第218話 【隠れ里、参戦・3】
「そこの悪魔ちゃん以外の悪魔が人間界に出て来たの?」
翌日、フィオロを連れて空島にやってきた俺は、空島の家で寛いでいたヘレナーザに悪魔について報告をした。
「はい、力は封印前のフィオロと同程度らしいんです。師匠が居たら、師匠に何かしらアドバイスを貰おうと思ってたんですが、まだ帰って来てませんよね?」
「そうね。まだマリアンナは帰って来てないわね……分かったわ、私もその悪魔について協力するわ。ジンの事、マリアンナから頼まれてるし」
ヘレナーザは俺達の話を聞き、協力すると言ってくれた。
「それで協力するとは言っても、何をしたらいいのかしら? その悪魔の場所を特定して、排除しに行く?」
「それが場所をイマイチ分かってないんですよね……ヘレナーザさんも流石に、この世界のどこかにいる悪魔を見つけるって事は出来ませんよね?」
「……出来ない事は無いけど、時間も掛るし、色々と準備が必要になるわ」
流石、魔女だな、世界の何処にいるか分からない相手も時間と道具があれば見つける事が出来るなんて……。
「ヘレナーザさんでも簡単にはいかないんですね……フィオロ。同じ種族なら、なんか匂いとかで何処に居るのか分からないのか?」
「獣じゃないんだから、そんな匂いとかで分かる訳無いでしょ? まあ、でもある程度の魔力の位置は分かるわよ。私は力が封印されていて、向こうから分からない状態だけど、向こうは力の封印とかしてないから何となく感じるわ。ただ場所の特定までは難しいわね」
「そうか、現状だと向こうの出方を見るしかないって感じか……」
フィオロの話だと、悪魔がこの世界に来たのはこの数日の間だと言っていた。
だとすれば、既に相手の悪魔は何かしらの準備をしてる筈だから、出方を待ってもいいとは思うけど、被害が出そうなんだよな……。
「急用じゃない感じなら、私の方で調べる準備しておいた方がいいかしら?」
「あっ、そうですね。それはお願いします。一応、こっちでも警戒しておきます。準備には何日程掛かりそうですか?」
「早くても五日は欲しいかしら、一度狭間に戻って色々と物をとってこないといけないから時間がかかるわ」
そうヘレナーザから聞いた俺達は、五日後にまた空島で会う約束して俺とフィオロは宿に戻って来た。
「しかし、フィオロが人間に味方するなんてな、余程姉さん達との生活が気に入ったみたいだな」
「……否定はしないわよ。あの子達には既に私が悪魔って伝えてるけど、それでも一緒に居てくれてるからね」
フィオロは顔を赤くしながらそう言うと、部屋の扉を開けて走り去って行った。
フィオロが行った後、俺は待機してもらっていたクロエ達を呼び出して、今後の動きについて話をした。
「ヘレナーザさんの準備が出来るまで、私達に出来る事ってないかな?」
話を聞いたクロエは、そう何か出来ないか俺に聞いて来た、
「現状は王都の警備をしておくくらいだろうな、悪魔がどういった理由でこの世界に来たのかも分からないから無暗やたらに動くより、王都で何かが起こるのを待っていた方がいいと思う」
「俺もその意見に賛成」
「私もそれで良いよ~」
クロエの質問に俺が言葉を返すと、レン達も賛同してクロエも「分かった」と了承した。
それから俺は話し合いを終えて、クロエ達と別れ隠れ里へと向かった。
隠れ里の人達にも事情を説明して、里の警備を強化するように言った。
「悪魔がこの世界にですか、それはまた大変な事になりましたな……」
「悪魔か、それはまた厄介な者達が現れたの……」
ギルゼルとドベルドは悪魔の出現の話を聞くと、難しい顔をしてそう言うと報告をしくれた事に感謝をした。
その後、隠れ里はこれまだ以上に外敵からの襲撃に対しての警備の強化。
エルフ族は薬の研究、ドワーフ族はより優れた魔剣の製作に取り掛かると言って話し合いは終わった。
一応、国にも話をしておこうと思い姫様の所に行き、話をすると事が大きすぎてか姫様は「魔王軍の次は悪魔って、災難だわ」と溜息を吐きながらそう言った。
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