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他人との距離


《とにかくですね!》


落ち着いたらしい女神様がスクと立ち上がると、ズビシッ!と思いっきり私を指さして少々女神様らしくないニヤリ顔をしてきた。


《貴方にはこの愛の女神ティファーリエの名にかけて、絶対に恋愛の喜びを知って頂きますから!》


めんどくせぇなぁと思いつつ、相手は女神様だし、拒否権はありませんとかガッツリ言われちゃったし。ここは少しでも自分に有利?というか納得できるようにしとかないと。 



「…でも、乙女ゲームのヒロインになるわけでしょう?私の意志が尊重されるなら、恋愛にならないとおもいますけども…」


だって、ゲームとはいえその世界に入ってしまったんなら、当たり前だ。自分の魂がゲームのヒロインになったってだけで、自分は恋愛というものにまるで興味がない。というか、そもそも他人にあまり興味がないのだ。生前は友達もちゃんといたけど、その友達たちもみんな似たようなものだったから、気を使わずに小学校から死ぬまでの間、大きな喧嘩もなく、1年か2年に一回会うくらいが丁度いい距離感だったし。人との繋がりは大切だから、最低限の人とのお付き合いはしていたけれど、個人的には親ですら一緒にいると気を使うから、一人暮らしをしてからのラスト8年間は、まさに他人に気を使わずにのびのびと生きていられた幸せな時間だったのだ。


そんな幸せ空間に、言わば自分のナワバリに誰かが入ってくるなんて、ストレスでしかない。彼氏なんかできてしまえば、いずれ結婚なんてなるかもしれない。そんな事になったとき、また自分以外の他人にいちいち気を使っての生活しなきゃならないのは本当に嫌なのだ。


コレを他人に話したとしても、理解されたことはほとんどない。なんで恋人作らないのと聞かれて、コレを話しても、大抵は。


ー 恋人作らないなんて、作れないんでしょ?


と、馬鹿にしてくる相手とか、


ー 言い訳乙(笑)


とか、


ー 必死だなプゲラ(笑)


ー 恋愛好きじゃないなんて、可哀想…


ー そんな気持ちは若いうちだけ


こんな感じで返されることが多かったので、言い返すのもなんだかなと思ったから、とりあえず聞かれたら恋人とか面倒くさいから。と返すことにしてた。


まあそうやって返したとしても、返事は上記のセリフと似たようなものが返ってくるだけなので、本当にそう思ってるのに内心どないせぇちゅうねんとか思ってたなあ。


それだけではなく、そう言われてしまうのは、まあ自分の容姿とかもあったからだろうけど。自分は割と顔は不細工よりだとは思うけど、別にこの顔は嫌いじゃない。自分の性格によく合った、愛嬌のある顔だと思ってるし、私は私に生まれて本当に良かった、とにこやかに心から言えてたし。逆に美人に生まれてたら、同じテンションでは言えなかっただろうなとも思う。自分の性格上ね。


ただ、化粧しないし身なりにもあまり気を使わないから、オシャレには疎かった。服は着られれば、まあある程度汚らしいイメージでなければいいと思ってたし。20代の頃はそれなりに化粧とか頑張ってみようと練習もしたけど、


・ビューラー使って瞼を思い切り挟んでしまい、思い     っきり腫れ上がって、治るのに一週間かかった。以降は怖くてできなくなる。


・アイライナーやっていて、目にぶっ刺す。軽症だったけど、以降は怖くてできなくなる。


・マスカラやったら、くすぐったくて目を閉じたり、つい擦ったりして顔がエライ事になった。自分のその顔をみて大爆笑。何度やってもくすぐったくて同じ罠にハマる。コレは合わないなと諦める。


・口紅は自分に合う色がわからなくて真っ赤なのを買ってしまい、あまりの似合わなさに絶望する。以降、何色も合わない気がして諦める。(一応色々試してはいる)





とまあ、他にも細かくチラホラあるんだけども、こうも上手く出来ない化粧に、これは化粧の神からの


《リコよ。其方は化粧をしてはならぬ。》


という啓示だと思う事にして、化粧する事の封印に成功した。




そんなんだから、まあフツーにオサレな人からしたら


ー その容姿じゃねえ…?

ー 言い訳しないと惨めだもんね


的な風に思われていたのかもしれない。でもそれはそれで別に嫌ではなかったんだけど。実際、身なりをキチンとしてお化粧できてたら、また私の世界は違っていただろうし。ただ、恋愛に興味ない自分としては、今の私である事が一番自分をストレスとかから守るやり方だったんだろうなぁと思っている。センスもないから、その時々の流行りの服とかの着こなしもわからなかったもんなー。服の合わせ方とかのセンス位はフツーに欲しかったなー。漫画描いてた時に、服装がわからなくて納得できるようなものが描けなくて苦労したんだもんなー。漫画描くにも、いろんなセンスは必要だよなぁ。



と、つらつらと考えていたら。




《その辺はご心配いりません!コントローラーを握っているのはわたくしですから!貴方の意志は尊重されません!》


と、女神様の言葉が冒頭の私の意見に対する返事だと、過去の回想に飛んでいた私の意識が引き戻された。




「………はぇ?」




どゆコト?




私の意志が尊重されないとか、それでどうやって恋愛させようというのか。てかコントローラーってなんだよ?






化粧うんぬんは、自分のやっちまったお話そのものでございます(笑) 化粧コワイ、化粧コワイ(≧△≦)



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