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波乱のお茶会後編

 やばい! やばい! やばいよ!

 破滅への第一歩だぞ♡ なーんて…………言ってる暇ないわーー!


「ロイ様! どうしましょう!」


「…………」


 ロイ様よ! 何か言って!

 仮面のせいで何を考えているかも分からない。


 その場で一人慌てることしかできない。


 そうこうしているうちに、ガサッと薔薇が揺れた。

 その瞬間、天使が現れました。

 あっ間違えた美少年が現れました。


「天使……」


「天使?」


 頭にはてなマークを浮かべている顔も萌えます!

 

「お兄様! この子ですわ! 私をつきとばしたのは!」


 美少年の後ろから悪魔が出てきました。

 間違えました。 さっきのツインテールの彼女です。


 それより、お兄様だと!

 ということは、未来の宰相様じゃん!


「妹がごめんなさい」


 ん?


「ほら、ディアナもあやまって」


「いやですわ! お兄様、わたしは悪くありません」


 あれっ? 破滅への第一歩♡ ではないのかな?


「ディアナ」


 美少年は少し強めに彼女に諭している。

 どうなっているのかしら……。

 私が謝る方ではないのかしら?


「〜〜」


 彼女は謝るのがとても嫌そうだ。

 それは、そうだろう。 彼女は突き飛ばされたのだ私に。 彼女の方が被害者なのにだ。


「えっと……ディアナ様。 先ほどは申し訳ありませんでした」


 私は彼女、ディアナに向かって頭を下げた。


「ほら、お兄様! 私は悪くないわ!」


「ディアナ」


「だけど……」

 

「ディアナ」


「……はい」


 おいおい、美少年よ彼女泣きそうだよ。 まだ小さいんだよ。

 しかも、彼女被害者だよ。 美少年よ、もう少し優しくしょう。

 それとさ、そろそろ頭を上げても良いかな?

 タイミング外しちゃったよ。


「頭を上げて」


 その言葉を待ってました!


「ごめんなさい。 妹が迷惑をかけたみたいで……」


 いや、だからさ美少年よ。 突き飛ばしたのは私だよ。 わかってる?


「いえ、こちらこそ申し訳ありませんでした。 それと、突き飛ばしたのはわたくしですわ」


「しかし、それは妹がロイの仮面に触れようとしたからでしょ?」


 彼はロイ様に視線を向けながらそう言った。

 ロイ様はすぐさま顔をそらしたが。


「ええっとまあ、そうですわ」


「なら、こちらが迷惑をかけた方だよ。 妹を止めてくれてありがとう」


 どういうことか分からない。

 ロイ様の仮面に何かあるのかしら?

 そう思い、ロイ様の方に顔を向けるがそらされる。

 ロイ様よ。 そういう態度をとられると気になるでしょ!


「ロイ様……」


 名前を呼んでみるが反応してくれない……。

 


「ところできみは……」


 遠慮気味に美少年は聞いてきた。


 しまった。 

 自分が名乗っていないことを思い出した。

 私の方が爵位が低いのに……。


「あっ申し訳ありません。 わたくしロイ様の婚約者のフェルーナ・リンディともうしますわ」


 目の前の美少年に綺麗なカーテシーを披露する。


「そうなんだ。 ロイの?」


「ええ」


 何かいけなかったのか?


 そう思いロイ様の方をみるが顔をそらされる。

 どうしてですか! ロイ様よ。

 私が婚約者はダメなのか!


「ええーーうそーー!」


 そこで声をあげたのはディアナだった。


 なに、なんなの?


「あんな仮面つけてるのに?」


 いや、仮面をつけてるのはかなり気になってるよ!

 でもね、本人がいる前でその言い方はダメだよ!


「あの」


「ディアナ!」


 私が何か言う前に美少年がディアナを咎めた。


「だって……」


「だってじゃないよ!」


 まだ何か言いたそうな顔をしたディアナだが、お兄様に怒られたくないのか口をつぐんだ。


「ごめんね。 妹が……」


「いえ、大丈夫です」


 そして、話を変えるように彼は


「僕は、ヴァイス・イーディエント。 よろしくね。 フェルーナ嬢」


 自己紹介をし、柔らかく微笑んだ。


「よろしくお願いしますわ」


 ヴァイス様かぁ。 将来絶対にイケメンになるだろうなぁ。 綺麗な深緑の髪に瞳も緑……ってヴァイス!


 ヴァイスって言ったら攻略対象者の一人じゃないか!

 宰相の息子でなぜ気づかない私!


 攻略対象者2人目

 ヴァイス・イーディエント。

 ヒロインよりも二つ年上で王子の側にいつもいるから王子に近づくヒロインに対して厳しかったよね。 でも、恋仲になるといつも無表情の顔が微笑むんだよねー。それがすごく萌える! って無表情がデフォルトで感情も乏しいはず……えっめっちゃ微笑んでますよ。

 感情出てるよね。

 なんで?

 いや、確か……無表情になったのは訳があったはずだ。

 たしか……


「お兄様!」


 ん?


「もう、行きましょう!」


 ディアナがこちらを睨みながらヴァイスの腕を引っ張っている。


「ディアナ」


「気にしないでくださいませ」


 いや、もうこっちは気にしないで大丈夫ですよ。

 妹さん、すごくこっち睨んでますし。

 別にあなたのお兄様は取りませんよ。 攻略対象者だしね。

 その思いが伝わったのかヴァイスは


「本当にごめんね」


 そう言ってロイ様の方に向かい


「ロイもごめんね」


 と謝った後にディアナを連れて屋敷の方に歩いていった。


 それにしても……


「ロイ様はイーディエント様と親しいのですか?」


 ヴァイスはロイ様のことをロイと呼んでいましたしね。


 しかし、ロイ様は首を横に振った。


「違うのですか?」


「……違う」


 ロイ様よ。 やっと話しましたね。 あの兄妹がいるとき一言も発しなかったから心配しましたよ。

 それと、違うとはどういうことだろう?


「…………従兄弟なんだ」


 なるほど!


「…………お母様がイーディエント公爵の妹だから」


 ロイ様の顔は仮面によって見えなかったがなんとなく声が固かったような気がする。

 そして、ロイ様はそれっきり何も話さなかった。

 

 この後、メイドがいる場所に戻ったが紅茶を飲む気分にはなれずお茶会は中止となった。

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