えええええええええ⁈
《…その設定を削ってもよろしいのですか?ゲームの設定上としても、利点しかないようにおもえるのですけれども…?》
うん、まあ確かに誰からも愛されるってのは利点しかないようにおもえるけども。…言葉として真っ直ぐに捉えるならば。
…だけど、実際に誰からも愛されてみ? 愛される事に慣れている人ならばいいよ?でも私はもともと他人が苦手な一般人。家族にすら近くで存在されるのが苦痛な人種です。それだけでも大変なのに、自分が信頼して信用して側に置きたい、側にいて欲しい、自分を大切にしてくれて、自分も相手を大切にできるような相手でなければ、そんな多人数から無条件で愛されても迷惑なだけだよね。
例えゲームの中だとしても、自分が好きになれそうにない相手からも好かれるのは面倒だし、イヤだよ。
だから。
「女神様は、自分の苦手な男神様からも言い寄られても幸せですか?好みの相手なら愛されても幸せでしょうけれども、自分の 全く! どストライクゾーンから外れた! 目にも入れたくないような! もちろん、見た目だけでなく、性格も全く合わないような! …男神様から愛されて、幸せ感じますか…?」
ふ…と遠くを見つめながら、恋愛偏差値ゼロの私ですらにも好みがあって、その好みから外れた相手に愛されるという苦痛を感情のままに、女神様に伝えてみた。
ハッとした表情の女神様。 どうやらなにかしらの覚えがあるらしい。
まぁ、フツーにお美しいですからね。目の前の愛の女神様は。神界の男性もたまらんだろと思うのと同時に、ブス系としてある程度男子に虐げられてきた記憶が少しでもある自分としては、美人には美人なりの悩みもあるだろうと、そのくらいは理解してますよ。美人の悩みとしては、中身を見るより先に見た目で判断されて、勝手に愛されて…
って、アレ?そういや不細工だと言われていた部類の自分も同じだったかも?見た目優先で中身を見られることはなかったからな。
でも、それは人が人を引くという運でもあるかな。
学生の頃の友人の1人は、美人という類いではなかったけれども、中身を好きになってくれる異性がいたから、告白シーンを見る事が多かったな。そんな友人を羨ましく思った事もあったし。
美人とか不細工とか、それは自分が決めるんじゃなくてって事か。…というか、そういう言葉で括ってしまうことがまだまだ人として小さかったかな。と、死んだ今、思ってみた(笑)
とりあえず、もう死んでるし生き返れないのだから、この気付いた教訓は来世に持ち越す事にしよう。うん。来世もそんなに美人でなくても、中身を見てくれる人を大切にしようと、とりあえず心に決めた。
《そうですね、それではスキル"誰からも愛される”は破棄するとします。他には有りますか?》
「ハイ!先生!」
《どうぞ佐藤さん。》
「魔法を使ってみたいです!」
異世界転生とか召喚系のラノベでもよくあるし、転生した先が悪役令嬢とか自分で作った物語のなかでもたまにある、地球にはない魔法!
生まれ変わったんなら使ってみたいですよね、魔法!今回は異世界転生でもなくて召喚でもないけど、女神様の作ったゲーム世界!魔法位あってもよかろーうもーん!(*´∇`*)
《…申し訳ありませんが、魔法は却下です。》
「ええええええええええええええええ⁈」
なんでええええ⁈ 異世界系とか、自分の好きなゲームのキャラに転生系とかでも、魔法使える人達がいるやん!なんで自分だけ魔法は却下なん⁈
ほとほとと、悔しさに涙していると、愛の女神湯沸かし器様はそっと私の肩に手を置いて、こう優しく囁きました。
《創造神様のキャパを超えてしまう可能性があるとのことで、魔法は今回はなしという事で御触れがあったのです…。申し訳ありません。》
キャパを超える?どういうことですか?という顔を女神様に向けると、半ば同情とほんのひとつまみの優しさを私に向けて、こう言いました。
《…実は、創造神様は頭がよろしくないのです。…ご自身の許容範囲を越えそうな事柄には、頭を使う事ができないのです。》
つまり、女神様の言うことにゃ。
創造神様は頭が悪い。
ので、頭を使う物語は許容範囲外になってしまうかもしれない。
どっかからのツッコミがあった場合に対処できない。
対処できないから、手を出さない方が良きかな。
と言うことらしい。
なんじゃそりゃ。思いっきり、自分だけ守るカタチでいるやん!おのれ創造神!卑怯なり!( ̄曲 ̄)
死んで女神様のオモチャにされてる魂にも、少しの楽しみとか喜びとか与えやがりませ!
フンギャース!と、ジタバタする私に、女神様は。
《まぁこれから色々な出来事がございますが、深く考えなければ、安寧な時を過ごせますよ…?》
と、いやそれがもう、女神様だけで作った世界じゃないやーん!とか、ちょっと色々なんじゃそりゃ⁈な私の気持ちはさっさとどっかにやった女神様は。
《さ、続きと参りますよ!》
ぽんと手を打って、さっさと切り替えスイッチを押していたのだった。