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夢か現か

新学期初日。


転校生として、エリカがやってきたのは

驚かされたが、ひまりが言うところの「2倍」

楽しむ生活っていう意味では、まだ前半戦だったわけで。

このあとに待っていたのは、魔法の世界での新たな

学園生活だった。


ただし。

その前に散々あらぬ誤解を生んでいたので

その辺りの釈明が大変だった。

週刊誌にあることないこと書かれる有名人は

こんな気持ち何だろうかなんてつまらないことを

思いつつ。ひまりとは何でもないこと、エリカとは

塾の知り合いだということを何度か話しつつ。

特に翔が面白がって引き下がらないものだから

観念して事情を話すことにした。

もっとも、魔法の世界の話はさすがにしていないが。


「もらったんだよ、手紙を」

「手紙?ラブレターか?」

「憧れとかいってた。」

「憧れ。また、よくわかんねぇこというねぇ。」


翔にも憧れなどと言われた経験はないらしい。

バレンタインに持ち帰れないほどにチョコをもらう

こいつにその経験がないのなら、やはり何故俺と思う。


「で、どうすんの?」


少し真面目な顔をする翔


「何が?」


怪訝そうに問い返すと


「断るのか?」


という。いや、そんな具体的に考えてないけど

普通は付き合うのかと聞くのでは?


「何で?」


そう答えると


「ひまりがいるじゃん、二股かけるつもりか?」

「いやいや、そんなんじゃないし。」


あわてて全否定するわけだが、今に始まったことじゃないが

翔はやたらと俺とひまりをそういう風にとらえがちだ。


「どうも鈍いよなぁ、お前は。」


こういうことをいう、いつも。

いやいや君みたいに常に寄ってくる女の子が多い人

はそう思うのであって、俺そういうのありえないから。


まあ、そんなやり取りがあったりしつつ、1日が終わりまた眠りにつくと、目が覚めると今度はエリカの屋敷にいた。

どういう仕組みかうまく説明できないのだが、

1日が交互に進んで行く感じなのだ。


「お目覚めですか。」


そう声をかけてきたのはアンヌだ。


「何故あなたが?」

「お嬢様からあなたとひまり様のお世話をするように

 といわれまして。」

「ていうことは、ひまりも?」

「はい。先にお目覚めになってお嬢様とお庭に。」


どうも昨日から、いや今日といった方がいいのかもしれないがひまりの方がこの状況に適応しているようだ。

何だかあの二人に振り回されている感じだ。

アンヌに手伝ってもらいながら、支度を済ませて

庭にいってみる。


ちなみに。


「お召し物はこちらを。」


と渡されたのは、意外にもブレザーの制服だった。

魔法の世界というから勝手にローブでも着せられる

のかと思っていたのだが。

違うとすれば、色が鮮やかな赤で、

胸にエンブレムがあしらわれているところだろうか。

ネクタイをお締めしますというアンヌに

「自分でやるよ」と断って庭に出てきたのだが。


屋敷の中だけで広いものだから、迷ってしまい

場所を訪ね歩いてようやくたどり着いたというわけだった。


「優人さん、おはようございます。」


そういってエリカがこちらに会釈する。


「遅かったわね」


そんなことをひまりが言う。

なんだろう、まだ夢の中にいるかのように現実感がない。

ひまりもエリカも魔法学院の制服を着ているのだが

女子の制服もネクタイありのパンツスタイルで男子

と変わらないのが特徴的に感じる。


「今日は、これからどうすんだったっけ?」


呆けたのかとばかりに、ひまりが


「何いってんの?今日から魔法学院に編入でしょ?

 王子さま。」


とからかってくる。


王子じゃないだろと内心冷静に突っ込みつつ、

夢ではないのかまだ疑う自分もいて。

寝起きに世界が切り替わっていればこんな風にもなる。


「皆様、お出かけになるお時間です。」


アンヌが声をかけると、俺たちは、エリカについて庭から屋敷の裏門に向かって歩いていく。


裏門の先は、もやがかかっていて、その中を進むと。

目に入ってきたのは魔法学院だった。




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