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第193話 【救世主・2】


 そうして、部屋の前の扉に着いた俺はノックをして扉を開けて中に入った。

 部屋の中には一人の男が、ソファーに横になっていた。

 190㎝程の身長に加え、黒髪で赤目の男は俺を見ると笑顔を浮かべてこちらを見て来た。

 まあ、ただのと言っても特殊な家柄出身で身のこなしは作中でもトップクラスで、王城すらにも忍び込む事の出来る凄腕の隠密術を持っている。


「おっ、ジンじゃないか。意外とここに来るの早かったな」


「……その口ぶりからだと、俺の予想は当たっているようだな。ハンゾウ」


 男の名はハンゾウ。

 ゲーム会社の社長が忍びは絶対に必要だ! とごり押しして作られたキャラで、この世界には似つかわしい名前をしている。


「あの時の約束はちゃんと守ってたぞ? ジンが表に出るまでは、情報が出ない様に逆に隠してたんだぜ?」


「約束って、俺は表に出たら公表してもいいとは言ってないぞ……」


「あれ、そうだっけ? まあ、でも別にジンの活躍は遅かれ早かれ話題になってたと思うぞ、目立ちたくないならもう少し隠れてやらないと」


 ハンゾウは笑みを浮かべながらそう言うと、起き上がり部屋の奥の椅子に座りなおした。


「約一月で魔王軍から奪い返した街の数は10を超え、更には街の復興にも協力していて大人数の移動を転移でやっていた……ジン、自分でこれを聞いて本当に自分の能力を隠す気で居たのか?」


 ハンゾウからそう言われた俺は、自分で聞いても色々とやったなと改めて思った。


「別にここ最近の事は隠す気は無かったから良いが、昔の事は別に公表しなくてもいいだろ……特に、俺達が攻略したダンジョン何てどうやって調べたんだよ」


「勿論、ずっとジン達を見ていたからな~。部下達もジン達の活躍を聞いて、早く世に出したいってウズウズしてたんだよ」


「俺、止めたよな……というか、全く気付かなかったぞ?」


「そりゃ、俺が本気で尾行していたからな。俺の本気を見破るには、それこそジンの師匠達じゃないと無理だろうな」


 ハンゾウの奴、師匠達の事までも知ってるのかよ……どんだけ、調査してるか分からんな。


「それで結局、ジンは何をしにここに来たんだ? 今更、ジン達の話題を止めようとしても無駄だと思うぞ?」


「そうだろうな、ただ俺は文句を言いに来ただけだ」


 文句を言いに来たというと、ハンゾウは「その為だけに来たのかい?」と改めて聞いて来た。


「そんな訳無いだろ? お前の持つ魔王軍の情報、それを奪いに来た。散々、俺達に迷惑を掛けたんだからその位はいいだろ?」


「ん~、タダで渡すわけにはいかないよ? 一応、俺達はそれを仕事としてるんだから」


 俺の言葉に殺気の籠った視線を送って来たハンゾウに対して、俺は「なら、迷惑かけたんだから安くしろよ」と言い返した。

 すると俺の言葉にハンゾウは「まあ、その位なら良いよ」というと、指を鳴らして部下を呼び出した。


「魔王軍に関する情報の資料を持ってきて」


「かしこまりました」


 ハンゾウの部下は命令を聞くと、再び部屋から出て行きそれから少しして資料の束を持って戻って来た。


「……そんなに魔王軍に関する情報を仕入れてるのか、ゴブリン商人以上の情報量だな」


「商人達は俺達は違うルートで情報を集めているから、違いはあるだろうけど量で言えば俺達の方が多いよ」


「ほ~、流石は王都一の情報屋だな」


「大陸一の間違いだよ」


 俺の言葉に笑みを浮かべながらそう言ったハンゾウに、情報の対価として金を支払い資料の束を受け取った。

 何故、俺がハンゾウから態々情報を買ったのか? それはここ最近、ゲーム世界との情報のずれが大きくなってる事に気付いたからだ。

 ジンというキャラか闇落ちせずにいた事で、ゲームで起こる筈だった事件が起きず、別の事件が起きたりしている。

 その情報のズレを修正する為に、俺は情報を買おうと決めた。


「それじゃ、ハンゾウ。また新しい情報が集まったら、連絡してくれ。どうせ、俺達の事を見てるんだろ?」


「了解。ジンの喜ぶ情報を集めて奥よ」


 その言葉を聞いた俺は「楽しみに待ってる」と言って、用事も終わったので部屋から出ようとした。

 そんな部屋から出ようとした俺に対して、ハンゾウは「ああ、そうそう」と言って呼び止めた。


「ジン、最近変な奴等が王都に集まってるみたいだから注意しておくといいよ。まあ、ジン達に危害を加えられるような奴等じゃないけど……ジンには守りたい人がかなりいるだろ?」


「ああ、気づいてるよ。対策はしてるから後は、餌に食いつくのを待つだけだ」


「へ~、流石は俺が見込んだだけあるな」


 その後、俺はハンゾウの店を出て宿まで転移で戻った。

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