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第108話 【依頼終了・1】


 その後、特に日常の変化も無く、約三ヵ月の護衛依頼の終わりの日がやって来た。


「ジンさん、クロエさん。この期間、護衛と私の話し相手になってくれてありがとう。本当に色んな話を聞けて、楽しい時間を過ごせたわ」


 最後の日、姫様の部屋に俺とクロエは呼び出され、そう姫様にお礼を言われた。

 正直、お礼を言いたいのは俺達の方である。

 三ヵ月間、衣食住を確保してもらった上に自由時間も長く、訓練もすきにやらせてもらった。

 こんな依頼、多分これから出会う事は無いと思う。


「俺達の方こそお礼を言いたいですよ。最初は、いい隠れ蓑として受けましたけど、仕事内容は簡単なのに給金もよく、訓練もすきにやらせてもらってこの三ヵ月間で俺達は以前までの自分達から大きく変わる事が出来ました」


「ジン君の言う通り、本当に姫様に感謝してます」


 そうクロエが言った後、俺とクロエは姫様に感謝の言葉を口にした。

 そのお礼の言葉に姫様は、ニコリと微笑み「お互いにお礼を言う何て、変ね」と言った。


「姫様は冬期休暇は城で暮らすんですよね?」


「ええ、学園が終わるまでは基本的に城から出る生活は無いと思うわ。卒業後、どうなるかは今の所分からないけど、流石に子供じゃないからその時も城から出さないなら、多分暴れて出ると思うわ」


「目が本気ですけど……」


 姫様の目を見た俺は、その目が本気でやろうとしている時の目だと感じた。


「ふふっ、ジンさん達の訓練を見てて私も偶に魔法の訓練をしていたのよ。ジンさん達がくれたミスリルの腕輪のおかげで前よりも威力のある魔法が撃てるから、あれわ使えば容易に脱出できそうだわ」


「ジン君、どうしよう。私達があげた物のせいで、姫様が大事を起こそうと考えてるよ」


「大丈夫だよ。もしもの時は、ユリウスさんが止めてくれるよ」


 アンジュさんとの再会を果たしたユリウスは、それまで停滞していた剣術が更に磨きがかかり物凄い成長速度で強くなっている。

 あの強さ、ゲーム初期のユリウスよりも強くなっている。


「ユリウス、あの子と再会して本当に強くなってるわね。今のユリウスから逃げるのは、ちょっと難しそうね……」


 ユリウスの事を思いだした姫様は、難しい顔をしてそう言った。

 その後、俺達は城で世話になった人達の所へと行き、明日には城を出るという事を伝え感謝の言葉を伝えて回った。

 特に世話になり世話をしたユリウスとは長く語り合い、また暇があったら城で模擬戦闘をするという約束もした。


「ジン、本当に城から出て生活をするのかの? 行く場所が無いなら、儂の所に来てもいいんじゃぞ?」


「いえ、戻る場所はありますから、それに訓練期間は依頼期間内という約束でしたよね!」


 一番最後、レーヴィンの所へと挨拶に来ると「まだ教えたりん!」と泣きつかれ、自分の領地に俺達を連れて行こうとしてきた。


「あんた! ジン君達に最後まで迷惑をかけるんじゃないのッ!」


「あぐッ!」


 そんなレーヴィンの頭に、【身体強化】を使った状態でエイレーンが拳骨を落とした。


「ごめんね。ジン君、クロエちゃん。最後まで迷惑を掛けちゃって」


「い、いえ迷惑なんて」


「いいのよ気を遣わなくても、この馬鹿はジン君達が優しいから押せばなんとかなるって言ってたのを昨日聞いたのよ。ほんと、優しさに付け込んで……あんた聞いてるの!」


「は、はい! 聞いています! ごめんなさい!」


 妻に怒られ、縮こまる元魔法騎士団団長。

 こんな姿ゲームでは一度も見た事が無い、本当にここでの生活はゲームでは見る事、知る事が無い事だらけの生活だった。


「暇になったら連絡をくれたらいつでも王都にくるぞ! その時はまた魔法を教えるからの~」


 エイレーンに引っ張られながらもレーヴィンはそう叫び、俺達の前から消えた。

 その後、レーヴィンの泣き叫ぶ声が聞こえて来たが俺とクロエは気にしないようにした。

 その日の夜、俺達の為に姫様が準備してくれていたのか、ちょっとしたパーティーみたいなものが開催された。

 最初の頃、国王と同じ空間に居るだけで緊張していたクロエも、大分ここでの生活に慣れたおかげで今では普通に緊張はしてるけど会話が出来るレベルになっている。


「ジンさん、そう言えば旅に出るかもと言ってましたけど、あれは直ぐに行くんですか?」


「いえ、流石に冬の時期に旅に出るのは難しいと思うので春先位に行こうかな、今はぼんやりと考えています」


「……冬の旅は辛いですよ。慣れてる私でも、この時期の遠出は少し嫌になります」


 特に気温の変化は特に辛い、とユリウスは言った。

 それからユリウスと旅について少しアドバイスを貰い、他の兵士達からも旅について色々と聞いてパーティーを楽しんだ。

 そして夜遅くまでパーティーを楽しんだ俺は、約三ヵ月の事を思い出しながらベッドに横になり眠った。

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