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初対面

 というわけで婚約者ができたのですが……。

 最初の挨拶をしてから30分が経ちました。

 私たちの両親は別の部屋でお話ししているみたいで今この部屋にいるのは私とロイ様だけ。

 近くにメイドはいるが優秀なのか存在感を消している。 なので実質二人だけのように感じる。

 

 私とロイ様はテーブルを一つ挟んで向かい合わせで座っているのですが……。

 30分経ってもロイ様は仮面を外しません。


 それよりもその仮面はなんですか!!

 顔全体覆っているし、仮面というよりお面だよね!

 しかも、目が二つ、口一つと小さな丸が点、点、点とあるだけで怖いよ!!

 どこの不審者ですか!

 ロイ様一言も話さないし……私から話掛けてこいってことですか?


「ロイ様」


「…………」


「ええっと、ロイ様とよんでもいいですか? わたくしのことはフェルとよんでもらえると嬉しいですわ」


「…………わかった」


「ええっと、髪きれいですね」


 そう、顔は見えないけど髪は見える。

 触ったらきっと手触りが良いはず、そのサラサラのマリンブルー。

 

「…………別に」


 ロイ様、さっきから声小さいですよ!

 しかし、かわいい声だね! 小さいけど……ってそうじゃない!

 その仮面のこと聞きたいのに聞きにくい。


 それにしてもロイ様よ……ずっと動いてないよね。

 彼、本当に生きてる?

 あれっ? もしかして人形?


 えっでも話してるし、嘘だよね?

 

 よし! 一回落ち着くために紅茶飲も。


「おいしい」

 

「…………」


 はしたないが、おいしいのでごくごく飲んでしまう。


 ロイ様は飲まないのだろうか?

 でも、どうやって飲むのだろうか?

 仮面を外すのか? それとも……つけたまま、口のあたりが開くのかも……。

 飲みながらじっと観察するしてしまう。

 だが、そうするとあの仮面をずっと見ることだ。

 

 ……むり、吸い込まれそう。


「おかわりをどうぞ」


「ぶっ」


 危うく紅茶を吐き出すところだった。

 存在を薄くしていたメイドさんが紅茶のおかわりをもってきたようだ。

 

「ありがとうございます」


 そう言うと、また影を消して下がった。

 すごいなここのメイド。

 暗殺者になれるよ。


 おかわりをもらったのでまた、飲む。 そして、おかわりをもらってまた、飲む。 そして、またおかわりをもらったのでまた、飲む。


 あれっ、私どんだけ飲むんだよ!

 そして、ロイ様なぜ飲まない。

 すっごく気になるのに。

 気まずすぎて、私だけ飲みまくってしまったよ!


「ロイ様は飲まないのですか?」


「…………まだ、洗ってないから」


 ん?


「ロイ様、すみません。 わたくしの聞き間違いかもしれないのですが……洗うって聞こえたのですか?」


「……聞き間違いじゃないよ。洗うんだよ」


 えっ。 どうやって?


 紅茶の話だよね? でも、液体だよ?


「あっあのロイ様」


「なに」


 あれっなんか若干声が不機嫌に……。


「お手洗いはどこですか」


 あっ間違えた。 どうやって洗うんですか?って聞くはずが……。

 紅茶、飲みすぎました。

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