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第197話 【竜人国参戦・3】


 竜人国ドラゴニアが魔王軍討伐の為に力を貸すというニュースは、一週間もしない内にすぐさま大陸中に知れ渡った。

 一部の者は、何故今更竜人国が参戦したのか疑問に思う者もいた。

 だが大半の者達は、竜人国の強さを知っていてその強大な力が自分達の味方になった事を祝福した。


「一瞬で、俺達の話題が消えたなジン」


「ああ、こうなる事は予想できたがこうも早いとは思わなかったな」


 正式に魔王討伐の連盟国として加入した竜人国は、加入と同時に凄まじい勢いで成果を重ねた。

 その数は一ヵ月前から活動していた俺達よりも遥かに多く、そのどの戦闘も圧勝で怪我を負う者は一人もいなかった。


「私達もかなり頑張ってる方だけど、竜人国の人達には負けたよね。移動も竜人国の人達は飛竜に乗って、高速で移動できるもんね」


「ああ、転移が使えるから移動速度はこっちの方が上だけど、やっぱり戦える人数だろうな……こっちは四人だけど、竜人国は数百人規模だしな」


 レイの言葉にレンがそう言い、俺は「数の差はどうしようもないな」と言った。

 俺達は四人で姫様から受けた依頼を片付けているが、竜人国は集団で、それも数百人規模で動いている。

 更にそこに国王であるグラムス王とリュドラが加わり、圧倒的な戦力で魔王軍を蹴散らしている。

 竜人国参戦から魔王軍の動きは大分大人しくなって、四天王もここ最近は姿を現さなくなった。

 そのおかげで人間側は今まで取られた場所の奪還、復興に力を入れて徐々に魔王軍の行動範囲を狭くしていってる状態だ。


「正直、俺達のやる事はほぼ無いよな。姫様から偶に来るけど、竜人国の人達や国の軍に任せて方が良い気がするよ」


「まあ、竜人国が向かった先とは別の場所に俺達なら一瞬で行けるからな」


 転移が無かったら、正直俺達のやる事は全く無いレベルで竜人国の活躍は凄い事になっている。

 その後、俺達は話し合いを終わりにしてギルドから呼び出しを受けていたので、皆と一緒に久しぶりに冒険者ギルドへと向かった。


「お久しぶりです。フィーネさん」


 ギルドに到着した俺達はリコラさんの案内で部屋に移動し、そこでフィーネさんが来るのを待っていて部屋に入って来たフィーネさんにそう挨拶をした。

 最近、フィーネさんはギルド長代理で忙しくしていて、俺のパートナー担当から一旦抜けている。

 その代わりにリコラさんには俺達のパーティー専属のパートナーとなってもらっている。


「お久しぶりです。ジンさん達のご活躍、よく聞いておりますよ」


「ハハ、まあ最近は竜人国の方達の方が目立っているので俺達の話題は少なくなりましたけどね」


 そう最初に世間話をした後、フィーネさんは今回呼び出し理由を話し始めた。

 今回の呼び出し理由、それは俺達の冒険者ランクについての事だった。

 魔王軍の戦い、それは国から俺達に対しての依頼として処理をされていて、それにより俺達は試験を合格したら、金級冒険者になれると言われた。


「そう言えば、前にもう少ししたら金級冒険者になれる位には、依頼の達成度が溜まってると言ってましたね」


 以前、ギルドに来た際にリコラんさんからその様な事を言われていた俺達は、もう金級冒険者になれるのかとその時話していた。


「それで今回呼び出し理由なのですが、ジンさん達が金級冒険者への昇格テストを受けるか受けないかの確認の為に呼ばせてもらいました。ギルドとしては、ここまで活躍している冒険者の方には上に上がって貰いたいと思っているのですが、ジンさんの性格はこの数年近くで見て来て知っているので、どうするか決めて貰おうと思いまして」


「成程……皆は、勿論上がりたいよな?」


 俺は一緒に話を聞いていたクロエ達の顔を見ながらそう聞くと、皆は頷いて「ジン君が良いなら昇格テストを受けたい」と言われた。


「……俺達がもし金級冒険者に上がったとしたら、目立ちますかね?」


「そうですね……多少、目立ちはしますがジンさん達の活躍は既に知られているので、まだ金級冒険者じゃなかったのかと思われると思いますよ」


「ジン君、もう目立つ事に関してはいいって言ってなかった?」


「別に目立つ事に対してはもう良いと思ってるよ。だけど、それで目立ちたいのかと聞かれたらそうでもないからな、目立たないならそれはそれでいいと今も思ってるよ」


 クロエの疑問に対して俺はそう言うと、リコラさん達に「昇格テスト受けようと思います」と言い、俺は金級冒険者になる事を決めた。

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