恋い焦がれる思いを彼女へ
操り人形は互いの思いすら認識できず、また人形遣いもまた自分が何を犯しているのかを理解できていないのだ
俺、中澤良太は自身の通う生徒会長である空野華さんへラブレターを書く決意をした。もう彼女への恋い焦がれる思いは止められないのだ。学校帰りに僕の停めてる自転車のサドルに彼女が乗ってたらだとか、俺に、それこそ清純な乙女の声で話しかけてくんないかなとか妄想していまうんだ。空想の領域かもしれないが、それでも本気でこの願いを叶えたいと思っている。
彼女は高校へ進学し、季節廻る度魅力を深めていった。桜、夜空の映る涼しい海面、ベンチからひらひらと落っこちてしまいそうな程弱弱しい紅葉、はたまた日光に溶ける粉雪、いわば四季の美しさ詰合せといった感じの美少女へと変貌していったのだ。ガキの頃はあんなに無邪気な悪戯っ子だった。それが今は女神。昔は無理に笑顔を作って俺に話しかけてた感じしてたし、自分を飾ることを止めたのだろう。昔は何とも思ってなかったのに、思わず恋してしまった。あんな可愛い、純粋な女の子相手ならこの最近悩まされている自己中くさい自分も変えられるかもしれないなんて考えてみたり。
なおありきたりな例の展開にはなっていない。決して話さなくなったとかそういう状況には置かれていない。
むしろ学校行事のごと彼女は積極的に話しかけてくれる。俺が文芸部の部長であるからそういう機会がたまたまあるだけなのかもしれないが、それでも廊下で会うと向こうから微笑みかけてくれたりする。
やっぱり俺は飾らない、純粋な彼女に惹かれてるんだろうな。こうやって華さんのことを考えるだけで体が火照る。この純粋思いを一枚の手紙に書き記さないとどうにかなってしいまいそうだ。急いで書こう、そうしよう。
「あなたは人間ですね。まるでお月様に騙された彼らのように、純粋で。」
ん、なんか聞こえたような・・・、気のせいだろうか。
「でも半々な純粋さですね、彼らとてこんな間抜けではなかっただろうに。」
途端眩暈がしてきた。まるで風呂上りの時に感じる気の抜ける感覚だ。
「罪重音は授漠…、」
聴覚が幻聴に擽られるているのがは分かる。段々と思考は深海へと沈んでゆく。これ、は、眠ろうとしているのだろうか。もう何にも考えられない。催眠音声に慰められるように俺は、海の底へと。
「ジリリィリ!!」
んん、も、もしかして寝てたんだろうか。ったく、なに寝落ちしてんだろ俺。まぁ昨日の分の疲れも取れてるし良いか。昨日はあんまり疲れてなかったけど、それでもなんだか今はなんか脳が冴えてる気がする。
「ゆっくりと気持ちを記すか。」
どうせ深夜テンションで書いても寒いことばっかだっただろうし。
理想の少女である華の魅力をなんとか書き記したいし、丁寧に。一文字ずつ丁寧に。
自分好みな話がかけそうなので、次回は全力で取り組めるかもです。




