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短編小説episode1 ※あらすじをご確認ください。

作者: 「」

 言葉というのは一種の魔法だと思う。何気なく口にした言葉だったのにそれは破滅へ向かってしまうこともある。

 ただ、そう言える関係だと思っていたのに本人は嫌だったとか言い出す。

 もう俺は訳が分からなくなっていった。

 入学式で初めて顔合わせして仲を深めるためにファミレスへご飯を食べに行って、夏休みには花火を見に行ったり、バーベキューをしてキャンプをして、文化祭では好きな人に告白して付き合えて、みんなに「抜け駆けはずるいぞ」だの「もう童貞卒業かよ」だのバカみたいなことを話していた。冬休みは彼女と友達で遊ぶ毎日だったけどそれが楽しくて。このまま時が止まってくれないかと思っていた。二年生になって、夏休み、友達の一人はもう大学受験を始めた。「ガリ勉かよ」って言い合ったりもした。俺は元々後から考える人間だったから今は遊んで後でまた考えようと思っていた。

 そして、冬休みになりカレンダーを見ると、何も書かれていない綺麗なカレンダーだった。一日中家にいてバラエティー番組を見る毎日。

 元旦になって彼女に挨拶のLINEを送ると、「大事な話がある」と返ってきた。

 指定された場所に厚木になって行く。彼女は先に来ていた。そして、真っすぐに俺を見て、


「勉強に集中したいから別れよ?」


 と告げられた。一瞬頭が真っ白になって寒いという感覚も無くなっていた。数秒間の間が開いて考えれるようになりふぅと息を吐く。

 正直、正直もっと思い出作りをしたかったし、付き合っていたかった。でも、俺は自分の幸せよりも彼女の幸せを願いたい。本音を言おうとしている自分の唇を深く深く噛んで、


「勉強頑張ってね」


 そう告げて帰った。後ろは絶対に振り向かないように、絶対に彼女を見ないように意識しながら。

 それから自室にこもった。三日間食欲が無く、スマホのストレージにあった彼女との思い出を見ては、胸を痛めつけていた。

 冬休みが明けた頃、スマホのストレージには彼女写真は一枚も無くなっていた。

 校内であっても無視するようになってしまっていた。友だちから、


「おい、お前、彼女にひでぇぞ」


 と言われた。人の気を知らないで心の奥底に爪痕を残された気分になった俺は、友だち、いや、知人Aの胸倉を掴んで叫んだ。


「お前に俺の何がわかるんだ。友だちだからって言っていいことと悪いことも分かれねぇのかよ。お前らは勉強が出来ていいよな。俺バカだからお前らが憎くてたまらねぇよ」


 知人たちが俺と遊んだ後深夜勉強しているのは知っていた。それでも、それでも叫ばずにはいられなかった。

 いたたまれなくなった俺は、学校を出て、所持金を確認して、出来るだけ遠くの町に行こうと思い電車に乗った。

 揺れる車内の中で、俺は静かに涙を流していた。俺は何であんなことを言ったんだろ。知人がした言葉、俺を傷つけて、俺は知人を傷つけて、彼女から告げられた別れと言う言葉に絶望していた。

 本当に言葉と言うのは怖い。いや、使ってしまった俺の過ちだろう。言葉は何も悪くないのである。

 電車は終点につき、俺は電車から降り、駅から出た。

 出た直ぐ見えた海に俺はそのまま足を運ぶのだった。

この小説は短編です。好評であれば続編を投稿いたします。

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