表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
122/583

第122話 【知らせ・2】


 その後、街へと戻ってきた俺達は一ヵ月前はこっちに居なかった人物と共に相談室へと入った。


「まさか、フィーネさんがこっちに来てる何て思いませんでしたよ」


「ジンさん達がダンジョンに入ったっきり、一ヵ月間も音沙汰が無かったので心配にになり来たんです。ですけど、その心配は要らなかったようですね……無事に〝絶海のダンジョン〟を攻略したみたいですね」


 フィーネさんからそう言われた俺達は、全員でダンジョン攻略の証を見せた。


「あのダンジョンは金級冒険者クラスとされていますが、今まで誰も攻略した事が無いのにたった四人で攻略してしまうなんて、本当に凄いです」


 そうフィーネさんから褒められた俺達は笑顔を浮かべ、それからダンジョンで手に入れたアイテムや魔物の素材を売る事にした。

 〝絶海のダンジョン〟はその攻略の難しさ、出入りの難しさからダンジョンに生息する魔物の素材は高値で取引されている。


「あと、こちら姫様からお預かりしている手紙です」


「……凄い量ですね。これ全部、姫様からですか?」


「はい、姫様もご心配されていましたので戻ってきたら、直ぐに連絡を寄越しなさいと言ってました」


 そうフィーネさんから言われた俺はギルドに通信魔道具を借り、デュルド王国の王城へと連絡を送った。

 向こうの連絡係の人は連絡の相手が俺と分かると、直ぐに姫様を呼び、数分もしないうちに姫様の声が聞こえた。


「ジン、貴方達一ヵ月間もダンジョンに潜って、心配したわよ」


「ちゃんと言ったじゃないですか、今回のダンジョンは今までで一番ヤバいから長くて半年は掛かりそうですって」


「そうだけど、心配しない方がおかしいでしょ! まさか、あの〝絶海のダンジョン〟に行く人なんて今時いないわよ!」


「いや、攻略目的ではなく素材目的なら今でも偶に行く冒険者は居ますよ」


 そう俺が訂正すると、姫様は「煩い!」と返してきた。

 この約三年間で俺達と姫様の関係はいい方向に進んで、今ではこんな感じで言い合える仲になっている。

 学園を卒業後、姫様の弟でありデュルド王国の王子様が留学から帰国して、学園に通うようになった。

 王子の存在、王城で働いてる時にスッカリ忘れていたけど、それは仕方ないと後で俺は思った。


 ゲームでもデュルド王国の王子は姉の姫様とは違い、殆ど出て来る事は無かった。

 偶に学園編で優等生キャラとして出て来てたが、それ以外に目立った所は無くゲームクリアまで特に表に出てくるようなキャラじゃなかった。

 そんな王子様が帰って来た事で姫様のこれまでの生活は変わり、今は弟の代わりに国王と共に国を守る動きをしている。


「それで姫様、そっちはどんな感じですか?」


「ジンのおかげで周辺国の損害は殆ど無いわ、裏の子達もジンの情報量は凄いって褒めてたわよ」


「それじゃ、デュルド国の被害もそこまで無い感じですかね?」


「ええ、人的被害は今の所そこまで無いわね。ただ魔王軍に占領された土地はいくつか出て来て、早く勇者の育成を急がないといけないって、こっちは忙しなく動いてるわ」


 勇者、姫様がそう言った瞬間俺は一瞬だけ固まった。

 この世界に勇者が現れ、既に数ヵ月が経っている。

 流石にゲームでジンを殺す相手が出て来たと聞いた時は、凄く驚いたが今では平静を装うくらいにはなれた。

 そんな勇者は今、学園設備が一番良いとされているデュルド王国の学園で、ゲーム通りの生活を送っているらしい。


「本当だったら、ジンには勇者の仲間になって欲しいんだけど……それは嫌なのよね?」


「ええ、勇者と一緒と言う事は目立つじゃないですか、嫌ですよ」


「でも、もうラージニア家は無くなったのにまだ続けるの?」


 約三年前、表に出て来た〝ラージニア家の不正〟は一年、時間をかけて調べ上げたうえで取り潰しが決まった。

 流石に密輸、脱税、人身売買、更には殺害まで色々と悪事を重ねていたラージニア家は助かる道が無かった。

 一族全員が処刑、もしくは牢獄へと収監される事になり、魔王が復活するまではその話題で一時は本当に姿を消さないと騒がしかった。

 その一族全員が処刑される中、捜査に協力したという事で処刑されずに済んだ者がいる。


「まあ、俺は表に出て注目を浴びるのが嫌なんですよ。それは、姫様がよく分かってるでしょ?」


「まあ、そうだけど……はあ、アンジュからも断わられるし、何でこう強い人は目立つのが嫌なのかしら……」


「迷惑事が増えるからですよ。魔王軍との争いが始まったのに、馬鹿な貴族は自分の所に力を集めようと動いたりしてるでしょ? ルークさん達に手紙送った時、本当に迷惑だって言ってましたから」


 魔王軍の登場によって、活躍している冒険者を自分の手元に置こうとする貴族が多く出て来た。

 銀級以上の冒険者の殆どは一度は貴族から、自分の所に来ないか? という勧誘話が来ている。

 そして特に目立つ冒険者には、何度も勧誘話が来ていて、その中の一人であるルークさん達は本当に迷惑だと愚痴っていた。


「私達の所にも来てたしね。ほんと、そんな事する暇があるなら国に協力すればいいのにね~」


「皆、頭がいい人ばかりじゃないからね」


 クロエの言葉にレンがそう言うと、レイが「今度来たらぶっ飛ばしてやりたい!」と言った。

 その後、姫様とのやり取りをしてある程度の情報交換をした後、俺達はもう暫くしたら王都に一度帰ると伝えて通信を終えた。

【作者からのお願い】

 作品を読んで面白い・続きが気になると思われましたら

 下記の評価・ブックマークをお願いします。

 作者の励みとなり、作品作りへのモチベーションに繋がります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] さんざん引っ張ってきて「泳がせて情報収集」アピールしといて、実家問題終わり?マジで?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ