちゃん達と冒険って楽しそうだわ」
「俺も師匠といつか一緒にダンジョンとか行ってみたいと思っていたので、丁度いいですね」
その後、俺と師匠だけで色々と決めたらクロエ達に悪いと思い、クロエ達も呼んで皆で話し合いをした。
師匠の実力を制限したとしても、王都近くのダンジョンだと魔法一発で相当数の魔物を倒してしまう為、難易度が難しい所にいった方がいいだろうと話し合った。
「難しいダンジョンと言えば、絶海のダンジョンだけどもうクリアしちゃったしね。絶海のダンジョンクラスのダンジョンって、何処かいい所あるかな?」
「どうだろうな、絶海のダンジョンもフィーネさんに色々と調べて貰って見つけた所だからな……」
「難しいダンジョン……それなら、いい所知ってるわよ。出て来る魔物がかなり強力な上、とれる素材もかなりいい物ばかりだった筈よ」
「そんな場所あるんですか?」
そう聞くと師匠は、そのダンジョンの場所を地図で教えてくれた。
その場所はゲームでも登場しない、俺の知識には無い場所だった。
「名前も無いダンジョンだけど、楽しめると思うわよ」
師匠からそう言われた俺は、クロエ達の意見を聞く事にした。
「強い魔物が沢山でるダンジョン……修行してから弱い魔物としか戦って無いし、そこに行ってみようよ!」
「私も賛成かな、やっぱり強くなるには多少強い魔物と戦った方がいいと思う」
「素材が気になるから俺もいってもいいぞ、どうせ戦いは殆どジン達に任せると思うしな」
クロエ達の意見を聞いた俺は、否定派が居ない事を確認して師匠が教えてくれたダンジョンに行く事を決めた。
ダンジョンに行くと決めた後、俺は姫様の部下に数日王都を離れる事を伝えてダンジョン探索の準備を行った。
そして翌日、俺達は師匠の転移魔法でそのダンジョンへと向かった。
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