第2話 ここはどこ?
まずは僕らの状況を説明しよう。
場所は洞窟みたいな感じで薄暗くて天井についている電球は今にも消えそうな感じだ。
幻は見知らぬ人物と向かい合っていて、足は震え一歩二歩と後ろに下がって、間合いを取っていた。それもそのはず、幻の目の前にいる人の姿はあきらかにこの世のものでは無かった。人物と言うよりモンスターみたいな。具体的には説明できないんだけど、なんていうか、混沌?壊滅?恐怖?闇?みたいな感じで、とりあえず顔らしきものと手足らしきものがあった。
僕は寝そべりながらそれを見ていた。
体が動かない。きっと死んだらそういうもんなんだろう。
それにしても幻がビビっている所も初めて見た。
意味不明な状況だったが、僕はなんとなく納得していた。これは言うまでもなく、死後の世界だ。
ほぼ確定的だと思う。
この状況でそれ以外の所だったら僕は知らない。
そして見知らぬ人は正体を話し始めた。
「誰て、そうか自己紹介か」
コホンと咳払いをした。
わざとらしい。
「こんにちは!君達!私はハーデスと言います。これからよろしくね!」
「・・・」
「・・・」
僕のなんとなくが当たった。そうかハーデスかーきっと闇タイプだなー。
でもとりあえず、もういっかい聞いとくかー。
「すいません疲れていたもので、幻聴が聞こえてしまって、もう一度言ってもらえますか?」
完全に薬をやってる人の発言だった。
「いや聡くん、なに幻聴で片付けようとしてるの、幻聴じゃないって聡くんの耳は正常だよ」
死んで正常もあったものではないが。ていうかハーデスさんを見ると何が正常なのかわからなくなるな。この場所において一番異常な存在なことは間違いない。
「とりあえず僕達の状況を教えてください。あと幻をビビらすのやめてください、幻は十キロ走ってもそんなに汗をかきませんよ」
幻がやばい、顔が青ざめてるし、足の震えはさっきよりも増してるし。
「いやいや、別にビビらせるつもり無いしいつも通りなんだけど、んーでも駄目だったか幻くんなら度胸あるから大丈夫かなーて思ったんだけど、わかった離れるよ」
ハーデスは少し移動し、幻はかなり平常に戻った。
「はぁーマジでやばい恐怖を体全身で感じた」
そこまでやばいのか。ちょっと近づこうかな。
……やっぱやめた。
「気を取り直してここに連れて来た理由を説明するけどとりあえずさ……」
それから少し沈黙し、こちらの方を見ている。
僕は気になったので「なんですか?」と聞いてみた。
「とりあえずさ聡くん寝そべってないで立って話そうか。なんか話しづらいし、疲労を披露しないでもらえるかな?」
上手いな。
体が動かないのは疲労だったか、どうやら治っているようだった。
…………いや待てよ、疲労だって?僕は死んだんじゃないのか?なんで体が疲れているんだ?
それから深く考えようと思ったが、とりあえず説明を聞くのが一番この状況を乗りきるのに適していると思った。
そうだ聞けばわかるんだ。
「起こして幻」
「はいはい」
僕はよろよろしながらなんとか起き上がった。
「どうぞ話しを」