波乱のお茶会中編
皆様、誤字脱字の報告ありがとうございます。
誤字脱字が多いかもしれませんが、これからも読んでもらえると嬉しいです。
やばい……。
やってしまった!
目の前には尻もちを着いた少女。
私の後ろに立っているのは仮面を付けている少年。
どんな状況だよ!
はたから見たら私たちがこの少女をいじめているように見える。
「えっと、あの、大丈夫?」
取り敢えず、怪我がないか確認しないと!
そう思い、彼女に向かって手を伸ばした。
しかし、その手は思いっきり叩かれる。
「あなた誰! 大丈夫なはずないでしょ!」
それはごもっともですね。 はい。 ごめんなさい。
いや、本当に申し訳ないわ。
小さな少女を突き飛ばすなんて……。
まあ、今は同じ年ぐらいか、今の私より年上ぐらいだが……。
「本当にごめんなさい!」
私は気づいていなかったがこの時、かなりテンパっていたのだと思う。
「あやまったって許してあげないわ! わたしを誰だと思っているの! お父様に言ってやるわ!」
彼女は目を吊り上げながら小さな指を私に向かってビシッとさす。
そして、おもむろに立ち上がり屋敷に向かって走っていった。
「ええーー!」
どうしよう! 彼女走ってちゃったよ! えっ、お父様に言うっていってたわよね? 彼女のお父様って誰?
えっ、えっ、痴情のもつれとかじゃなかった?
いや、6歳でそれはないかもだけど……。
それよりも……
「……ロイ様」
「…………なに?」
「大丈夫ですか」
「…………なにが?」
「えっ。 だって喧嘩してましたよね?」
そう言うとロイ様は首を傾げた。
えっ! 違うの? ロイ様、顔見えないからわからん!
「……それよりもフェル」
えっ! えっ! えっ! ロイ様、今名前呼んでくれました?
「ん? ロイ様、今なんて?」
もう一度、聞きたくて言ってみたが
「……彼女の父親」
ロイ様に華麗にスルーされました。
なぜですか? ロイ様!!
もう一度、呼んでくださいませ! …………ん?
「ん? 彼女の父親?」
ロイ様はコクっと首を縦に振る。
そして
「…………この国の宰相の娘」
彼は爆弾を落とした。
えっ? 宰相の娘? 宰相? えっ? 国王の隣で仕事する人?
「えーーーーーー!」
「……うるさい」
ロイ様は本当に私の声がうるさかったのか髪で隠れている耳を手袋をはめた手で押さえている。
「ロイ様! どうしましょう!」
私はその様子に気づかずロイ様に詰め寄る。
しかし、ロイ様は私から一歩下がる。
私はまた一歩近づく。
ロイ様はまた一歩下がる。
「……ロイ様……なぜ下がるんですか! 今は話し合いをしないといけないんですよ!」
とうとう私はしびれを切らした。
「…………別に離れていても話せる」
ロイ様の言葉はごもっともだ。
しかし!
「内緒話をするのですよ! 聞こえないように小声で話す内緒話ですよ! 近づいて話すものですわ!」
私はロイ様に指を指しながらまた詰め寄る。
「…………内緒話……どうして?」
ロイ様は私から離れるために二歩一気に下がり、首を傾げた。
どうしてって?
「そんなの決まっているじゃないですか!!」
そう、決まっている。
「証拠を消すための話し合いですわ!」
「…………はっ?」
ロイ様から はっ? と言う言葉をもらいました。
しかし、今はそんなことはどうでもいい!
それよりも、証拠を消さないと!
「……フェル、消すって?」
「だから、証拠を消すんですわ!」
「…………どうやって?」
どうやってって…………。
「後ろから殴って、記憶から消すとか?」
取り敢えず、記憶を消したらいいのではないだろうか?
ん? ロイ様よ。 なぜ、私から距離をとる?
「………………フェル」
「なんですか?」
「…………人は殺しちゃだめだよ。 …………たとえ汚いゴミでも」
ロイ様よ。 最後小さな声で言っても聞こえたからね。
「ロイ様。 殺すのではなく、少し……記憶をなくすだけですわ!」
「…………もう、走って行っちゃったし無理だと思うよ」
しまった! 確かに、もうお父様に言ってるかも!!
「どうしましょう!!」
どうしよう! 私のせいでお父様、お母様、お兄様に迷惑が……。 一族もろとも爵位剥奪の上に処刑とかされたら……。
これからの最悪の事態を思い浮かべる。
顔から血の気が引いていくのを感じる。
「…………フェル」
ロイ様?
「…………ごめん」
ロイ様は小さな、小さな私にだけ聞こえる声でそう言った。
「ロイ様……」
その時、こちらに歩いてくる足音が聞こえてきた。