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お母様はいつも突然に

 お茶会から数日がたちました。

 あれから一度もロイ様とは会っていない。


 あれ以来ロイ様からお茶会のお誘いもなく、自分からも会いに行っていないからだ。

 私から会いに行こうとすると決まってお兄様とお父様が邪魔をする。

 どこから聞きつけたのか、家を出ようとするとお父様かお兄様がやって来る。


 ちゃんと仕事しているのかお父様よ?

 そしてお兄様よ。 お菓子で誘惑するのはやめてほしい。 餌付けか何かですか?

 そのせいで太ったらお兄様のせいですよ。

 まあ、誘惑に負ける私も悪いけど……。


 でも、負けるよね。 美少年……ごほん、お兄様とお茶会だよ! するに決まってるよね!


 そのため、会いに行こうとしても未だに失敗してます。


 

 


 そして、私は現在、家の書庫にいます。

 ロイ様の仮面について調べるためだ。

 もともと、とても気になっていたのだが、聞けずじまいだった。

 

 そして、あのお茶会でヴァイスが気になることを言っていたのを思い出したのだ。

 あの時、ヴァイスはディアナがロイ様の仮面に触れることを良しとしていなかった。

 普通なら突き飛ばした私を非難するはずが、ヴァイスはお礼を言ってきたのだ。

 明らかにおかしい。


「なぜかしら……?」


 そして、このことを私の両親にも報告をされると思っていたが家に帰ってきても両親や兄からなにも言われなかった。

 ということは……ヴァイスとディアナは父親には言っていないことになる。

 それとも……言ったけど、子供のしたことだからということなのだろうか?

 仮にも宰相の子供を突き飛ばしたのに?


 なぞだよね……?


 でも、まあ……何はともあれ破滅に進まなくてよかった!


 うん。


「そうよね! だってお兄様は攻略対象者で私はただのモブだしね!」


 取り敢えず楽観的に考えることにした。

 今、私の家が没落すると攻略対象者であるお兄様の運命が変わってしまう。

 だから、私の家は没落しなかったのだと考えたのだ。


 そう、私はモブだ。

 だから、同じモブであるロイ様のあの仮面は目立つ。


 だから出来れば外してほしい……。

 昨日、ヴァイスと並んだ姿を見たときに思った。

 美少年がいるはずなのに彼よりロイ様の仮面の方に目がいく。


 これでは数年後学園が始まったときには攻略対象者よりもロイ様の仮面に目がいくよ!


 ロイ様……仮面外してほしい……。


 そのため、現在仮面について調べいる。

 外してもらうためにもヴァイスが言ったことが気になるからだ。


「だけど……全然みつからなーーい!」


 取り敢えず、それっぽい本を一冊とってみるが仮面についてはなにも書いていない。

 それどころか本があり過ぎてどれを読んでいいのかわからない……。

 一冊だけでもう諦めそうだ。 それにこの一冊の本だけでも読めない部分がたくさんある。


「どうしよう……」


「何がどうしようなのかしら?」


「……!」


 すると、どこから出てきたのかお母様が現れた。


 いや、本当にお父様といい、お母様といい、突然出てき過ぎだ。 一体どこから出てくるのか……未だに私の中の謎……。


「おかあさま! どうしてここに?」


「フェルちゃんを探してたら、メイドの一人がここにいるって言っていたからよ。 どうして書庫にいるの? フェルちゃんまだ、難しくて読めないでしょう?」


 確かに読めませんでした。 だけど……


「ロイ様のことを調べるためですわ!」


 そう! ロイ様の仮面について!


「まあ!」


 すると、お母様の目がキラキラし出した。


 しまった! こういう時のお母様は面倒だ。


「あっあの……おかあさま?」


「フェルちゃん!」


「はい!」


 条件反射でつい返事をしてしまった。


「なら、書庫にいてはいけないわ! こういう時は行動あるのみよ!」


「えっ?」


 そう言われた瞬間にお母様に手をとられ書庫から連れ出されました。


 えっ? えっ? お母様?


 そして、困惑したまま連れて来られたのは調理場でした。


 えっ? お母様、どういうことですか?


 お母様は料理長を呼び


「娘に簡単な料理を教えてほしいの」


 と言った。


「はい、わかりました」


 いや、料理長よ。 もっと困惑とかしよう?

 私、まだ6歳だし、一応令嬢だよ。

 えっ? なんでやる気?


 料理長とお母様は、あれを作ろうとかあれはどうだとか楽しそうに話している。


 えっ? 本当にやるの?


「あっあの、お母様!」


 お母様は料理長と話すのをやめ、私の方に来て目線を合わしてくれる。


 そして……


「フェルちゃん! 彼の心を射止めるのは胃袋からよ!」


 と声高々に宣言した。

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