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第124話 【自称四天王の豚・1】


 海の街を出て数日、ジン達は急いで王都へと戻って来た。

 四天王の知らせはまだ国民には知らされていないみたいで、平和な日常を送っている。


「それでは皆様、私はギルドの方で確認をしてきます。乗せて頂き、ありがとうございました」


 どうせ戻る場所は一緒だからと、王都に戻る前にフィーネさんに声を掛け一緒に王都へと戻って来ていた。

 フィーネさんはそうお礼を言うと、サッと馬車から降りて凄いスピードで去って行った。

 あの人、アスカと元パーティーメンバーだから、身体能力高いんだよな……っと、そんな事を考える場合じゃないな。


「取り敢えず、話を聞く為、このまま王城に向かうけど良い?」


「うん、良いよ」


「は~い」


「リーダーがそう決めたなら、それで良いよ」


 確認の為、皆に声を掛けるとそう言葉が返って来て、俺は馬に指示を送り王城へと向かった。

 王城の門番は俺の顔を見ると「おかえり、ジン」と声を掛けながら門を開けてくれた。

 完全に友達の家に来る感じで入れて貰えるの、割と凄いよな……。

 そんな風な事を思いながら、俺は馬車置き場で兵士に馬の事をお願いして、城内へと入り姫様の所へと向かった。


「早かったわね。勇者に会いたくないからって、来ないかと思ってたわ」


「……流石にあんな報告を貰ったら、来るしかないでしょ、姫様はいつ分かったんですか? 話してる時は何も言ってませんでしたよね?」


「同じタイミングよ。裏の子達がジンにも知らせた方がいいって、同時に動いたみたいなのよ」


「成程……それでどういう状況ですか?」


 魔王軍四天王。

 魔王軍の中で軍隊を率いる四匹の魔族。

 火・水・風・土の四属性を極めた者達で、一匹一匹が物凄い能力を持っている。

 よくゲームでは四天王には優劣があるみたいなのがあるが、この〝聖剣勇者と七人の戦女〟にはそんな優劣はない。

 四天王との戦いはそれこそ魔王軍との最終決戦まで、行われる事は無く、それまで四天王の軍隊の一部だったり、幹部だったりを相手をする感じだった。

 だから何で今この時に四天王が動くのか、全く持って理解が出来ていなかった。


「被害は街がいくつか占領されてるわね。今までとは違って、被害状況もかなり酷いみたい」


「……結構、それってヤバいんじゃないですか?」


 姫様の言葉にレンがそう言い、俺も同じ感想を抱いた。

 この数ヵ月、準備を続けてきたおかげで被害を抑えて来ていた中、一気にいくつもの街が占領されたとなると、一気に流れが魔王軍にながれそうだ。


「それで姫様、その四天王の見た目とかって分かってたりしますか?」


「裏の子の話によると、オークような見た目って言ってたわね。ただ普通のオークより、少し身長が低いって言ってたわ」


「……えっ?」


 オークの様な見た目? そんな四天王いたっけ?

 あれ、待てよでもオークの様な見た目で四天王って名乗ってる魔族……。


「……姫様、そいつもしかしたら四天王を名乗ってるだけのただの魔族かもしれません」


「えっ? それどういう事なの?」


「俺の知ってる情報だと、四天王は〝火・水・風・土〟の四属性を極めた者達でその見た目もその属性に合わせた見た目をしてるんですよ。火の四天王なら、炎を纏っていたりしてるんです。それで、オークの様な見た目の四天王は居ないんですよ」


 そう俺が言うと、姫様は眉を顰め「そんな情報何処で手に入れたのよ……」と言って来た。


「それについては前から言ってますけど、秘密ですよ。ですけど、これは確かな情報です。これまで伝えた情報も間違った事は無かったですよね?」


「確かにそうだけど……だったら、この報告に上がった四天王と名乗ってる魔族はどういう事よ」


「魔王軍である事は間違いないと思いますけど、多分活躍して位を上げようとしてる奴だと思います。多分、被害状況もあえて酷く見せてるだけで大した事は無いと思います」


 俺がそう言うと、確かに今までの魔王軍の動きからして使える街はそのまま使ってる魔王軍に対して、今回は異様に被害状況が大きい。

 姫様は違和感を感じていたからか、俺の話を聞いて納得した様子でいる。


「だとしてもそれを確認する術が今は無いのよね……ジンの言う通り、そこまで強くなくてもそこそこは強いんでしょ?」


「まあ、一般の兵士以上の力はあると思いますね」


「今は勇者の成長に人を回してて、そっちに向かわせる人員が足りないのよ」


「ならに俺達が倒してきましょうか? その豚野郎」


 そう俺が言うと、姫様は勿論の事、仲間であるレン達も驚いた顔をした。


「じ、ジン君が自ら魔王軍の対応に? あれ程、姫様からお願いされても決して、自分達が動こうとしなかったジン君が!?」


「煩いな……まあ、今までの事を見たら驚くのも分かるけど、今回の奴はそれほど大した事も無いから早く対応して姫様の心配を解こうと思っただけだよ」


「それは嬉しいけど、本当にいいの?」


 再確認してきた姫様に俺は「はい」と言って、その自称四天王のオークを討伐すると俺は姫様に言った。

 最初は四天王が現れたって驚いたけど、まさか〝アイツ〟だとはな……ゲームでもウザかったし、早々にこの世界では退場してもらおう。

 そう俺は考えながら、一先ず装備の手入れをお願いしにリーザの店へと向かった。

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