表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/48

『失くしたリボン』その1





そして次の日。



ゲームとはいえ、昼休みと放課後がくるまでは通常通りの授業をやっていました。ゲームだからこそ、授業関係は省略化されるかなと思っていたのだけど。キチンと体力や知力は入れておかないと、攻略対象と近づく為の好感度に響くようです。


暗殺科のリュウを攻略対象にした為、本日、愛の女神様が選んだ授業は。



一時限目 ダンス

ニ時限目 ダンス

三時限目 マナー

四時限目 ダンス


昼休み 


五時限目 ダンス


放課後


と、素晴らしい偏り具合でした。授業中は攻略対象関係ないので、普通に私がレッスン受けてるのです。三時限目のマナーの時間の、まあ眠いこと眠いこと!



女神様…ちょっとはバランス考えて授業を決めてくださいよ…。キリーちゃんにも、


「元々ダンス得意じゃなかったっけ?こんなにダンスの授業を受けて、ダンスの先生でも目指すの?」 


って、さっき言われちゃったじゃん。そうじゃないんだよ、私だってこんな満身創痍で攻略対象に会って、ラブラブな雰囲気に持っていけるなんて思ってないよ。



ゲームのヒロインだからか、肉体年齢の若さからか、疲労はそれなりに解消されるのが早いけど(自分の最終肉体年齢と比較してです)疲れが残らない訳じゃないのに、今気付いたよ。


それに、精神年齢は48歳のままで授業受けてるからね。久々の学生生活で、体と精神年齢のギャップがなんだかおかしい感じになるよ。ゲームが進んでいけばそれなりに慣れてくると思うけど、始まったばかりだしね。なんだかヨレヨレする感じです。



だけど女神様には容赦なんかないもんね。昼休み。食事が済んだらさっさと暗殺科とか運動場とか中庭とかにメッチャ歩かされる。


ゲームは私の知ってる「真実愛物語」のように、攻略対象が来そうな所にとにかく出向いて、少しでも印象を残す為に会わないとならない。


今日、あちこち出歩いてもリュウには昼休みの一度しか会えず、しかも会話は。



「こんにちは、リュウ先輩。あの…」

「悪い、今忙しい。じゃあな。」



だ。コレね、あと3回は同じ事やらないと会話がグレードアップしないのよ。あのゲームと同じだとしたら。




まあもちろん、イベントとしてはもう発動しますって出てるから、あまり好感度が上がってなくてもスチルはもらえるかもだけどね。


でもそれまではとにかく好感度を少しでも上げるために、攻略対象の好むヒロインになるための授業やらなんやらと、なるべく会って話をしないとならないのが続くってのがしんどいな。



1日目でわかるように、女神様は絶対に明日からもダンスの授業をほぼ一色で攻めてくる。なぜならあのゲームしてた時の私がそうだったから!

ここはもう覚悟を決めて行くしかないかと腹を括るリコーリアの中身のわたしなのでした。



そして次の日。



ダンスまみれの授業をこなした放課後。



当然のように暗殺科へと足を向ける私の動きが制限された。


お?これはイベントか?と思っていると、足元からピン!と。


2日前に聞いたことのある音がしたと思ったら。





「きああああああーーーーっ!!」




グイイイイイン!と、再び私の体が上へと引っ張り上げられていく。前と同じ罠に嵌ったのが即座に分かったが、今回は以前と違った。

以前のようにスカートが捲れるのを恐れて体を前屈させるよりも前に、足に絡まったロープが切られて、誰かの腕に抱きとめられる。私は、引き上げられる衝撃といきなりの浮遊感のあとにくる、誰かに抱きとめられたという感覚が一度にやってきてすぐに目を開けられずにいた。



…が。



「またお前か。そんなにこの罠にかかるのが好きなのか?」




そんなわけがあるかいと心の中でツッコミながら、聞き覚えのある声にそろりと目を開けると。


お姫様抱っこしてくれている、攻略対象のリュウが顔を覗き込んでいた。


リコーリアと連動させられている私の胸が高鳴る。まあ前世ではお姫様抱っこなんてされた事、幼稚園児以来だからね。自分の頭では冴えて考えられるけれど、リコーリアは純粋にドキドキしてるので、私も自然とドキつきます。



そんなリコーリアのドキドキを他所に、リュウはほいっとリコーリアを下ろし、呆れたように言い放った。



「淑女科のお前がなんでこんなに頻繁にこの暗殺科に来るんだ?罠にかかるのがそんなに癖になったのか?」



「んなな⁈ ち、違います!私、無くしたリボンを探しに来ただけで!」


「リボン?」



そんなものあったか?という顔で私を見つめるリュウ先輩。あったんですよ。2日前…いえ、昨日までは。攻略対象をアナタに決めるまでは。



「…母から貰ったお守りなんです。手作りしてくれて、とても大切なものなんです。一昨日、たしかにあちこち行きましたけれど、先程のように激しく釣り上げられるようなことをされたのはここだけなので…。 もしかしたら、この辺りに落ちていないかと思いまして。…あの、この辺りで見かけませんでしたか?ピンク色の、白いストライプの入ったリボンなんですけれど…。」



そう私の言葉を聞いたリュウは、うーんと言った表情を見せたが。





「…俺は見かけていないが。」


…と、返答してきた。というか、リュウは異性にはあまり興味がないような気がする。どちらかと言えば脳筋タイプではなかろうか。そんな相手に、女の子のおしゃれアイテムに気づけという方が無茶というものだろう。



「そ、そうですか…。 あの、では見つかったら教えて頂けませんか?本当に、本当に大切なものなんです。」



リコーリアの必死さに、少しはリュウも理解したらしい。イベントスチルはなかったが、リコーリアの頭をぽすんと撫でて。


「見つけたら知らせてやる」



そう約束してくれたのだ。




リコーリアはただひたすらにお願いしまくって、その日は終わったのだった。




って、アレ?ここで今回終わり?




スチル一回につき、お話の区切りじゃなかったんですか?


…そうですか。




では引き続き、『失くしたリボン』のお話を次回お楽しみくださいませ♡




夕食なにかなー?


では、グンナイ!








評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ