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第130話 【双子の冒険者・1】


 あれは俺達が銅級冒険者となってまだ日が浅い時、クロエの知り合いとして俺はレン達を紹介された。


「初めまして、クロエとパーティーを組んでるジンです」


「初めまして、私はレイだよ! それでこっちの不愛想なのが兄のレン。よろしくね!」


「勝手に人の紹介終わらすな、まあそのよろしくな」


 初めて会った時の二人の印象は、レイは変わらず元気娘という感じだったが、レンはクールと言うより人付き合いが苦手だなと一目で分かるような奴だった。

 二人が双子だと紹介された際、髪色が赤で目の色が黒と一緒な二人なのに、レイはパッチリした目に対して、レンはジト目で目付きは似てないと思った。


「ジン君だっけ? ジン君は今、何歳なの?」


「俺は12歳だよ。レイ達は?」


「14歳だよ。私達のが年上だね! でも、クロエちゃんの友達なら敬語何て使わなくていいよ!」


「ありがとう。普段から使わないから、そっちの方が楽で助かる」


 そうお礼を言いながら俺はレンの方を見ると、レンも「俺も構わん」と言って二人からタメ口の許可を出会ったその日に貰った。


「そう言えば聞いたよクロエちゃん、仲間に囮にされたって大丈夫だったの?」


「うん、魔物に追われてる時にジン君に助けて貰ったの」


「わ~、凄い運命的な出会いだったんだね。その話詳しく聞かせて!」


 この時、レイ達は少し遠くまで依頼で出ていたからクロエの事件を知らなかった。

 なので丁度良く話題があって、出会ったその日に少しだけ仲を深める事が出来た。


「ジン君、どうだった初めての同年代の冒険者との会話」


「まあ、楽しかったな。クロエの友達だからか、俺の事も最初から友達の様に接してくれたしな」


 特にレイは人懐っこい性格なのか、直ぐに仲良くなった。

 まあ、レンは人付き合いが苦手だと自分で言うだけあって、俺達の会話には一言二言言うくらいで後は本を読んでいたが、まあ悪い奴ではなさそうだった。


「というか、クロエは何であんな友達いたのにあんな変な奴等と仲間になってたんだ?」


「パーティーに入った後に、レイちゃん達と知り合ったのそれで、人数的にもレイちゃん達は入れないしってなってパーティーは組んでなかったの」


「成程な、確かに余り多すぎてもパーティーでの役割も無くなるからな、それで今は今で二人で事足りてるからな」


 実際会ってみて、いい奴等だと感じたが別に仲間に誘おうとまでは思ってなかった。

 クロエの友達だから、俺が忘れてるゲームキャラとその時は思っていた。

 だから俺は時間をかけてレイ達がゲームに出ていたキャラか思いだそうとしたが、似たようなキャラは一人も居なかった。


「う~ん、こんだけ時間かけて思いだせないって事は、完全にこの世界の人って事だよな……」


 正直、この世界の人物と思うまでに紹介された日から一ヵ月が経っていて、その頃は色々と忙しくレイ達とまともに話す機会も無かった。

 それで久しぶりに会えるとなった俺は、二人が好きな物をクロエから聞いて手土産に持っていく事にした。


「えっ、これジン君から? いいの貰っても!?」


「ああ、レイは甘い物が好きって聞いたからな、王城でも取り扱ってる菓子屋で買って来たんだよ」


 レイに渡したのは、王都でも有名な菓子屋のお菓子。

 平民の俺達だとまず出入りすら出来ないが、そこは姫様に頼んで店に行ける権利を貰った。

 あの店、ゲームでは好感度を上げる為のアイテムが売られてて、よく利用していたが一つ一つが高くて金策しても金が足りなかったんだよな。

 この世界でも高価なのは変わりないが、まだ手が出せるレベルだった。


「わ~い、ここのお店のお菓子いつか手に入れたいって思ってたの! ありがとうジン君!」


「そこまで喜んでくれたら、俺も持って来た甲斐があったよ。それでレンにはこれだ」


「……本?」


「ああ、レンは本が好きだって聞いたからな」


 俺はその時、初めてレンに本をプレゼントした。

 プレゼントした時の本は適当に、冒険者として役立つだろうと思って薬学系の本を渡したのだが、まさかレンがあそこまで本が好きだとは後になって分かった。


「ありがとうジン。大切にする」


 レンはいつもの落ち着いた雰囲気ではなく、少しだけ興奮した様子でギュッと本を大事に抱えながらそうお礼を言ってくれた。


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