第八話 情報と作戦
時は騎士による襲撃から数十分後。
場所はランの宿屋から離れた、とある廃屋。
現在、グレンはそこに気絶した騎士と共に隠れている。
「う、ぐ……」
と、聞こえてくるのは騎士の声だ。
きっと、ようやく目が覚めたに違いない。
彼はグレンの方を見てくると、すぐさまグレンへと言ってくる。
「ま、待って! 違うんだ! お、俺は……俺達は命令で仕方なく!」
「命令で仕方なく? お前ら、そうやって今まで何人攫った? 何人殺した?」
「そ、それは――」
「覚えているか? なぁ、何人やったか教えてくれないか?」
「…………」
「おい、黙るなよ。人数を教えてくれって、そう言ってるだけだろ?」
と、グレンは騎士へと手を翳す。
すると、騎士は危険を感じ取ったに違ない。
すぐさま、震えた声でグレンへと言ってくる。
「お、覚えてない! た、沢山やった! だ、だから覚えてないんだ!」
「反省と後悔はしているのか? 罪悪感はないのか?」
「ざ、罪悪感は――」
「正直に言え、出ないと殺すぞ」
「っ――は、反省も後悔もしてない! だって、そうしないと、俺がフウ様に殺される! で、でも罪悪感はある……し、信じてくれ!」
「まぁ、それは今からわかる」
と、グレンは騎士の額へと触れる。
そして――。
「《精神催眠》」
「――っ!?」
と、身体を揺らす騎士。
グレンはそんな彼へと、なるべく聞き取りやすい様に言う。
「今から、お前は俺に真実しか言えない――わかったな?」
「……はい」
「まず試しだが、さっき言った罪悪感の事……あれは全て本当か?」
「はい。俺は反省も後悔もしていません。しかし、罪悪感はあります」
これは驚いた。
どうやら本当に真実を話していたようだ。
(俺を襲った罰として、少し痛めつけようと思ったが、よしておいてやるか)
この騎士がクソ野郎なのは確かだ。
けれど、若干マシなクソ野郎なのだから。
とはいえ。
どちらにせよ、こいつの人生はもう終わりだ。
と、グレンはそんな事を考えたのち、彼へと言葉を続ける。
「フウの城の警備はどうなってる? どれくらいの人数だ?」
「はい、全て答えます」
と、言ってくる騎士。
グレンはそれから時間をかけ、騎士から様々な情報を引き出した。
それをまとめると、こんな感じだ。
まず、城は多くの騎士により守られている。
特に日中の警備の量は、グレンでも突破不能なレベルだ。
しかし、夜間の警備人数は大分少なくなる。
さらに、有益だったのが隠し通路の存在。
本来、城からの脱出用なのだが、潜入に使用することができるのだ。
(場所はここから少し離れた洞窟の奥か。やるなら、夜に――隠し通路を使って襲撃だな)
さらにあと一つ。
騎士から聞いた情報で有益だったのは。
(少女を攫う際の、騎士達の巡回時間――その場所とルート)
これをうまく利用すれば、大分面白い事になる。
グレンはそんな事を考えたのち、再度騎士へと手を翳すのだった。
「こいつはその一人目だ」
さて……これは毎回、言ってることなのですが
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