第227話 【悪魔の使い道・3】
その後、俺は王都へと戻って来て姫様に報告をした。
「成程、悪魔が現れる可能性があるからそれの対応を既にしたという事ね」
「はい、最上位種以外でしたら竜人国の戦士の人達や、隠れ里の戦士でも対応できるレベルなのでお願いをしてきました。ちなみに竜人国の方は、新しい敵と戦えるかもしれないとワクワクしていました」
「あちらの国の方は魔王軍と戦う日が少なくなって、元気を失うような方達ですからね……新しい敵が現れて嬉しいんでしょうね」
「そうですね。一応まだ魔王軍には四天王が一人と魔王が残ってるので、まだ油断はしないでくださいとは言ってきましたけど、油断しても竜人国の方達なら対処できそうですからね」
それだけ竜人国の戦闘力は他の国と比べると、圧倒的な差がある。
本来は師匠達魔女と同じ、バランスブレイカーの人達だからゲームでも、魔王軍との戦いに全面的な支援はしていなかった。
だけどこの世界では魔女は俺の師匠として、竜人国は魔王軍の討伐隊として加わっている。
本当に、色々とやってしまったなとは俺も思ってる。
「そう言えば勇者の方はどうなってますか?」
「連絡では、もう少ししたら帰ってくると言っていたわ」
「そうなんですね。って事は魔王軍ももう暫くの命って事ですね」
「現状も相当酷い状況だと思うけどね」
その後、何かまた進展があったら連絡をすると言われて、俺は宿に転移で帰宅した。
「勇者の修行、ゲームよりも長い時間かけてるって事は不完全な状態ではなく完全に習得してやってくるのかな?」
宿に戻った俺は、姫様から聞いた話を思い浮かべながらそう口にした。
ゲームではドラゴンの元で修行をした勇者は、とある力を手に入れその力を使い水の四天王を討伐するという流れだった。
だがゲームではその力は不完全な状態で、火の四天王との最終局面で完全な状態となり四天王を倒してそのままの勢いで魔王との最終決戦へと向かう流れだ。
「まあ、勇者が強くなってくれるのはこっちとしても有難いし、ゆっくりと勇者が帰って来るのを待つか」
その後、俺は拠点へと移動してレドラスがちゃんと働いているのか確認をしに向かった。
意外にもレドラスはちゃんと自分の仕事をしていて、俺達が掃除していた頃よりも綺麗に掃除をされていた。
師匠がレドラスはそういったのが得意とは言ってたけど、まさかここまでの腕を持ってるとは思わなかった。
「あ? なんだジン、来てたのか」
「ちゃんと仕事をしてるか確認をしにきたんだよ。意外だったよここまで綺麗に掃除してくれるなんて」
「どうせやる事も無いからな、暇な時間過ごすより掃除していた方がマシなんだよ」
レドラスはそう言い返しながらも掃除を続けていて、邪魔するのも悪いなと思い調理場の方へと向かった。
ここもかなり綺麗にされていて、食糧庫も綺麗に整頓されていた。
「ここまで仕事が出来るとは思ってなかったな、いい拾いものをしたな……」
そう俺は思いながら料理をはじめて、30分程経って食事の用意が出来た俺は丁度休憩をしていたレドラスに料理を出した。
「俺にか?」
「お前以外にいないだろ?」
「別に飯なんて適当でいいのに、態々作ったのか」
「料理の練習の序に作ったんだよ。文句があるなら、別に俺が食うぞ」
そう言うとレドラスは「いや食う」と言って、俺が用意した料理を食べ始めた。
一口食べたレドラスは驚いた顔をして「意外と美味いな」と小声で言うと、それからは黙って食べ進めた。
「どうだった美味かったか?」
「……まあ、悪くは無かったぞ」
「そうか、またお前が頑張ってくれてたら作ってやるよ。なんか食いたい物でもあるか?」
「次は肉が多めがいい、俺は肉が好きだからな」
最初、特に感情を出さないように言ったレドラスだが、次に何を食べたいか聞くとそう少し興奮気味に言うと、ハッと気付いて走り去ってしまった。
最初の出会い方で悪い奴だと思ってたけど、そこまで悪い奴ではないのかなと一瞬思う程に今のレドラスの行動は可愛く見えた俺だった。
【作者からのお願い】
作品を読んで面白い・続きが気になると思われましたら
下記の評価・ブックマークをお願いします。
作者の励みとなり、作品作りへのモチベーションに繋がります。




