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遭遇

 しかし、私たちがサンドイッチを口入れることができなかった。


 なぜなら……。


「おい、ガキども静かにしてろよ」


「このガキども身なりがとても良いぜ」


「どっかの貴族のガキじゃないか?」


 会話から分かるように私たちはゴツゴツとした男達に囲まれているからだ。

 その数4人程。 といってもボスっぽい人が一人と部下らしき男が3人。 皆、腰に剣を指しているが騎士にはとても見えない。

 どう見ても賊だ。


 メイドは私たちを守るように立っている。


 どうして、こんなことになっているの!

 私はただ、ロイ様の食べる姿が見たいだけだったのに!


 数分前。


「さあ、いただきましょう。 ねっロイ様!」


「………………」


 ロイ様の方がサンドイッチを持っていることを確認し、食べる瞬間を見るため、私はロイ様の方に体を向けた瞬間のことだった。


 花々の先には森があり、そこから4人ぐらいの男が走りながら出てきたのだ。


「おい! まけたか!」


「ああ、後ろにはいない!」


「ちゃんと確認しとけよ!」


「はい!」


 私たちはすぐに男達の存在に気づいたが驚きすぎてすぐに逃げ出すことができなかった。

 しかし、それがいけなかったのだ。

 なぜなら、男達もすぐにこちらに気づき、私たちが逃げ出す前に囲まれてしまった。


 そして、現在に至るが……。


「どうしますか?」


「売り飛ばすしますか?」


「いや、まだ騎士がその辺にいるかもしれないからな。 そいつらを人質にした後に売り飛ばすぞ」


「高く売れそうですね〜」


 男達はゲスな笑みを浮かべながらこちらを見た。


 あれ? おかしいな身体が震える。

 目に涙も溜まってくる。

 恐怖が身体を支配していく。


「お嬢様大丈夫です」


 メイドが私に声をかけてくれるがその声は私の耳には入ってこない。


「こわい……」


「おやおや、お嬢ちゃん泣いちゃうのかな〜」


「ハハハハハハ」


「おいおい、やめてやれよ」


 男達の下卑な笑い声がこの場に響き渡る。


 不愉快なのに、恐怖の方がかってしまい、身体の震えが止まらない。


「お嬢様……」


 メイドが私を彼らから隠すように抱きすくめてくれたが、その行動が彼らの視線が私からメイドに移ってしまった。


「いいねえ。 その目」


「強気な方が俺は好きだぜ」


「まずはガキどもよりも先にメイドさんからいただくか」


 最悪だ。

 どうして、こうなってしまったのだろう。

 ただ、私はロイ様と……。


「おい、こっちに来い!」


「離して!」


 はっとすると、メイドが男に方腕を引っ張られていた。

 しかし、メイドは私を抱きしめながら必死に抵抗をしている。

 その光景を見た瞬間


「やめて!」


 と叫んでいた。


「なんだなんだ。 お嬢ちゃん。 お嬢ちゃんから遊んで欲しいのか?」


 そう言った男は私の腕を掴んで引っ張った。


「いや! いや!」


「お嬢様!」


 私は引っ張られた勢いでメイドさんとはなされてしまった。


「いやだ! いや! いや!」


「お嬢様!」


 掴まれた腕が痛い。 そして、下卑な笑い声が耳に木霊する。


「ハハハハハ」


「おいおい、人質だぞ」


「ちょっとぐらいいいだろ」


 誰かたすけて……。

 と思った瞬間


「うべっ!」


 私の腕を掴んでいた男の顔に見覚えがある水の球が当たっていた。


「……フェルを離せ」


「ああ、なんだぁ」


 今までロイ様のことを無視していた男達が一斉にロイ様の方に顔をむけた。

 いや、よくこんな目立つロイ様のことを無視できていたよね。


「おい、こいつ変な仮面をつけてるぞ」


「なんだあ、こいつ」


「それよりもさっきの水はお前か?」


「…………フェルを離せ」


「ロイ様!」


 ロイ様は3人の男達と向かい合っている。


「ロイ様! うしろ!」


「……!」


 男達のうちの一人がロイ様の後ろに回り込みロイ様の腕を掴んだ。


「ハハハハ。 捕まえたぜ」


 掴んだロイ様の腕を男がひねりあげる。


「………………ない……ない」


「ああ?」


 しかし、次の瞬間


「汚い!!」


 ロイ様の大きな叫び声がこの場に大きく響き渡り、ロイ様の腕を掴んでいた男の腕に大きな魔法陣が浮かんだ。


 そして、男の腕を切り落とした。


「うわぁあああああああ」


 切られた男はその場で膝をつき、叫びながらうずくまる。


 何が起こったのかわからない。

 ロイ様が叫んだと思ったら男の腕が切り落とされていた。


「きゃっ!」


 私を掴んでいた男の手が私から離れた。 男に軽く投げ飛ばされたのだ。


「いたた」


 その場に尻餅をついた私は起き上がりながら目の前で起きている光景に呆然とした。


「……ロイ様?」


 目の前には仮面に飛びついた血を手袋で拭いながら男達を魔法で倒していた。

 それも一方的にだ。


 何が起きているのだろう。

 あれは本当にロイ様なの?


 最後の一人を倒しても未だに魔法をやめないロイ様。 最後の最後のまで男達に魔法で攻撃をしている。


「ロイ様!」


 いつの間にか私はロイ様の方に向かって走り出していた。

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