第191話 【遊撃隊・3】
翌日、クロエ達の体調確認を行い全員が万全の状態だと確認した俺は皆を連れて、まずは最初の街の近くに移動した。
今回、姫様から受けた遊撃隊の依頼場所は三カ所。
その中でも比較的最近、魔王軍に落とされた街を最初の場所に選んだ。
選んだ理由としては他二つが、既に魔王軍の手に落ちて大分経っていて、街の破壊許可が下りたからだ。
破壊出来ない今回の街は、出来るだけ破壊しないように手加減して行い、明日からの街では我慢せずに暴れようと話し合いで決めた。
「ここからでも沢山の魔物の反応があるって分かるけど、聞いてた話よりもしかして増えてないかな?」
「そうだな、最新の情報が一週間前だからそれからもしかしたら増えているのかも知れないな……まあ、万が一の事を考えて注意しながら戦おう。陣形はこの間と一緒で、俺とレン、クロエとレイの二手に分かれようと思うけど、いいかな?」
「私達はそれでいいよ~」
「同じく」
その後、俺達は街の中に堂々と姿を現すと二手に分かれて魔物達の殲滅を始めた。
魔物達の量こそ多いが、特に強い個体がいる訳でもなく、淡々と狩りは進んだ。
「量は多いけどって感じだな」
「ああ、思っていたよりかは楽だな」
俺達にとって数が多いくらいは、特に難易度が変わるような事は無かった。
普通の兵士達にとっては途方のも無い数の魔物達だろうけど、俺達の場合はただ面倒だなと思う時間が長くなるだけだ。
修行を受ける前だったら、この状況は多少苦しんでいたと思うけど、あの辛い修行を受けた後だと恐怖心を抱くほどでは無いなという感じだ。
そうして数こそ多いが、強敵が現れる事は無く数時間狩りを続けた。
その結果、半日狩り続けてようやくこの街を占領していた魔王軍を全て排除する事が出来た。
「数が多くて時間はかかったな、皆怪我とか無い?」
「私達は大丈夫だよ~、それにしても今回の街の魔物は凄く多かったね。魔王軍の方で、昨日の街の事が直ぐ伝えられたのかな?」
「どうだろうな……元々、この街はデュルド王国にとって重要な街の一つだったから、他の街より多めに軍を配置していたのかもってのが俺の予想だな。姫様から、特にこの街は気を付けて戦ってほしいって念を押されたからな」
今回、奪還依頼を受けたこの街は本来は魔王軍の手に落ちないようにしていた街の一つだ。
この街の地下には軍の道具が隠されていて、それを取り戻す為に何度かこの街を取り返そうとしたらしい。
しかし、その作戦を決行した時から魔王軍の数はかなり多かったと俺は聞いている。
「軍の道具が隠されてるってかなりの間、魔王軍に占領されてたからその道具はもう壊れていたり使えなくなってたりしないのか?」
「ん~、一応隠してるから魔王軍に優秀な探索の魔法が使える者が居なかったら無事だって姫様が言ってた。まあ、俺達の仕事はここまでだから今日はかなり長い間戦ったから、宿に帰ろうか」
その後、街の中を見回って本当に魔王軍が一匹も居ないかを確認をしてから、俺達は王都の宿に戻りクロエ達には直ぐに休む様に言って、俺は姫様の所に向かった。
姫様からはまた一日で終わらせた事に驚かれたが、直ぐに納得して転移で軍を今日奪還した場所に移動させて欲しいとお願いされた。
その位なら特に疲れないからと、俺は既に準備されていた軍の所に行き転移で街へと送った。
「本当に転移って便利ですね。私も使えるようになりたかったわ」
「転移に関しては本当に生まれた時の素質が無いと無理ですからね。それに姫様の場合、自分で転移しなくても転移が使える人を近くに置けばいいじゃないですか」
「自分で使ってみたいのよ……」
姫様は何度も俺の転移を見て来て、そう羨ましそうな顔をしてからそう言った。
それから、明日残り二つの街を奪還してきますねと言って姫様の所から宿に戻り、俺はシャワーを浴びて夕食までの間、休むことにした。
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