第1話 道に迷って
高校一年の夏の帰り道。
僕は自転車を止め今の状況を声に出した。
「道に迷った」
「えー!道に迷った?ありえなくね?高校生にもなって本当に恥ずかしいわー」
幻が恥ずかしげも無く大きめの声で言った。
こうなった理由を説明すると、部活が休みになり、放課後の予定が無くなった僕達は女子グループが前に言っていた学校から三キロ先のパワースポットに行く事にした。(ちなみに二人とも自転車だ)まあ僕自体そんな超常的なものは信じていない。
幻がどう思ってるかは知らないけど。
なんとなく面白そうだから行こうという小学生が考えたような理由だったのだ。
それからは幻が思い出したように
「あ!そういえばこの近くに大食い食堂ていう新しい店ができたんだよな⁉︎お腹空いたし、行ってみよーぜ」と言ってきた。
まあその時は僕もお腹が空いていたので軽く「いいよ」と言って、その後無事に着き、たくさん食べて、さてパワースポットといったところで、向かう道中で事件が起きた。
その事件というのがこの状況である。
「で、聡どうする?この状況」
こういう時は現代テクノロジーに活躍してもらおう。
「まかせろ、こうゆう時にはインターネットに頼るんだ」
「ドヤ顔で言うなカッコよくないぞ」
幻の言葉の槍が体を貫いた。
効果は抜群だ。
かっこいいやつに言われては返す言葉がない。
「ねぇ幻」
「なに」
「僕かっこよくなりたい」
「普段はかっこいいよ」
「やばい、ときめいた」
「はいはい、いいから早く調べて」
軽くあしらわれてしまった。
いや、こんな事でふざけている場合じゃない。ふざけてたら本当に夜になる。
僕はマップを見ようとスマホをポケットから取り出し、道順を調べた。
もちろんゲーム目的ではない。
……………
んーなんか動作が重いな。
……まじで。
僕はある表示に気づいた。
「スマホが圏外なんだけど」
僕の唯一の手段が無くなった。
ここは別に山の中でも辺境の地でも地下迷宮でもないんだけど。ちなみに地下迷宮は行ってみたい(どうでもいい)。
「マジで」
「本当だよさっきから設定とかもいじってるけどなにもないただ圏外になってる」
じゃあどうするんだよと幻は焦り気味に言う。
「誰か見つけて道案内してもらおう」
それしかない。僕らは土地勘がないんだ。
「そうだな誰かはいるだろうし」
「交番があれば一番良いね」
「なるほどな。よしわかった!さっそく行動開始だ。二手に分かれるのか?」
「いや、それはやめとこう。だって僕もっと迷うかもしれないし」
てゆうか絶対迷う。ネットの力を失った僕に為す術はない。
「よし!そうゆう事なら一緒に行こう」
幻はデジタル腕時計をちらっと見てもう五時じゃん!と言って頭を抱えていた。
今日なんか用事でもあったのかな。