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第157話 【勇者・1】


 修行開始から一ヵ月、俺は殆どの時間を師匠との修行に費やしていた。

 休みは殆ど無く、あったとしても姉さん達との時間に費やし、転移の強化及び剣術や戦闘技術の強化に集中していた。

 そのおかげで俺はこの期間の間に【空間魔法】と【空間把握】のスキルレベルはMAXになり、長距離の転移も可能となった。

 今では行った事のある場所なら、歩く感覚でその場に行けるようになり空島にも簡単に行けるようになっていた。

 流石に一ヵ月でそこまで成長したのには師匠も驚いていて、俺の成長速度に物凄く興味を抱いて転移以外の技術も色々と教えてくれた。


「そう言えば、ジン君聞いた? 勇者が四天王の一人と戦って、倒したらしいんだよ?」


「三日前に王都に戻って来て、大々的に発表してたね。久しぶりにいいニュースを聞いて、王都の人達もその日は物凄くはしゃいでたよ」


「……へ~、もう四天王の一人を倒すくらいには強くなってたんだ。それは知らなかったよ」


 久しぶりの休日、俺は王都に戻って来て二人の姉と食事に来ていて、そこで勇者の話を聞いた。

 一月前までレーヴィン達からは、成長速度が遅いと嘆かれていた勇者だが、強くなっていたようだ。

 まあ、強くなって貰わないと困るからな、その為にこっちも色々と物資を国に渡してた訳だしな。

 俺はただ隠れていた訳ではなく、勇者の成長に必要な素材などを姫様経由で国に渡していた。


「ジン君もいたら、お祭りに一緒に行けたのにな~」


「ごめんね。その時は丁度、修行で忙しかったんだ。また今度埋め合わせするよ」


 そう言った後、姉さん達は俺の修行話を聞きたいと言って、最近の修行の二人に話して楽しい食事をした。

 食事会が終わった後、姉さん達を宿に送った俺は再び外に出て、城に向かった。


「姫様、今いいですか?」


「あら、来てたのね。良いわよ」


 転移を完全に使えるようになった俺は、姫様にその事を話すと姫様の部屋の近くに俺が転移して来れる部屋を作ってくれた。

 そこは完全に外から見られない場所で、いつ来ても誰にもバレない部屋。

 唯一繋がってる姫様の部屋には、姫様側からの鍵を開けて貰わないと入れない様な仕組みになっている。


「本当に何も感じないわね。これでも魔力感知には自身があるんだけど……」


「ドラゴンから逃げれるくらいには鍛えた転移ですからね。そう簡単にバレないですよ」


「……本当に貴方が表に出て来てくれたら魔王との戦いに余裕が出来るのに、頑固な人ね」


 姫様はジト目でそう言ってくるが、既にその事には何度も話している。

 ただし、未だに言ってくるのは諦めきれないからだろう。


「それこそ、勇者が瀕死になって人間側がヤバいってなったら出るかもしれませんよ。まあ、国に〝森の神秘薬〟を何本か預けているのでそんな事にはならないと思いますけど」


「……アレを渡された時は本当に驚いたわよ。一つ手に入れるのも難しいって言われてる〝森の神秘薬〟をまさか10本も渡された時は、久しぶりに声を出して驚いたわよ」


 一年程前、ゴブリン商人との取引で大分集まった〝森の神秘薬〟の在庫の一部を俺は国に渡している。

 その時、対応した姫様は目の前に置かれた〝森の神秘薬〟を目にして、声を上げて驚いた。

 その声にいち早く気が付いたユリウスが部屋に来た時、姫様の顔とテーブルに置かれてる〝森の神秘薬〟を見て察して呆れた表情で俺を見てきた事を今でも覚えてる。


「それで手紙では用があるから、この日は勇者を城から遠ざけておいて欲しいって言ってたけど、何の用事だったの?」


「ああ、そうでした。実は俺の訓練に付き合ってくれてるドラゴンから人間と魔王軍が戦ってる事を知っていて、俺の知り合いが困ってるならこれを使ってくれっていって渡してくれたんです」


 スカイは魔王軍が人間と争ってる話を聞いて、自分の鱗を大量にくれた。

 なんでもドラゴンは成長するにつれて、鱗や角が生え変わるらしく、丁度生え変わりの時期だったらしく全部俺は貰った。

 流石にスカイの体から出たそれらを全部、国にやれば大騒ぎになるだろうから勇者と仲間達の分の装備が作れるくらいの量を俺は姫様の前に置いた。


「……ジン。貴方の知り合いのドラゴンって一体どのレベルのドラゴンなの?」


「秘密です。ただまあ、相当強いドラゴンとだけは言っておきますよ」


「ドラゴンが人間に協力するなんて、御伽噺でしか聞いた事が無いわよ……でも、ありがとね。これでまた少し、楽に戦いが出来るわ」


 姫様は笑顔を浮かべてそうお礼を言うと、部屋に従者を呼びスカイの鱗を直ぐに鍛冶師の所に届けるように言った。


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